11.義理の姉妹
戸惑うシスティアーナに、ディオも賛成する。
「いいね。僕は大歓迎だよ。シスは頭もいいし、話してて会話がすれ違うこともないし、お強請りや我が儘言ったりうるさくしたり勘違いして甘えてこないし。何より可愛いし楽しいからね」
(かっ可愛い? わたくしが?)
「あら、自覚ないの? シスは可愛いわよ。私、シスと姉妹のように育ってよかったと思うわ。本当の姉妹になってくれてもいいのよ?」
「ミア、わたくしもミアと一緒にいられて嬉しいわ」
「あら、私達、相思相愛ね?」
ユーフェミアが、システィアーナに軽く抱きつくようにして笑いかける。
「それにしても、デュー兄さま、先程の例えは何? 会話がすれ違うとか、お強請りに我が儘、勘違いして甘えてくるとか、いいご趣味ですこと」
「違う、誤解だよ。過去にすり寄ってきた頭の軽い令嬢の事で、なにも付き合ってきた訳じゃないよ」
「だったら、アレクお兄さまのように、きっぱり線を引いて誰とも親しくしなければいいのよ。マリアンナみたいな押せ押せの、品性のない勘違い令嬢が義姉になるのはお断りよ。義姉になるなら、シスがいいわ。本当の姉妹になれるもの。ねぇ、シス? デュー兄さまもアレクお兄さまも、隣は空いててよ?」
精緻で耽美な絵画のように美しい顔を笑みに、未婚の兄を薦めるユーフェミア。
「あら。そうなれば、私もティアと義理の姉妹ね? ミア、いい考えだわ」
アナファリテも、こんな所で色気を振りまかなくてもよかろうに、エルネストが居心地悪くなるほど妖艶な微笑みを見せる。
デュバルディオは拒否も容認もせず、黙って微笑んでいるだけだった。
「ま、待って、二人とも。わたくしは侯爵家を継ぐために勉強してるのよ? 今だって、ミアの公務に付き添うのは、お祖父さまの公爵代行としてよ。王家に嫁げないわ。ましてや、王太子妃なんて、女当主と兼任は無理よ」
そう。格上の公爵家のオルギュストが王命で婿に決まっていたのも、祖父の名代として外交政策に関わって来たのも、将来ハルヴァルヴィア侯爵を継ぎ、場合によっては、祖父のドゥウェルヴィア公爵家を継ぐ可能性もあるためだ。
「僕なら、婿に行ってもいいよ? 兄上が王になってフレック兄さんが王佐になったら、第三王子の僕は新興公爵になるか、どこかへ婿入りするしかないんだし。
シスとは公務内容も近いし、ドゥウェルヴィア公爵にも可愛がってもらったし、仲良く出来ると思うよ?」




