第43話 ジム再び
第43話 ジム再び
向かい合い、悲しいかな。
蒼井にはジムの考えがわかってしまった。
ジムは肩当と胸当てをつけていた。鎖骨を守ろうというわけだ。
前回の対戦では、鎖骨を破られてしまったからだ。
鎖骨を守れば、腰だめからの一突きができると思っているのだろう。
「小賢しい」
だが、今回は蒼井から仕掛けた。
ジムが腰だめに構えようとした瞬間、ジムの膝下が激痛を覚えた。
継足からの上足底前蹴り!
いわゆる、和道流空手の脛蹴りという技だ。
蒼井が蹴った部位は、脛ではなく、膝の内側の下の柔らかい部分をブーツで蹴り飛ばしたのだ。
問題は、蒼井が蹴ろうとしていることに、ジムは、まったく気がつながったことだ!
いつ、蹴りのモーションに入ったのだ?
蹴りとは、放つ際、頭が上下してしまう技だ。
例えば、後ろの足で蹴る場合、軸足となる前足に、体重をかけた時点で、頭の位置が下がるので、この時点でわかるのである。
また、前足で蹴る場合は、後ろ足を引き付けた時に頭が上下する。
ところがである。
地味な基本動作の反復、移動稽古、股関節の柔軟性の維持のため股割りを繰り返しているうちに、後ろ足を引きつけても、頭は上下にも、左右にも揺れないようになる。
つまり、対戦相手は、いつ近づいてきたのか判断がつかないのだ!
気が付いた時には、蹴られているのである。
縮地法といっても良いかもしれない。
そうして、ジムは膝下を蹴られ、前屈みになり、軽く顔を叩かれた。
この一発の蹴りで、ジムは激しく動揺した。
今までに、経験したことの無い技術……
今までに、経験したことの無い痛みに……
足の痛みで、動きが悪い。こちらから、ナイフで突く、斬るというこはやり難い。
相手の突き手や蹴り足を斬るというカウンター作戦に切り替えた。
今こそ、相手の手首を絡めて斬ることが出来る、カランビットナイフの出番である。
さあ、蒼井よ! 突いてこい、お前の手首を切り落としてやる。
次回は、ついに「正拳突き」と「カランビットナイフ」の激突だ!?
蒼井の飲む、異世界の玉露は苦い!




