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御伽噺に導かれ異世界へ  作者: ペンギン一号
まさかの地球で激闘が
49/75

遂に交わる話し合い 2

紡と蒼華&皇矢の話し合いの続きから。







静まり返る広間の中、表情すら変えずに、蒼華は口を開く。


「それは…どういう事でしょうか」


ちっ…やはりこの程度の挑発では乗ってこないよな。


「どういう事って、次期当主から聞いているんじゃないのか?」


「いえ、私共が聞いたのは、あなた方が話があるという事だけ。他は何も聞いてません」


なんだよそれ、ほとんど知らないようなもんじゃねぇかよ。


「はぁ…あいつらなんも伝えてないのかよ…」


しょうがない、面倒だが説明してやるか。


「本日の事だ。俺の隣に居る、テルをここの次期当主と皇牙って言う奴が、殺す為に襲ったんだよ」


「テルというのは、隣の妖樹ですか?」


「ああ、妖樹であり、俺たちの妹みたいなもんだ。

それで、聞いたところによると、テルを殺せと指示を出したのは当主様らしいんだが、それは間違いないか?」


「ええ、間違いありません。私の指示でそこの妖樹を滅するように命じました」


テルは、急に蒼華から見つめられたことにより縮こまる。それを抱えられていたにゃん吉は感じたのか、蒼華へと睨みつけていた。


「てことはだ、俺たちの大切な妹であるテルを『巫家』の総意として殺しに来たわけだよな。

これは、喧嘩を売っていると思うんだが、そこのところはどうなんだ?」


もし、敵対を認めたならば、すぐこの屋敷へとプリンを落として沈めてやろう。

紡が、あくどい笑みを浮かべながら、お菓子魔法を待機させながらそんな事を考えていたが…


「そうですね…まず始めに、私共『巫家』は、あなた方と敵対するつもりはありません」


蒼華は、紡を見据えながらそう答える。

ここまで挑発された上の、敵対はしないという選択に、蒼華の隣に控える皇矢もここに来て初めて表情を崩していた。

それは、敵対しないという決断を、この場で蒼華が独断で下した事を物語っていた。


「そうか、だがもうテルを襲った後だ。

俺達が助けに入らなければ、確実に死んでいたであろうほどにいたぶられてたんだよ…

ただ、敵対する気はありませんじゃ通らないのも、聡明な当主様ならば分かるはずだよな」


あの襲撃を見た時点で、俺達は『巫家』に対して容赦しないと決めたからな。

自業自得だ、責任を取ってもらう。

紡の隣ではにゃん吉も深く頷いていた。


「そう…ですね。

ですが、此方としても陰陽師として妖を滅していただけですので…今回は運悪く貴方の知り合いだったというだけの話です。

陰陽師として、妖を滅する事は義務ですので、そこに責任を求められても…」


ああ、そうだろうな。

こいつらからしたら、いつも道端の石ころを蹴るような感覚で妖を滅している所に、他の妖が現れたようなものだ。

その現れた妖がどんなに優しいものだとしても、確認もせずに殺すだろう。

それがどんなものかも知らず、誰に愛されてるのかも知らずに、作業のように殺す。


(酷いな…)


紡は目の前に座るその者たちが、とても醜く、汚い者だと感じる。

そのような事を感じる程、それ程までに、目の前の陰陽師達は命を奪う感覚が狂っていると。


「そうだな、『巫家』からしたら、今回、陰陽師としての義務を果たしたわけだ。

だが、それは俺たちには関係ない」


残念だがいくら言い訳しようと、陰陽師の時点で、俺たちには関係ないんだよな。


「それは…どういう事ですか?」


関係ない。その一言に蒼華の無表情へとヒビが入る。

疑問に埋め尽くされているのであろう、蒼華は眉をひそめて紡を見つめる。

はぁ…なんだよ、どうやら必死に悩んでいるようだが、当主様は分かってないみたいだな。


未だに気づかない蒼華と無言で固まる皇矢に呆れる。

そして、『巫家』が思いもよらなかった現実を紡は突きつける。それは…






「だって俺たち、陰陽師と関係ないし」






その場で必死に表情を偽っていた、蒼華と皇矢が耐えきれずに崩壊する一言であった。

蒼華と皇矢は、目の前のゼロは別の派閥の陰陽師だと、当然のように認識していた。

だが、目の前に座っているのは、陰陽師とは何の関係も無い、ただの一般人であった。

その、現実に頭がついて行けずに二人はゼロを見つめながら呆けてしまう。


あー、やっぱり気づいてなかったみたいだな。アホみたいな顔してこっち見てるし、そんなに驚くようなことじゃないだろ。

動かなくなった二人が復活するまで、紡は頭のフォルを撫でながら待つ。

最初同様に、また静まり返った広間の中。先に復活した蒼華が動揺しながら口を開く。


「ま、待って。貴方は陰陽師ではないの!?」


驚きすぎて口調変わってるぞ…


「ああ、陰陽師ではない。あんたらで言うなら、俺達は一般人ってとこだな」


「嘘…貴方、一般人でありながら、『巫家』へと喧嘩を売っていたの…?」


驚愕に顔を歪め、頭を抑えながら蒼華は問う。

蒼華の想像をやすやすと超える、普通ではあり得ない状況。

今までに聞いたこともない。陰陽師、それも名家『巫家』へと喧嘩を売って来た一般人など。



「ああ、テルのためだしな」


それが、ここに来て現れてしまった。

一般人でありながら、この場所でも平然としている紡に、蒼華は不安感を覚える。


(陰陽師ではないのならば、この者は一体何者なんだろう…)


その疑問だけが頭を巡っていた。


「まぁ、そういうわけで一般人である俺には陰陽師の事は関係な、」


だが、ここで待ったがかかる。


「蒼華様、この者は一般人。ならば早く叩き出してこの妖樹を滅するべきでは」


一般人だと分かったことで、紡が話している事も気にせず、皇矢が意気揚々と語り出す。

先程までの敬いをなくし、面倒くさそうな目で紡を睨みつけていた。


…いい大人が話を遮りやがって。

それに…叩き出す…ね。いいなやってみろよ。その後にテルを殺すとも言ったんだ…


「やってみろよ。逆に潰してやるから」


力ずくでねじ伏せてやるよ。


その一言を切っ掛けに二人は睨み合う。


「皇矢!やめなさい!私はこの者達とは敵対しないと決定しました。

それに反するような言動と行動は慎みなさい」


その二人を未だに違和感が拭えない蒼華が止める。


そんな、不安げな蒼華を見て、皇矢が提案する。


「それでは、こうしましょう。私がこのゼロと手合わせを致します。私共が勝てば黙って横の妖樹を残しここから出て行くこと。

手合わせであれば問題はないでしょう」


そして、その提案は実に…


「それは面白いなぁ…」


戦う事を目標にしていた紡の心を引きつけた。

もともと、戦うために当主へと喧嘩を売っていたのだ。だが、一向に乗ってこず、それがこのような形で釣れるなんて。

紡は仮面の下で凶悪な顔でニヤついていた。

その隣では、いつもの病気かと、フォルとにゃん吉がため息を吐きながら疲れた顔を左右に振って諦めていた。


「うん、いいね!やろうか」


「そ、そうか、蒼華様。宜しいでしょうか」


まさか紡が了承すると思っていなかった皇矢は若干驚くが、すぐに蒼華へと了承を伺う。


「そう…ですね…」


そう呟きながらも、蒼華は未だに目の前のゼロという人間の実力も分かっていないまま、了承していいのかと苛まれていた。


(だけど…ここで二人が手合わせする事で、ゼロの実力がわかるかもしれない…)


そう行き着いた蒼華は戦闘の了承を下す。

それにより後にあんなことになるとも思わずに…



手合わせが決まり、武道場へと向かおうと、皆が席を離れた時、紡は一つ思い出す。


「そういや、俺がこの戦いで勝った場合だが、やってもらう事が2つある」


「何でしょうか?」


「一つはテルの安全だ。お前ら『巫家』から、テルへの一切の手出しを禁止する。もし手出しした者が『巫家』と分かったならば、俺がその者を殺し、この屋敷を潰す」


まぁ、これを約束させるために来たようなものだしな。テルのためにも、これだけは守ってもらわなければならないからな。


「そして二つ目…」


本当は二つ目は要らないんだが…

紡の口からそれが語られる。





「お前ら二人、テルに謝れ。当然土下座な」




せっかく要望が通るんだ。有効活用しなければ。



この紡の要望により、皇矢は窮地に陥ることとなる。

自身は良くても当主様に頭を下げさせるわけにはいかない。

紡の一言で、一瞬のうちに、皇矢が軽く考えていた一般人との戦いから、負けることの許されない死闘へと姿を変える。

顔色が急に変わった皇矢を見つめながら、これで本気でやり合えると、紡は仮面の下で笑っていた。








こんばんは、ようやく修復が終わったペンギン一号です。

今回は次回を戦闘からにしたかった為に少し短めです。

申し訳ありません。


次回は『巫家』との手合わせ回

是非お楽しみに。

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