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御伽噺に導かれ異世界へ  作者: ペンギン一号
夏の最後の思い出に
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御伽噺の妖精と

謎生物回






「そんなに見つめて。私に惚れたのかしら」


なんだこの生き物は…いきなり現れてこのアホ発言。

なんだか嫌な予感がするんだが。


グラッドの手の上で胸を張っている小さな生き物に、紡は何故か屋敷に待つペンギンと似たものを感じた。

急な出現に未だ誰も動けず、見つめ続けるのみ。



「…何か言ってくれないと恥ずかしいわ」


照れたようにそっぽを向きながら頬を赤らめる謎生物。

見た目は可愛らしい妖精をしているため、かなり可愛らしいのだが、先ほどの発言で紡は未だ警戒を続ける。

何も動けない大人達。

そんな者達を吐き捨てるように、子供達は動き出す。


「兄ちゃんを襲ったな!」


「敵は…処刑…」


グラッドと庇うカインごと巻き込む様に浮かべた針飴を飛ばしていく双子。

怒りの為か、威力は上がりマシンガンの様な破壊音が鳴り響く。

雪崩の如く押し寄せていく針飴に、グラッド達が立つ場所は、見事なハリネズミが出来上がっていた。


(これは…死んだな)


紡は魔導書から一本の花を生み出しその場に備える。

来世では、末長く生きてくれ。

そんなことを願いながら、手を合わせていた。


「二人ともダメだぞ、いきなり攻撃しちゃ」


「「でも…」」


「殺すんなら、ちゃんと情報を取り出してからにしなさい。

勿体無いだろ」


「「はーい!」」


フォルのいない間に紡の英才教育は進んでいた。

そんなほのぼのとした紡達に背後から声がかかる。


「危ないわね。いきなり何するのよ」


その言葉と共に、ハリネズミは形を失い弾け飛んでいく。

地面に落ち、砕けて粉々になっていく飴の先。そこには、グラッド達の姿と妖精が先ほどと変わらない状態で佇んでいた。


「カイン…私は今生きているのか?」


「多分…生きていると思われます」


まさか、纏めて殺されかけると思いもよらなかった二人は、呆然と前を見つめながら先ほど自身に訪れた死の宣告から生き延びることが出来たことを、確かめ合う。

当然、二人とも滝の様に汗を流し、足は立っていることがやっとなほどにかくついている。

それ程までに、先ほどの双子の一撃は二人に恐怖と絶望を植え付けていた。

そんな、二人には目もくれず、紡は妖精と向き合う。


「お前は何者だ?」


「いきなり攻撃してきて貴方はごめんなさいも言えないのかしら」


ふうん、あんなハリネズミにされてここまで大口を叩けるなんて…


「悪かったよ。んで、お前は何だ?」


「はぁ…そんなので謝ってるつもりかしら。モリコの孫もよっぽどのようね」


まさかとは思ったが、またばあちゃん関係かよ。


「ばあちゃんの事を知っているのか?」


「当然でしょ。私とモリコは友達ですもの」


友達だと…あのばあちゃんに友達ができるなんて…


「嘘だな。ばあちゃんがまともに友達ができるはずが無い」


「モリコ…貴方何をしたのよ…」


ムカついたら、平然と暴力団にすらケンカを売る性格だぞ。

そんなの、あり得るわけがない。


「まぁ、貴方がどう思おうと私はモリコの友達よ」


「…何か証拠は?」


初対面で攻撃をかましたんだ。まだ信用はしないがな。


「そうね、ピーに聞いた話なんだけど。

昔々、とある少年たちは、遊び半分でパンティを頭に被り…」


「オーケー。君はばあちゃんの友達だ」


ピーのことも知っているようだし、ばあちゃんの友達で間違いないだろう。

そして何よりも間違いないのは、こいつ俺の黒歴史を知ってやがる。

異世界で黒歴史が広まっている事を知り、嫌な予感が止まらない。


「私は精王園の住人。モリコからはピグミーって呼ばれてる」


精王園か。聞いたこともない場所だな。

ピグミーの言葉に、考え始める紡であったが、この部屋の中、誰よりも早く口を開いたのは…


「な、なんだと」


グラッドであった。

隣に立つカインも目を見開き、ただ事ではない表情をしている。


「どうした?」


「いや、その…」


いきなり会話に入った事を恥じるように、か細い声で申し訳なさそうに頭をかくグラッド。

それを見かねて、カインは告げる。


「精王園。それは、幻想の都。

精霊が集い、世界樹の立つ世界の中心と呼ばれている場所です。

今まで誰にも見つけられることのない、ただ絵本や神話にしか載っていない都だったのですが…」


その手がかりが、目の前に現れたってことか。

まぁ、俺にはどうでもいいが。


「俺はツムグ オトギ。ばあちゃんの友達らしいし、よろしくな」


「よろしくね。それで、私がここに現れた訳なんだけど」


一応ばあちゃんが残したものが俺に反応したんだ。

俺に関係のある事だとは思う。


「私との顔合わせと、貴方の魔力特性を見極めに来たわよ」


魔法士ギルドで判定して以降、一向に分かってなかったから諦めていたんだけど。


「大丈夫か?俺は特殊らしいんだが」


「当然でしょ。私達精王園の住人は『魔力判定』のスキルを持っているから、直ぐにでも判るわよ」


「なら頼む」


未だに自身の力も分からずモヤモヤとしていた紡は素直にピグミーへと頭を下げる。


「そんな事をしなくても、モリコとの約束だもの。勝手にでも見せてもらうわよ」


そう言い放つと、ピグミーはふわりと浮き上がり、紡の頭へと着地する。

ピグミーが触れた途端、紡はかなりの魔力を吸い取られる感覚に陥っていく。

ストローで吸われるジュースのように、徐々に体に襲いかかる疲労感。

判定の為と、紡は耐えるように只々無言で待つ。

そして漸く終わったのか、『ぷはっ!』っという声と共に上を向き、ピグミーは一言言い放つ。











「美味しい…」



此奴…


「まさか、魔力食ってないか?」


「そ、そんなことある訳ないじゃない!バカじゃないの!」


ピグミーは図星を突かれたように焦りを浮かべて紡の頭をペシペシと叩く。


「ふーん。それにしては、かなり吸われた気がするが」


「まだ2万ほどしか吸ってないわよ!これでも我慢したんだから…」


「「っ!?」」


室内に響き渡るその声に、グラッド達は驚愕を浮かべる。

魔力2万。それは、一般からすると冒険者ギルドのSSSランクすら軽く凌駕するほどの魔力。

魑魅魍魎が跋扈している最上位ランクを超える魔力を抜かれながら未だに平然としている紡に、二人は再度『オトギ』の異常性を理解させられる。


「味はどうだったんだ?」


「昔、モリコに貰ったコンソメスープみたいに、深い味わいの中にすっきりとしたきめ細やかな口当たりの魔力だわ」


「がっつり味わってんじゃねえか…」


頭の上で頬に手を当ててうっとりとしているピグミーに紡は呆れ返る。


「で、どうだったんだ」


「何が?」


何がじゃないわ…味に集中しすぎだろ。


「判定結果!まさか分からないなんて…」


吸い取られ損だけは勘弁してくれ。


「ああ、大丈夫よ」


「よかった…それで、俺の魔力特性はなんなんだよ」


漸く判るのか。魔導書でもない、俺自身の持つ力の正体が…


「貴方の魔力、それは全てを染め上げる銀。何者にも左右されず、一人で燦々と輝くことのできる精神が反映されたようね。

そんな銀の魔力性質それは…」







こんばんは、ペンギン一号です。


今回は新キャラ出て来ましたねー。

いつか、精王園も訪れることが出来ればいいのですが。

次回は冒険者ギルド回。

『オトギ』が行う制裁。

是非お楽しみ下さい。

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