第36話 鬼の棍棒
第36話 鬼の棍棒
あぁ、どうしても、ゴブリンスタイルで、ノーパン・フリちんで熊から逃げるビリーが見たかった!
ビリーも、ノーパンで死ぬわけにはイケないから、必死で逃げるだろうし……
『アニーの奴め!』と思い、アニーを見ると、アニーも、何故か、こちらを睨んでいた。
不思議なこともあるものだな。
アニーも小柄だ。
5フィートぐらいしかない。まあ、ビリーがダメなら……
誰かが、魔法の詠唱をしているように感じるので、この場は、さっさと立ち退くことにする。
木の上で探索していたハンターが、木から降りてきた。
見張りのゴブリンとブラックベアの位置を地図に記載している。
これにより、襲うブラックベア……誘導するブラックベアと見張りのゴブリンが選定される。
いよいよ、ビリー・ザ・ゴブリンの出撃である!
とはいえ、ビリーがブラックベアの真ん前に立つのではない。
弓手がゴブリンの血で臭い布を弓で放ち、あたかもビリー・ザ・ゴブリンが弓で放ったかのように誤認識させれば、後はなんとかなる。
これが上手くできれば、巣穴までの誘導も出来るかもしれない。
見せてくれよ!
クマ公どもの怒りとやらを!
そして、矢は放たれた。
「この魚、美味い! めっちや美味いわ!」と、ご機嫌なブラックベアの前方に、最悪の悪臭が届けられた。
一気に不機嫌になるブラックベア!
このプレゼントの主を探すべく、辺りを見渡すと、憎きゴブリンが跳ねて、こちらを挑発している。
今日という今日は、許さん!?と意気込むブラックベア。
遠くで眺めているアニーは、
「めっちや、怒ってる。ヤバいよ。あれ!」と興奮気味だ。
その頃、カートは見張りのゴブリン、2匹のうちの1匹に向け、矢を放ち、仕留めていた。
残ったゴブリンがオーガを呼ぶために、残しておいたのだ。
残ったゴブリンは、蔦を引っ張ると、蔦に括りつけられた獣の骨が、ベルの役目を果たし、遠くまで危機を伝えた。
「先程は、オーガの来るのが遅かったからね」と、カートは笑った。今回は、オーガとブラックベアは、遭遇するのか?
どうなるだろうか?
ブラックベアは、一目散にビリー・ザ・ゴブリンを追いかけていったが、何故か、見失った。
しかし、最悪の悪臭はこの辺りを漂っており、鼻の効くブラックベアは、この匂いのもとを辿っていった。
そう、予め矢を使い、見張りまでの悪臭の道を作っていたのだ。
元々、カッコだけゴブリンだったビリーは、この道を離れ、変装を解いた。
やがて、ブラックベアは、見張りのゴブリンの元に辿り着いた。
ゴブリンは焦っていた。矢で攻撃を受けている中、ブラックベアの襲撃は予想だにしていなかった。
ましてや、ゴブリン1体で勝てるはずもない。ゴブリンは、集団だから手強いのだ。
『ダメだ』とゴブリンが思った時、頼もしい助っ人が来てくた。
オーガだ!
しかし、ブラックベアは無情にも、脇目も振らず、その牙でゴブリンを仕留めた。
また、最悪の悪臭が広がった。
これを見たオーガは、怒った。
ゴブリンに対し、これといった感情はないオーガだが、2度もブラックベアの襲撃を受けて、見過ごすわけにはいかない。
しかも、既に1体は殺られた後ではないか!そして、今、更に1体……
まあ、実際はカートらハンターが、最初の1体を射抜いたのだが、オーガの用心棒としてのプライドが許さなかった。
今、オーガとブラックベアの闘いが始まっまた。
そして、それを興奮気味で、望遠鏡を眺めるハンター達。
しかし、蒼井は、興味半分で水筒の緑茶をキメていた。
アニーは聞いた、
「興味ないの?」
「そんなことはないさ。だが、オーガが勝つんだろう。アイツ、用心棒をしているんだから」
ブラックベアがいる土地で、ブラックベアに、負ける奴を、用心棒にはしないということだ。
オーガの棍棒がブラックベアの頭を強打した。
続いて、2度3度と打たれたブラックベアは、ついに倒れてしまった。
ブラックベアは、誘導する危険を犯しても、ゴブリン相手が関の山のようだ。
ハンター達は、『この手は、あまり使えない』と思ったのだろう。
また、『オーガの相手も慎重さ』が必要だと思っているようだった。
「なるほど、戦闘力では敵わないが、オーガの呼出人にはなるようだな。では、巣穴の前にクマ公を集めようではないか」
やがて、そのオーガはカート達の毒矢によって弱らせ、倒れたところ、頸を掻っ切られた。
皮膚の硬いオーガは、矢が通りにくいため、毒を使うが、皮膚の上でなく、しっかり筋肉まで到達させるには、力のある弓手の矢が多数、必要なので、厄介な相手に違いない。
また、今回はギルドの掃討作戦なので、一度に10人の弓手を集められたのが、幸いであった。




