運命の赤い糸
「どーも、恋愛の神さまです」
「へ?」
突然天使の服装をした女性が私に話しかけてきた。
「神さまの気まぐれサービスです。あなたの恋愛について占ってあげましょう。」
セールスみたいな言い方だ、怪しい。
「不審なあなたに乙女の秘密について話すことはできないわ」
「疑り深い人ですね。それじゃあ予言しましょう。明日、野球選手の○○とアナウンサーの△△が結婚発表しますよ」
「えっ!マジ!?」
「ふふふ、どうでしょう。ではまた明日」
目が覚める、今までのは夢か。ヤバイ、遅刻だ。
いつものように学校へ行き、退屈な授業を受け、家に帰る。夕刊を見てみると一面に
《人気アナウンサー△△と若手野球○○が婚約発表》
の文字。驚きを隠せぬまま床につく。
「驚きましたか〜?」
夢の中で彼女が自慢げに現れる。
「いいわ、あんたのこと信用してあげる。それで何を見てくれるの?」
「あなたの恋愛の運命、そう!運命の赤い糸です。」
「赤い糸?」
「Yes!人の小指には見えないですが、すべからく赤い糸が結ばれています。その糸の先をあなたに教えてあげようというのです」
「いっいいわ、きっ聞いてあげようじゃないの 」
運命の相手。倉木くん。もしも私の赤い糸が倉木くんに繋がっていたら。あぁ倉木くん、その美しい顔、優しい言葉遣い、何を取っても完璧な私の王子さま。
「おーい、聞いてますか?」
「あぁごめんなさい、それじゃあ、いやまだ心の準備が…」
「もうまどろっこしいですね。言っちゃいますよ」
「ちょっ!ストップ!ストーップ!」
「まぁそう落ち込まないでくださいよ。こういうこともありますって」
「もういい、死ぬ」
最悪だ。倉木くんと結ばれないのなら生きる意味はない。赤い糸なんてもの消してしまいたい。もういっそのこと何もかもが無くなってしまえばいい。いや、待てよ。
あーそうか、その手があるのか。
「ねぇかみさま、もうひとつだけきいていい?」
「おはよー、ってその指どうしたの!?」
友達が驚く、無理もない。あの後すぐに小指を切った。でも痛み以上に喜びが勝った。こうすれば倉木くんと結ばれる。やることはあと一つだ。
神さまは言った。「彼の赤い糸はクラスメイトの佐藤さんと繋がっている」と。
だからこうする。
「ねぇ佐藤さん、放課後二人きりで会える?」