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御伽噺に導かれ異世界へ  作者: ペンギン一号
まさかの地球で激闘が
51/75

名家と手合わせ現代で






「もうそろそろかな」


地面にへばっているにゃん吉を眺めながら呟く。

すると、タイミングよく、武道場の扉が開かれ、三人の人物が入ってくる。

ふうん、これはこれは…


「おっさん、なかなかかっこいい格好してんじゃん」


入ってきたのは、皇牙と優華、そして皇矢の三名。その中でも、皇矢は、陰陽師としての戦闘礼服を身に纏い、腰には業物であろう刀を差している。誰が見てもわかるほどに真剣な面持ちで現れた。

その姿はこの戦いへとかける、皇矢の覚悟が現れていた。


ふっ、どうやら本気で戦うってことか。あの時、このおっさんを追い詰めておいてよかった。

それによってここまで楽しい状況が出来上がるなんて。

あの時の俺に感謝だな。


「ゼロ、申し訳ないのですが、この者達の観戦を許可してもよろしいですか?」


そんな喜んでいた所に蒼華から声がかかる。


「ん?ああ、此奴らか。この二人なら問題ないぞ」


「ありがとうございます。今後の『巫家』の為にも、ぜひ二人に見せてあげたかったので」


蒼華は真剣な顔でそれだけを残し去っていった。


それにすれ違う様に、皇矢が話しかけてくる。


「ゼロ、こちらの準備は整った」


「そっか、俺はいつでもいいぞ」


その一言にどちらともなく無言で武道場の真ん中へと動き出す。

静寂の武道場の真ん中、そこで見合う二人の男。

片方は相手を見つめ、表情も変えずに真っ直ぐ見つめ、もう片方はソワソワと体を動かしながら、仮面の下でニヤリと笑う。

対局の雰囲気を醸し出しながらも二人は対峙していた。


そして、遂にその時は訪れる。

離れた場所に立つ蒼華により、


「それでは…始めっ!」


闘いの火蓋が切って落とされる。




「それじゃあ、行かせてもらう」


前哨戦だ、武器でやり合うか。

紡は魔導書から木刀を取り出すと、皇矢に向かい斬りかかる。

それは、今までのゼロからは想像が出来ないほど素早く、的確に皇矢の頭を狙った一撃。

初っ端から、紡は試していた。この程度を避けきれないのであれば、戦う価値は無いと。

だが、紡の心配は…


「ふん!」


意味もなく、それを簡単に皇矢は刀で受け止める。

そして、その上空いた手で…


「くらえ、『呪符、焔斬』」


焔の刃を生み出し追撃とばかりに斬りかかる。


「いいな…凄くいい。まさか反撃までしてくるなんてな」


漸く見つけることができた。これは楽しくなりそうだ。

後ろに飛び去りながらも紡は歓喜していた。

カースフェンリル以降、漸く戦いたいと思える相手ができたことを…


「さあ、楽しもう」


更にスピードを上げ、紡は斬りかかる。

それは、皇矢の反応できるギリギリの速さ。狙った様に紡はその速さで攻め続ける。

だが、そんなギリギリの中でも、皇矢は的確に回避していく。今までの戦闘経験から紡の動きを見切りながら回避していたのだ。

これは、最近戦闘を覚えた紡の持ってない力であり、長年戦い続けた皇矢だからこそ身につけたものであった。


「いいねこれも避けるんだ」


この戦いが心底楽しそうにそう呟く紡。

試合が開始してから未だ両方とも、一撃も浴びていない。それは、紡の想像していたものとは違い、皇矢が予想よりも強かったということだ。

紡はそれがとても嬉しく、ワクワクしていた。


だが、対面している皇矢は違った。


(此奴は一体なんなんだ…)


それは当然の疑問。陰陽師としてかなりの実力を持つ皇矢をやすやすと抜くスピード。そして、目の前で発動した呪符を余裕で避ける回避力。

その事実が皇矢は信じられない。

そしてその上、目の前のゼロは…


(これで一般人だと…そんな事あり得る訳ないだろ!)


陰陽師ではない。ただの一般人である。

意味がわからない…此奴は何者なんだ。皇矢は戦いながらもそんな疑問と不安に包まれていく。




「くっ…しょうがない。我が意思に応えよ『焔姫』」


このままではただ体力を持って行かれるだけと判断した皇矢は式神を召喚する。

その途端、宙へと白い焔が浮かび上がり、轟々と燃え上がる。

宙へと浮かび続けながら、生まれ変わる様に形が変わっていく。


「ほう、それがおっさんの式神か」


「そうだ。私の式神『焔姫』だ」


そこには一匹の鳥がいた。

翼に白い焔を纏い、舞う様に宙に浮かぶその姿は、舞姫の様に周囲を魅了していく。




「皇矢!!こんなとこにいきなり呼び出して何の用なの!!」


本人はめっちゃ怒ってるが…


「え、焔姫…今は控えてくれ…」


「私を呼ぶ時はきちんと事前に連絡するって話だったでしょ!!」


このおっさん…思ったより苦労してんだな…


「申し訳ない…だが、今は戦闘中なんだ…今は控えてくれないか」


「もう、しょうがないわね…」


漸くおわったか…おっさんやつれてないか?


「白焔の鳥。鳳凰かな?」


「ええ、宜しくね狐さん。

で、貴方が私の相手かしら」


「宜しくな。そうだ、俺が相手だな」


そう答えた瞬間…




―――ボフッ!!



紡が白焔に包まれる。

一瞬のうちに姿は消え去り、一本の焔の柱がその場に上がる。


「はい、お終い。これでよかったかしら?」


「ああ、これでいい。悪かったな急に呼び出すことになって」


焔姫の一撃で勝ちを確信した二人は蒼華へと向き直り、


「蒼華様、終わりました」


勝利宣言を頼む。


未だに白焔が上がり続ける場所を蒼華はちらりと眺め、そして宣言を…


「勝者!皇「つれないねぇ、もう終わろうとしてるのか?」っ!?」


した途端、焔の中から声が上がる。

それは倒れたと思われていたゼロの声。

焔の中からゼロがふらりと出てくる。


「今のは危なかった。いきなりひどいじゃないか」


燃えた様子も一切無く、普通に出てきて文句を言うゼロ。

それは、勝利を確信していた『巫家』の面々に多大なる衝撃を与える。

特に、焔姫からしてみれば、不意打ちで攻撃したにもかかわらず、自慢の一撃を何事もなく流され、その上それを起こしたのが、目の前の変な狐面を被った男。鳳凰としてのプライドが多大に傷つけられていた。


よって、


「もう一度燃えなさい」


再度ゼロは焔に包まれる。

焔姫による追撃先程よりも更に大きな火柱が立ち昇っていた。


だが、今回も…


「熱いなぁ…もう」


ゼロは当然の様に、傷もなく白焔からふらりと出てくる。


「皇矢…あれは何?」


「悪いな、私にもわかってないんだ。

でも、焔姫の白焔で倒せないとなると…どうしたものか…」


そんな中遂に紡が動く。


「そっちも白焔見せてくれたし、次は俺が見せてやるよ」


右手を前に突き出し、凶悪魔法を構成し発動する。

それは…


「ほら、これ可愛くないか?」


紡の横に、大きめの黒い一匹のネズミを生み出し、


「…焔姫、あれは一体なんの属性なのかわかるか?」


「分かるわけないでしょ!なんなのよアレ!!」


二人を混乱に陥れていた。


「ほら、飛んでいけ!」


ゼロの掛け声と共に、「チュー!」と走り出すネズミ。


「くっ…邪魔よ!燃えなさい」


だが、瞬時に溶かされる。


「チュウ太郎…短い命だった…」


チュウ太郎、寿命3秒。一瞬で消えた。

悲しみながら、ゼロはチュウ太郎の跡地に手を置き叫ぶ。


「チュウ太郎の意思を継ぎ、復活せよ!チュウ助、チュウ次郎!」


床が膨れ上がり、ネズミの燃えカスが脈打ちだす。

それは二つに分かれ、また再度ネズミを構成していく。


「よくぞ生き返ったな!」


「「チュー!!」」


当然の様に、ネズミが増えて復活した。


「よし!二人とも行くんだ!」


「「チュー!!」」


そこから再度二匹に増えたネズミをけしかけて行く。


「っ…またそんなのまた燃やせば!」


ネズミへと焔が迫る…


「ふっ…新たな二人を甘く見過ぎだ」


か、燃えない。

平然と焔の中を通り過ぎて行く。






【お菓子魔法流 召喚術 簡易(インスタント)黒鼠(チョコラット)

破壊されるごとにその原因の耐性を持ちながら増殖する一匹のチョコネズミを召喚する。

敵に接触すると、チョコを振りまきながら爆発する。






さあ、壊すがいい。こいつらは壊せば壊すほど増え、強くなって行くからな。

先程から増え続けるネズミ達を見つめながら紡はニヤついていた。







―――――――――――――――――







side にゃん吉



ご主人たのしんでるにゃ。

おもちゃを見つけた子供の様な顔してるにゃよ。アレはいつもの悪い癖が出てるにゃね。


「あれは…遊んでますわね」


どうやらフォルもわかっている様にゃ。


「んにゃ、遊び始めてるにゃ」


二人は紡を残念なものを見る様な目で見つめていた。

だが、話を聞いていたのであろう、皇牙と優華がこちらへとやってくる。


「悪い、話が聞こえてな。遊んでるってどういうことだ?」


んにゃー…面倒なのが来たにゃ。説明するのも面倒だにゃ…


「そんなの、ご主人と戦った背後のそいつがわかってることにゃよ」


そいつに聞いたらいいにゃー。


「優華…分かるのか?」


「…もしかして…私の時の様に技の実験をしている…?」


「正解にゃよ。あれは、ご主人の実験。新しい技を思いついたらすぐに試したくなる悪い癖にゃ」


あのネズミもどうせ今思いついたにゃよ…

優華は納得顔で、皇牙は驚愕を浮かべていた。

そこで優華がはっと気づいた顔で問う。


「では、私達が戦った時も、あの方が使った技は全て思いつきだったのでは…」


あー、気づいたかにゃ。そうあの時の戦いは…


「その通りですわ、貴方達に使った、あの戦いの技は全てご主人がその場で考えた思いつきですわ」


全てを見ていたフォルが答える。

皇牙は理解出来ずに固まり、優華は…


「そうですか…私達は思いつきの技に一方的に負けたのですね…」


苦笑いしながら俯く。

そして、俯きながらも、それを知ったことにより…


(ただの思いつきであんな技を使うのです。もしあの者が本気になれば…皇矢さん、無事に戻ってこれることを願っています…)


優華は皇矢の無事を心から願っていた。








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