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11.サラディナヴィオ公爵家の総意



 サラディナヴィオ公爵家嫡子長男であるユーヴェルフィオは、公爵位は自分が受け継ぐので、弟エルネストは好きな相手を見つけて婚姻しても構わないと思っていた。それは、現当主である父親も同じであった。


 何より、システィアーナ大事が強すぎて、他の令嬢に目が向かないので、二十歳になるまでは自由にさせようと、婚約者も立てずに来た。



 ここに来て、オルギュストが婿養子の座を降りるなら、婚約者を立てずに来た事が、運好く働くのではないかとも思う。



 エルネストは次男だ。本来自分のスペアとして、王宮の官僚か領地で商いでもして領主補佐をさせるべきだが、エルネストの下にも弟はいる。


 婿養子に()っても、公爵家としては問題はなかった。



「まあ、そういきり立つな。エルネスト、もしかしたら、これはチャンスなんじゃないか?」


「チャンス?」


「オルギュストが廃嫡された後、お前がそこ(婚約者)に収まる機会」



 ユーヴェルフィオの言葉に、パッと薔薇色に頰を染めるエルネスト。わかり易い事この上ない。


(なんだ、自覚はあったのか)



 色を乗せた眼を見せることなく、ただひたすらシスティアーナを大事にする姿勢に、自分は(また)従兄妹(いとこ)として大事にしているのだと思い込んでいるのではないかと心配していたのだ。



(そうと決まれば、オルギュストが婚約者の地位を失う頃に合わせて、エルネストが後釜に収まれるように、根回しをしなくてはな)



 苛立つ自分を、機嫌良さそうに見る兄に、訝しげな視線をよこすエルネスト。横目で見れば、執事までもが生温かい目を向けているではないか。羞恥に益々、顔に熱が上る。



「兄上、まさか本気で仰るのですか?」


「問題はなかろう? 公爵家としては、まだ下の弟(シャルル)もいる事だし。お前が侯爵家に婿入りしても」





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