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5.婚約解消が認められてから



「今夜会場へいらした時点では、わたくしが貴方の婚約者でした。


 彼女をパートナーとして連れていらしたかったのであれば、事前にわたくしとの婚約を解消して、そのマルティーネ嬢を新たな婚約者とする事に陛下の(・・・)許可を(・・・)頂いてから(・・・・・)、お連れするべきでした」


 ──まあ、皆様の前で婚約破棄を宣言して、ある意味既成事実とも言える状況を作りたかったのでしょうけれど


 それでも、マルティーネ嬢を伴うのは次からにするべきでしたわね。


 システィアーナは、それっきり、オルギュスト達には関心を無くしたかのように、テーブルの方へ向き直り、食べかけの白ぶどうを摘んだ。



「ティア、いいの?」


 共に果物を摘んでいた友人が身を寄せ、耳元で訊いてくるが、システィアーナは微笑むだけで、実のなくなったぶどうの房の乗せた皿を給仕のメイドに渡し、フィンガーボウルで指を洗う。



 その後、言われた事の内容を吟味し、自分の失点に思い当たったのか、反応が薄くて手応えがないからなのか、オルギュストがシスティアーナに絡んでくることはなかった。



 その代わりと言ってはなんだが、仲の良い令嬢同士で話しているのにも関わらず、どこぞの令息が寄って来ては、オルギュストを悪く言い、ダンスに誘いたがる。


 あのような目に合い、気分が優れないので、ダンスはしないと断りを入れると、大抵は残念そうに立ち去るが、中には次の婚約者の事を考えているのかとか、陛下の許可が降りねばオルギュストと仮面夫婦になるのかとか、無神経な質問をしつこくしてくる者もいて、少しも夜会を楽しめる雰囲気ではなくなってしまった。



 ──やってくれるわね、オルギュスト様



 この場であからさまに探りを入れてくる者や、焦って申し込んで来る余裕のない者と縁を結ぶ気は、システィアーナにはなかった。


 そもそも、国王の認可は降りていないのだ。想い合っていなくとも、オルギュストと婚姻を結ぶ以外ない場合もある。



 まずは、婚約解消が認められてから、釣り書きを持って、父親である(・・・・・)侯爵に(・・・)申し込むべき(・・・・・・)であった。





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