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41.マリアンナの弱点   



 本来貴族というものは礼節を重んじ、他家を訪問する時、使者を立て先触れを送るものである。


 それが、国を跨いだ上に、互いに王族ともなれば尚更のこと、「やあ、近くまで来たから寄ってみたよ」という訳にはいかない。

 それが常識であり、礼儀である。



「おっお兄さま、なぜここへ?」


 マリアンナが打ち震えて立ち上がった。


「だって、お前、使節団の用向きは終えてあらましの書簡は早馬で届いたものの、当の特使達とお前が中々帰ってこないから、迎えに来たんだが?」


 この場にいるリングバルド王国大使達とコンスタンティノーヴェル側の外交事務官、ユーフェミアとアルメルティアは、心の中で万歳三唱、先触れもなく突如入国訪問したリングバルド王太子子息──次男坊ユーンフェイルを歓迎した。


 護衛と称して配置された、マリアンナための観賞用近衛騎士達も、内心ホッとする。

 これで、無駄な行動力があり過ぎる友好国の王女のお守りから解放されると。

 

 使節団代表の話によれば、祖父であるリングバルド国王陛下と両親王太子夫妻、その長男ムンカイフェルよりも、この次兄ユーンフェイルがマリアンナの扱いがうまく、また、王女自身も素直に言うことをきくらしい。


 だが、様子を見ていると、素直に言うことをきくというより、怯えていないか?


 ユーフェミアとアルメルティアは首を傾げた。


 事情をある程度知っているデュバルディオは苦笑いである。


「昔からね、マリアンナが何かおいたをすると、ユーンフェイル殿下が仕置きをしていたそうだよ。勿論、仕置きと言っても非人道的なものではなく、嫌いな食べ物を皿いっぱい食べ終えるまで個室から出さなかったり、嫌って逃げる教養の指導を受けさせたりって具合だから、誰も助ける者はいなかったみたいだね」


 勿論、食べさせるのはただの好き嫌いした栄養価のある食べ物で、口にすると体調を崩すような、体質的に受け付けない物ではない。当たり前の事だが、そこはちゃんと確認してから食べさせているようだ。


 いずれ降嫁する王女だからと回避してきた社会勉強なども、ユーンフェイル自ら教えるという、ある意味優しい仕置きであった。


「で? お前が帰らないと我が儘を押し通す原因の美男子はどこにいるんだい?」


 ディオとメルティの母親であるクリスティーナ妃に似た面差しの整った顔を笑みに、ユーンフェイルは周りを見廻しながら訊ねた。




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