表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死後の世界は人手不足 ―お茶と空手があれば何とかなる―  作者: 井上 正太郎
第ニ章 空手家、異世界冒険者になる
51/51

第49話 横綱

第49話 横綱


 出発の日、ギルドでは大勢の職員が見送ってくれた。


「毒堀! 前から聞きたいことがあるんだが」

「何じゃ、儂か?」

「何で、毒堀なんだ?」


……


「何でというのは、ドワーフが漢字で“毒堀”という名前は付けないのではと思って……」

「おぉ、そのことか! 実は儂の名前は“ドク・ホリデー”というのじゃ。それを漢字にして“毒堀出井”じゃ」


 いやいや、漢字にする意味あんのかね?と思っていると、毒堀から説明してくれた。


「儂は、純粋なドワーフでは無いのじゃな。ばぁーさんが、異世界のポーランドという国から来たようで、日本好きだった」


 またまた、わからんことを言っている。確かにポーランドには、剣道や合気道の道場が多いらしいが。


 どうやら、こういうことらしい。


 毒堀の祖母が、子供の頃に隣国がファシズム化したらしい。そこで、祖母の国は東西の隣国から攻められ、消滅した。

 捕虜となった人々は、酷寒の地に送られたようだ。


 その後、祖母の国は独立を回復するも、酷寒の地に見捨てられた国民を呼び戻す力は無かった。

 そこで政府は各国に「子供だけでも、受け入れて欲しい」と、救援要請するも、見向きする国は無かったのだ。

 だが、奇跡は起きた。17日後、東洋の島国が、それに応じた。

 

 子供達は、東洋の島国を始めてみた。茶碗に箸、浴衣に帯。それら全て初めて見るものだった。


 子供達は、興奮した。熱狂的に喜んだ。


 そして、彼らは、しばらくの滞在の後、祖国へと帰っていくのだった。

 別れの時、祖母達は、島国の国歌を歌い船に乗ったという。泣きじゃくって、別れを拒んだ子供もいたという。


「儂も、ばぁーさんから、その国歌を習ったもんじゃ」


 異世界で、『君が代』を聞くとは思わなかったが、毒堀が歌う『君が代』は、歌詞も音程も微妙なものであった。


 そして毒堀曰く「蒼井が、日本人なので期待をしていたのじゃ。ばぁーさんが『日本人は優しく、公明正大だ』と言っておったしの」


 蒼井は、こんなに早く審査試験を受験出来たのは、毒堀のお陰だと悟った。

 正に、“情けは人の為にあらず”、先人たちに感謝だ。



 さて、蒼井達は、隣町までの馬車で出発し、馬車を乗り継いで行く。


 道中、長距離馬車もあるが、隣町までの馬車は、日本で言えば通勤列車みたいなもの

で、木のロングシートになる。

 尻にも腰にも、堪えそうだ。


 一方、長距離馬車は、進行方向を向いたクロスシートで、椅子もフカフカだ。観光バスに近い。

 中には、新幹線のグランクラス並のお金持ち使用の馬車もある。


 ギルドも気を使い、長距離馬車のある区間は使っても良いと言ってくれた。

 また、道中はギルド御用達の宿やギルド宿舎に泊まる予定だ。


 これで、10日の旅になる。


 午前9時の隣町行きの馬車が、ギルドのある中央広場から出発する。

 それまでギルドの食堂にいるつもりだったが、ギルド前にウルフがやった来た。


 ウルフは、いつも物静かだ。それがまた、知性が高そうに感じる。

 また、ある程度、人語も理解しているように思える。

 だから、今から、我々が、どこに行くのか理解しているように思える。


 だからウルフの言いたいことは、わかったいる。「連れていけ!」だろう。


 しかし、今回は依頼だからなぁ。

 それに、馬車に乗って良いのか?


 ウルフと目が合う……


「わかったよ!ギルドマスターに聞いてみる」


 マスターが言うには、「蒼井の従魔として、連れて行くのは問題無い」とのことだった。


 そのことを、ビリーとアニーに伝えると、ビリーが、「これから、一緒に行くなら名前をきめよう」ということになった。

 まあ、確かに、ウルフではおかしいとは思う。


 では何が良い?


 アニーは、あまり関心が無い様で、「セバスチャン!」とラフに答えた。

 それは、何だか、立場が正反対のような気がするぞ! 

 ウルフも納得していない感じだ。

 

「なんか、ウルフらしく、強そうな名前にしようよ!」と、ビリーの言葉に納得しているウルフ! 


ウルフらしく強い名前ねぇ……


 ウルフ、ウルフ。。。

 ウルフといえば千代の富士! 千代の富士といば横綱!


「横綱でどうだ?!」

「「横綱???」」

「そうさ! 故郷に相撲という格技があって、グランドチャンピオンのことを横綱って、言うんだよ!」

 グランドチャンピオンという言葉に、ビリーは興奮気味だ。


 ウルフの方を見ると、『満更でも無い』という顔をしていた。


 では、横綱だ!?

 今から、お前は横綱だ!



 蒼井は、ビリーと横綱、スロープシティで審査受験をするアニーとともに、隣町行きの馬車に乗り込んだ。


 

第ニ章 完




取りあえず、ここで終わらせて頂きます。

第三章は機会があれば書きたいですね。

第三章の『山賊女王の街』は、また、機会があれば書きます。

取りあえず、このお話は、ここまで!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ