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死後の世界は人手不足 ―お茶と空手があれば何とかなる―  作者: 井上 正太郎
第ニ章 空手家、異世界冒険者になる
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第29話 終結

第29話 終結


 “例のギルド職員”は、ジムの顔を覗き込みながら、仕込みナイフとカランビットナイフを回収した。証拠は残すべきではない。


 先ほど蒼井と試合をしたアニー・オクレーが、「それ、どういうことよッ、説明しなさいよ」とやって来た。

「倒れている奴が勝ちなわけ?」と、くってかかっている。


 ギルド職員は、「目突きは反則だ。よって、蒼井は失格だ」とは、言うものの、そんなルールは無いので、アニーが、さらに食ってかかる。

 アニーの性格が許さないのだろうし、自分に勝った蒼井が負けるのも、許し難い。


 ジム・ライトは担架で運ばれているが、アニーとギルド職員は、まだやりあっていた。


 そこに、ギルドマスターと毒堀が、観覧室から会場へ割って入ってきた。

「サンダンス、これは、どいうことだ!?」

 サンダンスとは、“例のギルド職員”のことだ。

 マスターが、ここに来たということは、部下達が、マスターを抑えられなかったのか?

 この女の抗議が長過ぎるのか?


 おそらく、どちらもだろう。サンダンスは、舌打ちせずには、いられなかった。



 サンダンスがギルド職員になったのは、10年ほど前のことだ、以前の職は強盗だ。 

 何度か捕まり、脱走を繰り返したが、盗賊団は壊滅することは無かった。

 その盗賊団は、専ら馬車と銀行を襲っており、専門家といっても良いぐらい馬車と銀行を襲っていたが、この国のシェリフは優秀なのか、サンダンスは何度か捕まってしまった。


 ある日、銀行を襲撃した際、1人のシェリフと格闘となった。

 大金を手にして、仲間たちとズラかるところに、そのシェリフは1人でやって来た。

 油断していたこともあり、5人のうち、3人がアッという間にヤラれてしまった。


『これは、ヤバい』とサンダンスは思った。

 今は、こちらは2人いるが、どちらかがヤラれるのは、時間の問題だとサンダンスは理解していた。

 そこに、もう1人、シェリフが現れた。

「ジムか!? 良いところに来てくれた。ジムは右の奴を相手してくれ」と言うと、瞬時に、もう1人の仲間の盗賊団員を始末した。


 残るはオレだけだ。死を覚悟したとき。その無敵に思えたシェリフは倒れていた。

 何が起こった……


 見ると血まみれのカランビットナイフを持ったシェリフが立っていた。確か、ジムとかいったよな。

「馬の用意は?」と聞いてくるので、

「当然している」と回答した。


 2人は、カネを詰め馬で逃走した。

 ジムは「相方を失ったショックでシェリフを辞める」と上手く退職し、今では、用心棒をやっている。

 まあ、解雇だったのだろうが……

 

 また、オレは、その日から、サンダンスと名乗っている。

 

 経歴を偽り、このギルドに辿り着いたが、元強盗には、ここの給与は満足のできるものでは無い。

 ましてや、こんな便利屋がいたのでは、依頼単価が下りかねない。そうすれば、益々……




 さて、ギルドマスターが詰め寄ってきた時、「ここらがここも潮時か?」


 ジムは部下らが、何とかするだろう。

 そう判断したサンダンスは、ジムのいう“あの人”から頂いた魔石を取り出した。

 そして、魔石は赤い光を放った。


 バリン、バリンとガラスの割れる音が、町のあちこちで聞こえてくる。 


 魔物達が暴れているのだ。


 ギルドにもゴブリンライダーが侵入してきた。

 ギルドに手続きをしに来ていた一般住民達は、魔物から逃げるも、ウルフに跨ったゴブリンライターから逃げることは難しく、何人かは棍棒で殴られ血を流していた。

 蒼井達も交戦するも、走り回るウルフに追いつける訳もなく、住民を守る防衛戦が主体となっていた


 そこに、大きな雄叫びが響いた。


「ワオオオオォーーン」


 そこに現れたのは、仔牛ぐらいある巨大なウルフだ。しかも、尻尾はとても大きく二股に分かれているようだ。

 巨大なウルフが、ゴブリンライダーに体当りすると、ゴブリンもウルフも天高く舞い上がる程の威力がある。そもそも、体格が違い過ぎる。


 今まで、いい気で調子に乗っていたゴブリンライダー達が、青ざめるのが伝わってきた。

 逃げ惑うゴブリンとウルフ。我先にとギルド施設から出ようとするが、巨大ウルフの牙に噛みちぎられている。


 ハンター達は、住民の護りに出撃して行った。

 蒼井は、巨大ウルフの近くに寄っていった。ギルドマスター達は、「危ない!」と口々に警告をしたが、“ふたり”は初対面ではなかった。

「お前は、あの時の……」


 そう、あの時! あの時だ!

 墓場でアンデッドに襲われた時、また、野営をしてゴブリンに襲われそうになった時、いつもオレを助けてくれる大型の四足動物は、巨大なウルフだった。


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