表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/260

8.勉強会のあとに



 アレクサンドルの実地経験が活かされた、世界情勢と地理の勉強は、システィアーナにとっても楽しいものであった。



 何より、アレクサンドルが巧みに話すので、自分も現地に行ったような気になるのだ。


 時折ジョークも交えて、ちょっとした小話でも楽しませてくれる。



 授業が終わるまで、昨夜の夜会での出来事や、オルギュストに蔑ろにされて来たつらさなどは、一度も思い出さなかった。



「シス。帰るのなら、送るよ」

「ありがとうございます。でも、この後、まだ御用があるのよ。お気持ちだけ、頂いておくわ。またね」



 送るという申し出を断り、エルネストがユーヴェルフィオと共に帰るのを見送ったあと、アレクサンドルと連れ立って王宮の上層階に進む。



 ユーフェミアとアルメルティアは、茶会の用意をしておくからと、用が済んだら戻ってくる事を約束させて、庭園へとふたりで楽しげに話しながら向かった。



 王家と一部の王族が過ごすプライベート区画で、婚約破棄を宣言されたとはいえ、まだ正式には解消しておらず、まだオルギュストの婚約者であるにもかかわらず、アレクサンドルのエスコートで歩むのは、気恥ずかしいのと後ろめたさで複雑だった。



「あ、の、殿下? 手を取っていただくのは光栄なのですけども、わたくしはまだ、オルギュスト様の婚約者で、その、他のだ⋯ん⋯⋯」


「他の男の手を取る事に後ろめたさがあるのかい?」

「はい」

「まあまあ。先々代の王である私のひいお祖父様の、時の王弟が君のお爺様なのだから、全くの他人ではないだろう。そう固くならないで。


 僕からしたら、君のお爺様は曽祖叔父だよ」



 いや、それは殆ど他人なのでは? 口には出せず、緊張しながら進むしかないシスティアーナ。


 アレクサンドルから見た祖父は、遠い関係のようにも思えるが、自分から見れば、アレクサンドルは母方の(また)従兄(いとこ)の息子である。

 同じく母方の親戚の、祖父の奥方筋の又従兄であるユーヴェルフィオやエルネストが子を持てば、その子供との関係性はアレクサンドルと同じで、会えばやはり可愛がるだろうと思う。


 が、アレクサンドルは成人した男性であり、王太子である。立場が違った。



 アレクサンドルは、呼び出しを受けた目的の部屋まで、始終ご機嫌であった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ