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4.エルネストの眠れない夜



 エルネストは落ち込んでいた。


 ユーヴェルフィオがアレクサンドルに、自分をシスティアーナの婿に推薦するように頼んでくれた事にも驚いたが、なによりアレクサンドルの、システィアーナの婚約者になる許可はおりないだろうという言葉に打ちのめされた。


 公爵家の次男だから?


 血縁関係の(また)従兄妹(いとこ)だから?


 陛下の中ですでに、次の婚約者を誰にするか決まっている?


 或いは、自分に添わせる令嬢を予定している?


 考えて答えの出ることではなかったが、考えずにはいられなかった。


 貴族は、血筋家名を残すため、また、特定の家系に権力が集中しすぎないように、婚姻相手を好きには選べない。


 その事は理解していたはずだが、ユーヴェルフィオが手を回そうとしてくれた事で、いっときの夢を見てしまった。


 その夢が叶えられないと判った時、希望は絶望に変わったのだ。


 自分の手の届かないところで、システィアーナは誰かと結婚して、自分のあずかり知らないところで綺麗になっていく。


 想像するだけで気がおかしくなりそうだったが、兄の、まだすべてが確定したわけじゃないという励ましを支えに耐えていた。


 しかも、社交シーズンが終われば、今までの訓練生から正式に兵役期間に入り、2年間騎士として家を離れることになる。


 その間に、システィアーナは誰かと新たな婚約をするに違いない。


 自分の知っているやつだろうか⋯⋯


 今度こそ、彼女を大切に出来る、誰もが納得できるようないい男が婚約者になるかもしれない。


(イヤな奴が相手になって、また破談になれば⋯⋯)


 そんなことになれば、システィアーナがまた傷つくことになるのに、嫌な考えをするものだと自分に呆れたが、そうすれば傷ついた彼女を慰めて、今度こそ自分が彼女の隣に、などと期待するのも止められなかった。





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