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29.婚姻を結ぶ資格   



「我が国の婚姻法の中に『王家は同じ家系から複数の妻を娶らず』と言うものがあってね?

 例え正妃と側妃や寵姫だろうとも、公式だろうが非公式だろうが、立場が違っても、同じ家系から妃をとる事は禁じられている。

 姉と妹、叔母と姪、いずれも同じだよ。

 同じ家系からだけでなく、五代先まで、リングバルドから妃をとることは出来ないしね?」


 同じ国の王侯貴族から妃をとり続けると、関係性や力関係が他国と差が出来てしまうのを避けるためでもあるし、特定の血が濃くなるのを防ぐためでもある。


 力なく地面に座り込むマリアンナに、デュバルディオが手を差し出し、引き起こして立たせる。


「そもそも、僕には王位継承権はないからね? 例え許可されたとしても、僕と結婚する意味はないよ」


 立ち上がった瞬間に耳元へ口を寄せ、マリアンナだけに聴こえるように話すデュバルディオ。


「え? どういう事? 第三王子なのに? 側妃の子だから?」

「いいや? 同じ側妃の子でもトーマストルやフローリアナには、継承権はあるよ? ないのは、僕とアルメルティアさ。勿論、将来生まれる僕達の子供もね」


 他国の王の血を引く王子王女が王位を継いだ後に、外戚である他国の王家からの政治干渉や王家乗っ取りを避けるため、異国の王侯貴族の姫が産んだ王子王女は、王位を継げないと決められているのである。


「勿論、母上は、僕達が王位を継げない事を承知の上で嫁して来たんだよ。後出しじゃないからね。それはお祖父さま、リングバルド国王陛下もご存知だよ」


 リングバルド王家で知らないのは君だけじゃないかなあ。


 にぃっと笑うデュバルディオ。


 五代先の王までリングバルドから妃はとれないと言うことは、クリスティーナがエスタヴィオの側妃として嫁いで来た時点で、マリアンナにはコンスタンティノーヴェルの王家に嫁ぐ資格はなかったのだ。


「そんなの知らない、聞いてない⋯⋯」


態々(わざわざ)知らせるような事じゃないし、君も訊かなかったじゃないか。

 この国への使節団特使として、訪問が決まった時点で、ある程度の文化や習慣、法律には目を通しておくべきだろう? 罪を犯して、まさか罪だとは知りませんでしたと泣き落としが通じるとでも?」


 時々不意に意地悪な事を言う従弟(いとこ)が、今日ほど悪辣に感じたことはなかった。


 知ってて教えてくれなかったのか!? 婚姻相手として見られる事はないと知りつつ、アレクサンドルを追いかける自分を見て笑っていたのか⋯⋯!!


 今も、王エスタヴィオにやり込められるのを助けるどころか、笑って眺めながら更に突き落としている?


「僕の大切な再従(はとこ)叔母(おば)を莫迦にして、侍女を使って辱めておいて、僕が笑って見ているとでも? 後悔するといいさ。僕が国に帰れと行った時に帰っていればいいものを。父上は僕ほど甘くないよ」

 



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