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16.エスタヴィオの過去?



 エルネストは、エスタヴィオの目を見ることが出来なかった。しかし⋯⋯


「君が、システィアーナを大事にしていることは知ってるよ」


 エスタヴィオの言葉に、思わず顔を上げ、どんな気持ちでその言葉を発したのか、見てしまった。


 少なくとも、蔑ろ( ないがし )にしようとか意地悪だとか、悪意は感じられない。


 むしろ、自分の発言でエルネストが傷つくのを解った上で、敢えて言っているようにも見える。


「だがね⋯⋯ システィアーナは、先々代王弟の孫として、宰相の、侯爵家の跡取りとして婿を取るのが最優先ではあるけれど、僕としては、彼女の幸福と有用性とを両得したいんだ」


 ──システィアーナの、幸せと有用性を両得する?


 そんなことが、両立するのか?


「僕はね、十代の頃、とても大切な女性がいたんだ」


 突然始まったエスタヴィオの話に、返答に困るエルネスト。なぜ、今自分の話からエスタヴィオの過去になるのか⋯⋯


「君も知っての通り、父王は即位したのが43の時で、僕が王太子になったのは23歳だった」


 エスタヴィオは、15歳の時に先々代国王の命で今の正妃エルナリアと婚約をした。


 王族である公爵家の娘との婚姻は望ましくないという慣例から、才女と名高いヴェルファイア侯爵家の第一息女エルナリアが選ばれた。


 エルネストには、はっきりと誰を想っていたのかは言わなかったが、恐らく察しているに違いない。


 エルティーネは先々代王弟の娘。従祖叔母(いとこおおおば)で五等親族。システィアーナは(また)従妹(いとこ)で六等親族になる。

 王家は、親族間での婚姻を認められていないため、どれだけ想おうとエルティーネを娶るのはほぼ不可能であった。


「法を変えてやろうとか、いっそ王子をやめられたらとか思った時もあったんだけどね」


(こ、これは、自分が聞いていてもいい話なんだろうか⋯⋯)


 かなり危ない内容にも思えたが、王の言葉を遮る訳にもいかず、居心地の悪いまま聴くはめになった。





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