表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/260

14.誰を指名する?



 フレキシヴァルトも勿論アレクサンドルも、それぞれの学友側近候補としてつけられたエルネストとユーヴェルフィオも、忙しい身だ。

 特にユーヴェルフィオは、アレクサンドルの執務に付き合った後は、領主代行として自領での管理業務が待っている。


 当然、いつものようにシスティアーナは固辞しようとした。


 が⋯⋯ アレクサンドルは引かなかった。


「ダメだよ、顔色が悪いのは確かなんだ。どこかで倒れていたらと思うと、この後の公務にも身が入らなくなってしまうよ。

 こうして見てしまったからには、なかったことには出来ないね。

 お姫様は、手を取られて付き添われるのと、抱き上げられるのと、どちらがお好みかな?」


 声を大にして言いたい。どちらも御免です、と。


「ここには、4人、それなりに力のある男性がいる。誰を指名するのかな?」


「ですから、わたくしは大丈夫ですと⋯⋯」


「お勧めは、既に妃のいるフレックか、ユーヴェ、次点で()だけど」

「なんで僕なの? 妃がいたらダメなんじゃ?」


 フレックの抗議へにっこり答えるアレクサンドル。


「妃がいるからこそ、人目についても婿候補として見られない。公爵を継ぐユーヴェもね」


 そういう見方もあるのか。当然、王太子であるアレクサンドルも、婿の候補に入るはずがない。


 納得しかけたフレックだったが、エルネストの言葉に考え直す。


「妻君のある男性と親しくして、不貞を疑われたらどうするんですか」


 それもそうかもしれない。(アナ)だって、自分が他の女性を抱きかかえたと聞かされたら、嫌な思いをするだろう。


(アナ)が聞いたら、傷つくかもしれないな」

「相手がシスティアーナ嬢で、体調不良であったと、当然一人ではなくエルネストも一緒だったと言えば、解ってくれるとは思うけれど、確かに聞いていい気はしないだろうね?」


 当然だ、第一自分の目の前で、他の男性に触れさせるものか。という心の声が透けて見えそうなエルネストに視線をやりながら、アレクサンドルは続ける。


「なら、やはりここは、わたし(ヽヽヽ)の出番だね」


 言うが早いか、すっと横に立ち、緊張に冷えた手を取り、震えそうになる腰に腕を回し、まるで夜会でダンスを踊るように寄り添った。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ