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31.アナファリテの頼み   


 まさかね。


 それなら、アスヴェルもエル従兄(にい)さまも公爵家の令息で降嫁するのに問題はなく、特に秘密にする必要はないし、エル従兄(にい)さまなら陛下もお父様も、信頼なさってて将来性も買ってらっしゃるのだから縁談をお止めなさったりする事もないはずだもの。


 自分の考えを打ち消し、アナファリテと初夏からのシーズンオフの予定の相談を始める。


「ティアだから、話すのよ? まだ誰にも言わないでね?」

「ええ。解りましたわ。勿論でしてよ。王子妃のプライベートな話は、誰にも勝手に話したり致しませんわ」


 真面目な顔で頷くシスティアーナに、少し困った表情(かお)を見せるアナファリテ。



「私ね( わたくし )、フレックと相談して決めたのだけれど、今年から数年は公務を必要最低限に控えて、王領地の湖畔の別邸に籠もろうと思っていたの」

「新婚生活を優先なさるの?」

「ふふふ。そうとってくれてもいいのだけれど。私は( わたくし )、王子妃よ。普通の貴族夫人とは少し違うの」


 アナファリテには出来なくても、システィーナが茶を淹れられるため人払いをして(侍女を下がらせて)あるのにも拘わらず、つい声を潜めヒソヒソ話になるふたり。


「⋯⋯だから、その間、ティアには傍にいて欲しいのよ」

「わたくしに出来るか判りませんけれど、前向きに考えてみますわ」

「王家にも縁の深い侯爵令嬢のあなたを使うみたいで申し訳ないのだけれど、やはり信頼の出来る方に頼みたいのよ」

「お気持ちは解りますわ。身元がはっきりしていても、慣れない人が側にいたのでは、僅かでもストレスを感じてしまいますもの」

「王宮に仕える侍女達が信頼できない訳ではないの。でも、出来れば、なるべく信用のおける極々身近な身内だけで、ゆっくり過ごしたいのよ」


 アナファリテは、今月末の社交シーズン最後の議会の後、フレキシヴァルトの整理がつき次第別邸に移る事になった。


 それまでに、システィーナがどれだけ付き合うのかを決めなければならなかった。 


 

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