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11-5 誓い

「ヒュヒュ。ぶっ飛ばす。いい言葉だねェ。でも」


 フォーゲルは一瞬姿を消した。


 違う。シーリアは自分に言い聞かせる。姿を消したのではない。


 ヒュッ。


 シーリアの耳元に風を斬る音が聞こえた。


 その方向へ盾を翳す。


 ガキィッ。


 盾に激しい衝撃が走り、シーリアが二歩、三歩退く。


「ぐっ……」


 重い。エクストラクターを起動し人間化することで身につけた鎧、それにより速度が増しているようであったが、それ以前に自力も十分に備えているようであった。


 ビシッという音と共に、シーリアの鎧に傷がつく。


 何が起こったのかを理解出来ずシーリアはフォーゲルの方を見ると、持ち上げた脚にビュウビュウと吹き荒ぶ風がまとわりついていた。鎌鼬か、彼女は理解する。フォーゲルの鎧が発する風が刃物の如く舞い、シーリアの鎧、ナイツオブラウンドテーブル・デパーチャーワンに傷をつけたのだ。


 強い。シーリアは直感する。


「アタシの攻撃を防ぐので精一杯のアンタに、果たしてぶっ飛ばすなんてこたァ出来るのかねェ?」


 口元の開いた兜とバイザーから、嫌味たらしい笑みが覗く。シーリアは理解する。完全に舐められていると。


「バカにしくさってからに……」


 シーリアは歯噛みした。確かに今は防戦一方。このままではいけない。何とか攻撃に――


 そう思考しながらも手を出せずにいると、フォーゲルはニヤリと口角を上げた。


「ヒェヒェ。戦いたいのはいいけれど、そこのはどうするのかねェ?」


 そう言って再び姿を消す。


 ――そこの?


 シーリアはその言葉にハッとなり、彼女の狙いを理解した。


 彼女は咄嗟にアクトとサーラへ飛びつく。


 ガンッ!!


「ぐう……」


 背中を衝撃が襲う。チラとエクスカリバンカーに反射するのは、フォーゲルの姿。


「ヒェヒェヒェ。やっぱり見捨てられないよねェ、カレシの事はさァ」


 彼女は空中で鎧の背から生えた翼をはためかせながら、ニヤニヤと笑みを浮かべた。


「カレシじゃないわよ!!」


 そう言いながら腕を振るうが、ただ空を裂くのみ。再びフォーゲルは姿を消した。


 ガッ、ガッ、ガガッ。


 何度も何度もシーリアの鎧に衝撃が走る。


 無敵スキルは未だ機能しており、シーリアの肉体ダメージは無い。だが、衝撃が彼女に疲労を蓄積しているのも確かであった。ダメージは無くとも疲労はする。


「くそ……せめて速度でついていければ……」


 目は少しずつ彼女の速さに慣れてきたが、体が動くかは話が別となる。特に空を舞うフォーゲルには攻撃自体が届かない。届く距離に居るかと思えばすぐにそこから離れてしまう。空が飛べないシーリアは完全に不利であった。


 このまま疲労が溜まれば奴を、フォーゲルを取り逃がす事になるだろう。最悪の場合――


 そう考えて、シーリアは首を振った。


 そうはさせない。させてなるものか。


 彼女はアクトの方をチラと見る。未だ彼は目をぐるぐると回しながら気絶したまま。彼を見捨てる事など、傷つけさせる事等出来ない。村長の家で唸る戦士達のようにさせるわけにはいかない。あの迷宮の森ラビリンス・フォレストでの事を思い出す。あの時は不本意ながら彼に守られるだけになってしまった。今度は――


「アタシが、守る!!」


 そう心に強く誓いを立てた瞬間、ナイツエクストラクターが激しく輝いた。

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