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49.女子会とエルネスト  



 マリアンナが、近衛騎士にエスコートさせて薔薇の迷路を楽しんでいる中、ユーフェミアの勧めで、空いた席に座らされたエルネストは居心地悪くモゾモゾしていた。


(貴族院通常国会の後の茶の交流会ならともかく、王女達のお茶会に男一人で混ざるのは⋯⋯)


 上司であり公爵子息のアスヴェルはマリアンナの警護(監視)について行き、他の騎士達は四阿(あずまや)を囲むように数人立っているが彫像のように動かず、知らぬ顔。


「気にしないで? 今は、アスヴェルも居ないのだから従騎士(スクワイア)エルネストではなく、サラディナヴィオ公爵子息で女王ブランカの流れを汲むエステール公爵家(ゆかり)の、シスの(また)従兄(いとこ)として座ってればいいのよ。ね? お姉さま(達)」


 ユーフェミアもそうであるが、アルメルティアもまた、騎士物語やお姫様を助ける英雄の冒険譚などが好きで、好青年エルネストのファンである。


 身近に存在する護衛騎士達の中でも、愛想のいい者や空気のようにいるだけの者、爵位持ちで状況で話し掛ける事を許されている者、護衛はするが触れたり直接会話を許されない者などの格差がある。

 親戚筋で幼少から兄の学友として傍にいたので自然目が行きやすく、成長するにつれ公爵子息に相応しい教養と現役騎士にも通用する剣術と馬術を身につけていった、整った容姿と自然なスマートさを持ったエルネストは、身分差を気にせず素直に、憧れの対象に出来たのだ。

 これが、男爵家の次男や平民から出世して士爵位を賜った騎士だと、婚約者にするにも降嫁するにも条件が厳しい。


 エルネストがシスティアーナひと筋なのは(システィアーナ本人以外に)周知であるが、憧れるのは自由だ。


 年の差もあって、ユーフェミアほど自然に話し掛ける事が出来ずにいたが、いい機会だ、色々話してみたい。

 そんなアルメルティアの様子は、エルネスト大好き(リーナ)と重なり、システィアーナは微笑ましく見守っていた。

 知己の令嬢達にも人気の高いエルネストが、親しく付き合いのある(また)従兄(いとこ)なのが誇らしい。


 馴染みのある奥宮のメイドが、システィアーナが午前中に用意した焼き菓子を運んで来る。

 マリアンナがいなければ、システィアーナの手作り菓子にケチをつける者もいないから遠慮なく提供できる。


「シスの焼き菓子を食べるのは久し振りだな」

「今日のは、思いの外上手く出来たの」


 マリアンナを宥める為のお茶会ではあったが、状況が許せばエルネストにも食べて貰えるかもしれない。

 そう考えて、王宮でキッチンを借りてせっせと焼いたのだ。


 フレックとユーフェミアの公務が重なる事が増え、その分エルネストの世話になる事も自然と増えるようになった。

 シーファークで助けられた礼も一度は、ロイエルドと共にサラディナヴィオ公爵邸を訪ねて済ませてはいるが、個人的にもっと命を救われた感謝を伝えたいのに、互いが忙しく、機会が持てなかったのだ。


 マリアンナが抜けた女子会は、焼き菓子を頬張るエルネスト観賞会に変わっていた。





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