表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
143/260

43.王太子と王太子子息  



 隣あわせの国の第二王子同士が笑みを浮かべ合っていると、マリアンナのために設えた茶席──庭園に面したサンルームに、アレクサンドルが入ってきた。

 マリアンナがユーンフェイルを見て「お兄さま!?」と立ち上がった時点で、侍女や従僕を使わず自らユーフェミアが呼びに行ったのである。


「おお! なるほど納得だなぁ。いかにもマリアンナが好みそうな、一幅の絵画から抜け出て来たような美男子だ。

 ⋯⋯失礼ですが、貴殿がアレクサンドル王太子殿下で間違いないでしょうか?」


 アレクサンドルが頷くと、ユーンフェイルは片膝をつき、利き腕を床に拳でついて上体を支え、空いた手で膝を抑えて頭を下げる。

 騎士が身分ある人物に挨拶をする時の、武器は手にしない、害意はないと武装解除を示す姿勢だ。


「面を上げられよ、ユーンフェイル殿下。友好国の王子同士、ましてや非公式訪問ならば身分に上下はつけなくとも良かろう」

「いいえ。非公式訪問だからこそ、非礼を詫びる意味でも、妹のかけた迷惑への謝罪の意味でも、礼は尽くさねばなりません。

 まして、私は王太子の次男でただの一王族。アレクサンドル殿下は王太子で、未来のコンスタンティノーヴェル王にあらせられます」


 そう言って譲らず、一通り挨拶の口上を述べる。


 そこで改めてアレクサンドルに促されて立ち上がる。


「お兄さま、殿下もああ言ってくださってるのに、何も臣下の礼を取らなくても⋯⋯」

「マリアンナ、解らないのかい? ⋯⋯これは、帰ったら、どこかに嫁ぐまで勉強漬けだね。

 いいかい? 殿下は、王太子なんだよ?」

「知ってますわ。王子同士仲良く出来ませんの?」


 小首を傾げて、兄に問うマリアンナ。


「解ってないね。王太子( • • • )なんだ、国同士の話し合いになった時、彼は同じ王太子である父上と同格なんだよ? 例え、僕より年下でもね」


 やれやれ、と、ユーンフェイルは肩をすくめてため息をついた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ