第31話 先遣隊
第31話 先遣隊
町で、魔物が暴れていたころ、ギルドが魔物の巣窟を探すために、先遣隊を送り込んでいた。
牧場を襲撃した魔物の足跡や血痕から、西野山方面と思われた。しかし、西野山はブラックベアが多く生息しており、複数人のハンターでの行動を義務付けられている危険地域だ。
当然、先遣隊も5人以上のパーティで行動している。
このパーティのリーダーは、カート・フランコだ。
この山に入って5日が経過した頃、山がやけに騒がしくなった。
ゴブリンライダーだ!
しかし、何匹かのウルフには人間が乗っているではないか!
更に驚いたことに、その人間はギルド職員の制服を着ているではないか。
また、一頭のウルフが、続いてやって来た。重症者を運んでいる。人間の……
「あの顔は、ジム?」
『何かおかしいことが、起きている』と直感したカート達は、ゴブリンライダー達を追跡することにした。
だが、簡単には追跡させてもらえなかった。
この後に走ってきたゴブリンライダーは、そう人間の少女を攫ってきたようだ。
何のために、人間バーベキューの食材にするためにだ。
そう、人の味を覚えた羆は女を襲うという。
あの三毛別羆事件を、貴殿はご存知だろうか?
三毛別羆事件は、体長2.7メートル、体重340キロの巨大羆が、雪で孤立した北海道の開拓村の村民を、毎夜、毎夜、襲い殺した、日本最大の獣害事件である。
ここで気になる点は、羆はある時期から、襲い方が変わってきたという点だ。
当初は、見境なく人を襲っていたが、ある時期からは、女と子供しか襲わなくなった。
味を覚えたのである。
つまり、獣からして、人間の女と子供は美味かったのである。
だからといって、男達も無傷な訳もなく、太腿の肉をゴッソリ、爪で持っていかれた者もいるのである。
また、開拓村の住宅であるから、簡素なだけに、羆の体当たりには耐えられるはずもなく、消し飛んだらしい。
雪の降る中、安全な場所もなく、震えるしか無かった三毛別村の村民は、助けが来るまで、さぞ恐ろしかったであろう。
カートは、怒りに震えた。
「ゴブリンめ! 血に飢えた獣とかわらんか!」
カート達、パーティはジムの追跡より、少女を助けることにした。パーティの中で、カートの判断に反対する者も無かった。
しかし、カートを悩ませたのは、すぐにジム達を追跡したいが、助けた少女を町に送り届けなくてはならないということであった。
パーティを2分すると、ブラックベアと遭遇した場合、対処ができない。そのため、他のパーティと合流する必要があった。
そのため、巣穴の発見が遅れてしまったことが、とても残念であった。




