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3.契約不履行と破棄



「メルティ。あのね、国王陛下が、オルギュスト様と結婚しろって仰ったからには、王の詔勅(しょうちょく)──王命なの。それに逆らうって事は、国に忠誠を誓った貴族でなくなるということなの。


 それに王命でなくても、わたくしの家は侯爵家で、オルギュスト様は王族の公爵家。格下のわたくしから婚約破棄を申し立てる事は出来ないのですわ」


「え~、酷いぃ。あんなにヤなやつなのにぃ」

「メル。言葉遣い」

「はぁい。ごめんなさい」


「でも、シス。これはいい事かもしれないわ」

「いいこと?」


「そうよ。人前でお父様の承認も得ずに勝手に婚約破棄して勝手に恋人を作って連れ回してる。契約不履行で不貞を働いてるのは間違いなくあちら。しかもやり方がおバカさん。きっとお父様も考え直して、婚約破棄してくださるわ」



 そうかしら? だといいのだけれど



 システィアーナはあまり期待していなかった。なにせ、あれが不貞を働いてるのは明白であるのにもかかわらず、今日まで放置していたのだ。


 そもそも不貞がなくても、9年に及ぶ婚約期間の大半が、エスコートもなし、寄り添う努力もなし、王家主催の夜宴会へのドレスや装飾品の手配も無し。

 無い無い尽くしであったのに、婚姻契約は続いていたのだ。


 結局、お家の為に、あれと結婚して不愉快な扱いも我慢して過ごし、子を成さなくてはならないのかもしれない。



「そんな事になったら、私がお父様に文句を言いに行ってあげるわ!」


「ふふふ。メルティは優しいですわね。ありがとうございます。でも、いいのですよ。メルティが陛下に叱られてしまいます。お気持ちはいただきましたから」


 確かに、胸が温かくなる。自分の為に怒り、自分の為に嘆いてくれる。心を寄り添ってくれる友人がいる。こんなに心強いことはないだろう。



「おやおや、随分、仲がいいのだね、私も混ぜてくれるかな?」


「殿下!?」





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