プロローグ4 吸血鬼の王
「その子が予言の子かい??」
声が聞こえる。男の声??いったい誰の。
「はい。」
「彼の予言はやはり本物なのかもね。時間も場所もぴったりだしね。」
「手当てはしました。クロウリー様。」
「ありがとう白。いつもすまないね。」
「いえ。我らが王のためならば。」
「すまない。下がってもいいよ。」
「はい。」
コツン。コツン。足音が近づいてくる。
「君はこのままでは死ぬよ?」
何を言っている。俺は今は痛みもない死ぬ要素なんか何処にもないじゃないか。
「ふふ。君は死にかけたことは、覚えているかい?」
死にかけた??
「あぁ。」
覚えているさ。忘れるはずがない。絶対に。
「力がほしい?」
欲しい!!奴等に勝てるだけの力が。
「ならば君は人間をやめる覚悟があるのかい?私達と共に来る覚悟が。」
人間を?私達と?貴方は人間じゃないのか??
「そうさ。人間だったらなぜ言葉を喋れない君と会話ができるのかな???。」
喋れない?声?なぜ声が。手の感覚が足の感覚が全部無い。
なぜ。目も見えない。今はどこにいる?ここは??
「君は椅子に座っているよ。地獄の門。そう呼ばれる場所さ。まあ君の住んでいた世界の地下と思ってくれていい。」
貴方は??
「あぁ。これはすまない。私はアレイスタークロウリー。吸血鬼の王をさせてもらっている。」
吸血鬼。奴等と同じ。
「そうさ。君は君の家族を奪った者に復讐するために奪った者と同じ者となる覚悟があるかい?」
そうだ奴等は俺からすべてを奪った。奴等を殺すには力が必要だ。あんな化け物に勝つためには。どれだけ頑張っても人間じゃ追いつけない。ならば答えは決まっている。
覚悟はある!!お願いだ!!!力を奴等を殺すだけの力が欲しい。理不尽を壊すだけの力を!!
「よかろう。ならば君を私の仲間に、我が眷属へ迎えよう。君の名を。」
刹那!淡井刹那だ!!!
青い光が降り注ぐ。下には魔法円が青く光る。
「目を開けてごらん。これからは君の見る世界は変わる。全てが変わる。」
ゆっくりと目を開けた。体が動く。椅子から立ち上がった。青く光る部屋。下の魔法円が、黒い電気のようなものを生み出す。
「覚悟の上さ。俺は貴方の眷属となろう。」
膝をついてそう答えた。
「さぁ刹那。血を飲むんだ。」
彼の手首から流れる血を飲んだ。
ゴクリ。
体が壊れるような痛み。悶えた。叫んだ。
頭に浮かぶ母との思い出。母を殺したやつの顔。
俺は奴等を絶対に。絶対に殺してやる。
ごめん、彩音。明日も会うって約束守れそうにないな。。
この痛みが俺の決意の証。もう振り返らない。
進もう。覇道を。茨の道だとしても。
そしてこの日俺は人間をやめた。