2-D100-31 タカマツによる報告書6 & 船の神12 (第二部前半終了)
タカマツ君の報告書と第二部前半の終章です。
『タカマツによる報告書6』
親愛なる宰相閣下へ 忠実なる部下より
マグヘイレンの混乱は長くは続きませんでした。
大統領が事態の収拾を図ったからです。
流石に、今回の騒ぎで息子の不祥事を見てみぬふりはできませんでしたね。
勝手に全軍を動かして、姿を消したユキ王女の捜索にあてたのですから。
いくら名目上は軍の幹部とは言えど、やり過ぎました。
ユキ王女の行方は分かりませんでしたが、コバルト公国を通過したのは我が国の隠密の報告で確認できました。
魔王と本物のロンドール候と一緒です。
結局、こちらの方が本物だったようなのですが、あの赤い鬼神は一体どこに消えたのでしょう。
もしかしたら、魔王が処理したのかもしれません。
もうこれ以上の動きは無さそうです。
僕も一旦メリッサに戻ります。
今度はもっと刺激のある、例えば「鉄壁女王コンスタンツァを落とせ!」とかそう言う任務を賜りたいと存じます。
追伸 2000字には到底足りそうにないので、僕と汀の日常生活を記したいと思います。
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フォルカーサ帝都メリッサの郊外。
「宰相殿」の私邸にて。
その宰相殿が、タカマツからの報告書を丸めて床にたたきつけた。
「なんで俺がお前の実体験18禁小説を読まされなきゃいけないんだよ! リア充しね!!!!」
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『船の神12 第2部前半終章』
「それで、どうしてマリさん飛べないの?」
ロンドールへの帰途。
ミュリエルⅡ号の船室の中で、俺はクーコ先生に再教育されていた。
アンだけ自由に空を飛んでいた『愛の神』を取り込んだ俺だったが、何故か「飛べる設定」が消失していたのだ。
それ所か逆に「飛べない設定」が付加されているらしい。
まさか、である。
風属性が18あるのに、ホンのちょっとしか飛べないもんな。
モモンガとどっこいだぜ?
マジあり得ねえ。
魔王に聞いても「知らん」の一言。
ま、理由は薄々分かっている。
死の間際に、『愛のマリヴェラ』がもう自分は飛べないんだと強く感じたからだ。
でもまさか、それが設定と化して俺に引き継がれてしまうなんて。
「だからクーコさん、許してください」
「駄目。だって、もし飛べればアタシたち3人乗せて飛ぶくらいできたでしょう? 1日か2日で帰れたのよ? 魔王様は多分体重変えられるんだし」
「は? お前らはナンだよ。お前ら二人で十分重量オーバぶぐぇ」
グーで殴られました。
いつも通りの風景です。
ユキは寝台に腰かけてコロコロと笑っている。
……ああ、俺はこれが欲しかったんだ。
お前もそうじゃなかったのか? なあ、愛の神よ。
第二部前半おしまい
こんな所までお読みいただき有難うございました!
前半を第二部、後半を第三部にしても良いのですが、その場合は四部構成となります。
時系列的には第二部の前半と後半は連続していますし、字数的にも丁度ではないかな、と。
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続きをお楽しみに!!
……今度は半年も止まらぬように……。




