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1-D100-76 魔王独白中


 暗闇に魔王の姿があった。

 椅子に座ったまま、闇の中に居る何者かに向けて話をしている。


「なるほど、マリ公。貴様、上手い事を考えたな」


「落下してくる小惑星を『冥化』させ、貴様が耐えうる限り地下迄運ぶ」


「貴様が地下深くで小惑星を『解放』させるか、貴様が高温に耐えられなくなって死ねば、

 小惑星は地中深くでエネルギーを解放させられる事になる」


「地中深くであれば、小惑星が幾ら膨大なエネルギーを持っていると言えども、更に巨大な圧力によって殆どを封じ込められる」


「ついでに、甲種グレイグーを暫時パンドラボックスから解放して焼き、解放もしくは死とともに最終的に全てを焼く」


「うむ、いい考えだった」


「そして内海へ残した貴様自身の波動と、新たに得た『螺旋』の『言霊』で復活を期す」


「これも良かった。ミツチヒメをヒントにしたのだろう?」


「正解に近かったのだが、残念だったな。燃え尽きてしまってはダメだ。ダメなのだ。

 地下二百キロメートルまで行ったのは立派だったが……行き過ぎたのだ」


「まあまあ、気を落とすな」


「そうそう、オマケの分離は成功していたと言っておく。……ふむ、そんなに喜ぶとは奇妙な……」


「だが、たいしたものだ。あの小惑星のミッションをクリアしたのは貴様が初めてだ」


「そうだ。鼻を高くしてもよいぞ」


「予はな。余りの暇さに死にゆく者どもの夢を眺めているのだがな。オモシロそうな者をこうやって舞台に放り込むのだ」


「そして、あらゆる試練を課す。碌に何もできない者が殆どだがな」


「おっと、怒るな」


「別によいではないか。死する者が死にゆく間に、もう一つの人生を夢見られるのだ」


「邯鄲の夢だとは言え、それは現世とも然程変わらない」


「さて、貴様は試練を乗り越えた。褒美をやる」


「それは、あの『貴様の世界』だ」


『パチン』


「予が指を鳴らした今この瞬間に、あの世界は実在することになった」


「……なんだその顔は? うむ? どうやったかと?」


「特別にヒントを教えてやる。SFは嗜んでいたな?」


「無限インフレーション理論を利用した、とだけ言っておこう」


「何、信じられない? ふっふっふ。そう思うか? 予に不可能はない。実際、既に何万もの世界を作ったものだ。そして、日々色々と実験を繰り返して居る」


「ん? 甲種が本来いる世界はその一つで、何らかのミスであの世界に出現するようになってしまったのではないかと?」


「同じように、複数の近い世界が一部重なってしまっていて、予期せぬ人の行き来や、人格の混線が起こっているのではないかと?」


「……う、五月蠅い! ほほう。貴様、どうも予が世界構築に失敗したとでも言いたそうだな」


「……うむ。わかればよい。余り聡くても長生きできるとは限らぬからな?」


「兎に角、貴様には元の世界での寿命が残っているのだ」


「そうだ。まだ死んでおらぬ。そういう事になっているのだ。儲けものではないか?」


「だから戻って生きて、適当に死んで来い」


「わかったな?」


「では、しばしさらばだ」


――――――――――――


第一部「マリヴェラは世界に金の雨を降らせた」完。


第一部終了いたしました。

この様な所までお付き合いしていただいた読者の皆様には、感謝の言葉もございません。

第一部はそのまま完結扱いにはせず、続けて第二部を投稿してゆくことにしました。

……ある程度書き終わってからですがw

(今の所3~5万字程度ですが、何度も書き直す癖がありまして……それに番外なんかもw)

何を書くかはほぼ決まっているので、あとはどう描くか。です。

頑張って、皆様に忘れられないうちに再開させたいなと思っております。


「では、しばしさらばだ」

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