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1-D100-00 マリヴェラ作成中


 ようこそ皆さん!


『マリヴェラは世界に金の雨を降らす ~Angerworld~』の第一話をお読みいただき有難うございます。

 舞台となる世界は、資源が少なくてその分魔法が発達しているという場所です。

 大陸・島嶼間の移動は基本的に帆船での移動となります。

 「思念場」というものがあり、それによって欲望や邪念が増幅されやすい世界でもあります。

 ここでは、強い存在であっても一人では生きていけません。

 この物語は、そんな世界に「転生」してしまった主人公と、その周りで起こる出来事の物語です。

 楽しんで、時に笑い、時に泣く。

 最後に少しでも皆さんに残る言葉があれば幸いです。

 それでは、九路守ワールドをお楽しみください!


――――――

 

 嘗ては「アンガーワールド」と言うTRPGで遊んでいた中村君も、今はいいオジさん。

 ある日、ふと気づくと暗闇でサイコロを振らされていた。

 ここは「アンガーワールド」の世界なのか?

 転生、女体化、運命神。

「ナニこれ?ラノベかよっ!GM何処だ?GM!」

 偶々乗り込んだ帆船「スパロー号」に揺られ、中村……いえ、運命神マリヴェラの旅が始まります。  


 

 真の闇の中。

 俺の目の前に、光る六面体のサイコロが三つ浮かんでいる。


 暗すぎて自分の手も身体も見えない。

 風も無ければ、臭いもない。

 何故俺はこんな所に突っ立っていているのだろうか?

 今、何が起こっているのだろうか??


 頭を振ってみても、直前の事が思い出せない。

 これは夢か?

 確かに、何か悪い夢を見ていたような気もする。


 サイコロの上の方に、これも白く光る文字と数字が現れた。


 曰く。


「サイコロを振って下さい」


 あ?

 ナンだってんだ。藪から棒に。


 そして、数字の方は、10・9・8……と、減っていく。


 カウントダウン?

 ゼロになったらどうなるんだ?


 ちょっと気になるけれど、「時間切れ」を試したくは無い。

 とりあえず腕を伸ばしてサイコロを纏めて掴み、えいっと投げた。

 三つの六面体のサイコロは、硬い音を立てて散らばった。


 6と6と……6。


 おっと、凄いな。

 ゾロ目じゃん。

 ひゃほー!


 サイコロは虹色の光を発して消え去った。

 すると今度は十面体のサイコロが二つ、目の前に浮かんだ。


 いやあ、しかし懐かしいね。

 十面体のサイコロなんて、昔遊んだテーブルトークRPGの時以来だ。

 ていうか、これはキャラメイクでもしているのだろうか。


 再び「振ってください」の文字と、カウントダウンする数字が闇に浮かぶ。

 同じようにサイコロを掴み、投げた。


 9と、6。


 これは「96」という意味でいいのかしら?


 いきなり、視界が光に包まれた。

 よく磨かれた黄金の様な光は、やがて収斂(しゅうれん)して大きな粒となり、真夏のスコールのように俺に降り注いだ。


 皮膚で感じる限りでは、これは確かに雨だ。

 金色に光り輝く雨だった。


 頭上を見上げ、(てのひら)で雨粒を受け取ろうとして広げた。


 俺は固まった。


 自分の身体も見えない程の暗闇だったはずなのに、今や自分の手が見える。

 腕が見える。

 下を見下ろすと、身体が見える。


 雨が止んだ。

 今や、暗闇に俺だけがいる。


 いや俺だと思うんだけれど……。

 いきなり見えるようなったこの裸体は俺なのか?

 手は小さくて可愛らしいし、乳房もある。そして何より……。


 え??

 どうしてこうなった?

 夢だろ夢。


 そうこうしていると、またもサイコロが闇に浮かんだ。

 それは普通の六面体のサイコロが二つで、そばに「月」と言う漢字が光って浮いている。


 月?

 まさかな?


 3Ⅾ6の次に2D10、今度は「月」で2D6だと?

 となると、その次は「日」で、更に次は「火」だろう。


 夢だ。

 間違いない。

 やはりこれは夢だ。


 なぜなら、これは二十年も昔に発売された「アンガーワールド」っていうテーブルトークRPGのキャラメイク作業と同じ流れだからだ。


 懐かしい。

 仕組みが複雑すぎて、GM(ゲームマスター)がしっかりしていないとカオスになるんだよな。

 またもカウントダウンが始まった。

 もしコレが「アンガーワールド」なら、「月」のサイコロを振る前に、やってみる事がある。


「『知る』と『ツく』を『言霊』として魂に刻む!」


 聞きなれない声があたりに響く。

 もちろん女の声だが、俺の声だ。

 そしてサイコロを掴み、投げた。


 5と6で合計11。


 続いて予想通り「火」の字が現われる。


 カウントダウンの間に、再び自分の手を見た。

 情報が視覚的な形となって頭に流れ込んでくる。

 これは多分、「言霊」の「知る」の効果だろう。


 名称「マリヴェラ」

 種族「神族」

 系統「運命」

 性別「女性」


 ……なるほど。

 一番初めの3D6は、やっぱり種族決定ダイスか。

 次の2D10は系統決定ダイスだな。

 そこで偶数だと女性キャラになる。

 だから女性キャラになるのは仕方がない。

 でも名前が決まっているのはなんでだ?


 ともあれ、俺は繰り返しサイコロを振り、以下続いていった。

 結果、得られたのが以下の数値で、これが俺の「基本属性値」である。


 月 11

 日 4

 火 3 

 水 16

 風 7

 金 10 

 土 8

 固 4

 流 9

 冥 39

 魔 15

 聖 9


 一か所出鱈目の様に大きな数字がある。

 まるで某ダンジョンRPGで、何度も何度もキャラメイクを繰り返すと稀に出てくるような数字だ。

 それはフロッピーディスクの時代だった。


 マジ懐かしい。

 ナンだかわからない?

 いや、いいんだけど。


 次に種族補正が加わる。

 すると次のようになる。


 月 17

 日 7

 火 4

 水 17

 風 8

 金 12

 土 10

 固 6

 流 11

 冥 47

 魔 18

 聖 12


 種族補正でずいぶん数字が変わったが、神族という種族はそれだけ基本的な能力が高いのだ。

 神族の属性決定には六面体のサイコロ二つが使用された。

 しかし人間は、六面体のサイコロ一つだけである。

 前者はゾロ目が出ると再び降り直した数字をそのまま追加できるのだが、人間はそれもない。

 種族補正もほぼ無い。


 簡単に言うと、神族は全体的に強く、中にはとんでもない強さを持つ個体がいる。

 反面、人間はどんなに頑張っても大して強くないし、個体差も無い。

 少なくとも肉体・属性値の面では。


 では、ボーナスポイントを加えてみよう。

 これは神族でも六面体のサイコロ一つ分、1D6である。

 サイコロの目は……5。

 これを振り分けてゆこう。


 月 18

 日 7

 火 4

 水 18

 風 8

 金 12

 土 10

 固 6

 流 11

 冥 50

 魔 18

 聖 12


 月と水に1ずつ。残りは冥にブちこんだ。

 数値が17と18では、使える能力が劇的に変わるからだ。

 これはその内に触れることにしよう。


 冥に関しては、47と50の差は果てしがない。

 50は47の約1・618倍の1・618倍の1・618倍だからだ。

 数値は整数ではないのだ。

 だからこの場合、余るポイントは最も数値の高い属性値に振るのが正解なのだ。


 さてさて、その中でも今回高属性値を持つキャラは、最強の部類だと思われる。

 GMにとって見れば、弄り甲斐があって面白いキャラかもしれない。

 自称「シナリオのネタ師」の俺がGMなら舌なめずりする所だ。


 まあ、個人が幾ら強くても、世界を統べる事ができるか?

 などはまた別の話だ。


 この化け物みたいなキャラ個人で世界征服をたくらんだとしても、弱点を暴かれて結構簡単にやられてしまうだろう。


 このキャラの場合、日や火の魔法を使える者何かが出てきたら、殺られる前に殺るか逃げるしかない。

 火に対する防御力は人並みでしかないのだ。

 単独で火竜を倒せとか、マグマ噴き出る火山の火口に行けなんてクエストがあったら、即座にお断り申し上げる事になる。


 ただ考えてみると、誰かがクエストを受けるのなんて、普通お金の為だ。

 何の為にお金がいる?

 食う為生きる為だ。


 神族は殺されでもしない限り不死身なのだ。

 変なキノコを食っても死なない。


 それ所か、あの数値なら基本食事も不要なはずだ。

 ならGMに強制されでもしない限り、危ない橋は渡らなくてもいい。

 汗水垂らして働かずにゴロゴロしていれば良いなんて、夢のような話ではないか。


 無職住所不定決定的。


 さてさっきはさらっと流したが、「俺」の名前は「マリヴェラ」だった。

 どうも決定済みらしい。

 当たり前だが、俺の本名は「中村賢」であって、そんな横文字ではない。


 ただ、正直言うとその「マリヴェラ」という名前は知っている。

 昔々、あの「アンガーワールド」に嵌っていた若かりし時代。

 俺はゲームの世界を舞台にした小説を書いた事がある。

 完結もしていないし、当然表になど出しては居ない。


 若い頃の黒歴史だ。


 なんだかんだ小説は書いてきたが、あれは今読み返すと血圧が上がること間違いない。

 その小説の登場人物の一人が、マリヴェラという名だった。

 でも彼女は普通の人間だった筈だけどな。


 しかし今頃、なんでこんな夢を?


 目の前に、金色に光る門が現れた。

 その向こうは白い光で満たされ、よく見えない。

 暗闇にはもう何も無さそうだ。


 俺は門に向け、足を踏み出した。



 皆さま初めまして。九路守です。

 貴重な時間を使って読んでいただきありがとうございます。

 実はワタクシは、長編どころか短編をもきちんと書き上げた事が有りませんでした。

 あるとしても、若い時に漠然と「小説を書きたい」と思っていた時期に、ほんの少しまねごとをした程度です。

 でも、諸事情あって、小説家になる事にしました。

 書くしかありません。

 このシリーズは予定では三部構成となるはずです。

 長いです。

 しかし書き上げると決めました。

 どうか、お一人様であっても、最後までお付き合いいただければこの上ない幸せであります。

 どうぞ、宜しくお願いいたします。


2019/7/25 前書き・あとがき改変。本編微修正。

2019/7/26 ナンバリング追加。

2019/8/6  微修正。

2019/8/27 微修正。

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