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44.王太子と王太子子息②  



 マリアンナ向けに、薔薇園の見えるサンムールに用意された茶の席は、急遽、そのまま非公式ながら、リングバルド王太子の第三子で第二王子ユーンフェイルとコンスタンティノーヴェル王太子アレクサンドルの会見の場になった。

 第二王子フレキシヴァルト、第三王子デュバルディオも同席している。


 少し離した長テーブルに、上座に賓客扱いのマリアンナ、仮の催主であったアルメルティアとユーフェミア、フレックの新妻でもありユーフェミアとシスティアーナの友人でもあるアナファリテも同席している。



「しかし、なみいる美女も恥じるような美しい容と( かんばせ )輝く金糸の髪に、コンスタンティノーヴェル直系にたまに現れるという七色を湛えた虹色の双眸(アースアイ)とは、美の女神も酷なことをなさる⋯⋯」

「両親の良いところを受け継いだに過ぎません」


「いやあ、男性にしておくのが勿体ないほどだ。君、確か、同腹の妹君がいたよね? 後で紹介してもらっても?」

「友好国の王子と王女として紹介は致しますが、私にそれ以上は望まないでいただきたい」

貴方も( • • • )妹姫が可愛いですか?」

「勿論ですが、そうではありません。あれも年頃の娘です。王族としてそれなりに婚家は選ばなければなりませんし、そうでなくても、内心、娘らしい想いを抱いているやもしれません。求婚するなとは申しませんが、あまり強引に踏み込まないよう、距離感は配慮ください」


「そちらから母が嫁して来てるからね、ミアまで嫁いだら、リングバルドとの絆が深まりすぎて周辺国との力関係が崩れかねないし、興味本位で話してみたいだけなら、ちゃんとした外交の席を設けるから、その時に、ね?」


 ディオが角が立たないよう助け船を出す。


「それもそうだね。直接の従兄妹関係ではないとは言え、叔母上を通じての外戚関係だし、ある程度の距離感は必要かもね。

 ⋯⋯聴いてるね? マリアンナ」


 周辺国との外交の観点からも、お前がここに嫁ぐのは無理だよ、という意味を込めて訊き返している⋯⋯ように、ユーフェミア達には聴こえた。

 マリアンナがどうとらえたかは解らない。


「しかし、これだけの美貌を持っていて、外交にも内政にも有能だと、将来有望な王太子なのに、恋人や婚約者は、本当に居ないのかい? もう、二十歳だろう?」

「あいにく、縁がなくて」


「まさかとは思うけど、その女性も恥じるような美しいお顔で、男性にときめいたりするなんてことはないよね?」


 春に向かう晴れた日のサンルームの中だけ、冬に逆戻りしたかのように気温が下がった。




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