第27話 悲鳴
第27話 悲鳴
蒼井、ジムともに睨み合っていた。
先に動いたのはジムであった。右手のナイフを降り、蒼井の顔面襲った。
その時、蒼井は『素人臭いな』と思った。ナイフを振り回すのは、怖くない。命を狙う時は、刺す場合が多い。
だが、今は、命のやりとではないので、フェイントだろう。左手で仕掛けてくるのが、本命か?
そう考えていると、やはり左手で突いてきた。
あまり、速いとはいえない速さだった。神足雷撃の伝統派空手になれている蒼井にとって、速さに関しては、スローな闘いであった。
だが、ジムのナイフを蒼井が左手のナイフで受けた際、ナイフがぶっ飛ばされた。
何故だ? 同じ木製の模型のナイフにしては、奴のナイフは木製にしては、重かったように思える。
「鉄製のナイフではないのか?」
「これのどこが、鉄製なのだ? 新人んん?」
確かに、ジムのナイフは木で覆われていた。だが、仕込み杖のように中は、金属で出来ていることは、ジムと立会をしている職員連中しかいなかった。
左手のナイフを無くした蒼井に、ジムのナイフが容赦なく襲いかかる。
さて、ジムが何故、ナイフ型の武器を選んだのだろうか?
それは、近接戦闘になるからである。お互い接触する距離なら、周囲に見えない角度から、仕込みナイフや隠しているカランビットナイフで殺すことも可能だからだ。
さあ、片手で2本のナイフを受け続けるが良い。
しかし、
「ぐあぁぁぁ」と、悲鳴の声を上げたのはジムだった。