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御伽噺に導かれ異世界へ  作者: ペンギン一号
死んだ先が異世界で
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ステータスを確認する異世界で



んじゃ、見てみますか。


にゃん吉を見つめ、頭の中で鑑定と唱える。

発動すると頭の中に、にゃん吉のステータスが浮かび上がる。


なるほど、これがステータスか。




【名前】 にゃん吉

【種族】 幻獣種

【職業】猫騎士

【性別】女

【年齢】6歳

【レベル】14

【体力】220/220

【魔力】102/102

【攻撃】76

【防御】104

【俊敏】81

【運】30

【スキル】 鑑定 雷魔法LV3 剣術LV4

【特殊スキル】 騎士の誓い

【称号】ゆるキャラ





…ん?




「にゃん吉、お前女だったのか…!」


「失礼にゃ!どこからどうみても素敵な乙女にゃ!!」



そんなのわかるかよ…



「ごめんな、女の子ににゃん吉なんて名付けて」


「ダメご主人だからしょうがないにゃ。」


「むぅ…」


申し訳なさを感じながら紡はステータスを眺める。


まず、幻獣種。まぁ、長靴履いた喋る子猫なんて異世界だとしても幻獣扱いされるだろう。

でも猫騎士ってなんだ。


猫騎士に鑑定をかけていく。


猫騎士:神聖な精神を持ち、主人に剣を捧げる神聖な猫。あらゆる厄災から主人を守る。



んー。見てもよくわからないな。



「なぁ、猫騎士ってなんだ?」


「騎士道を貫く高貴な猫のことにゃ」


うん、やはりよくわからない。



「よくわからないが、魔法も使えてにゃん吉は凄いんだな」


「やっとにゃーの凄さがご主人にも分かったにゃ!」


最初の出会いで失敗と言われた為か、にゃん吉はとても嬉しそうに胸を張って威張っている。

子猫が胸を張るその姿は、可愛さへと拍車をかける。


「でも、強いのかどうか平均がわからないからよくわからないな」


「だったらご主人自身のステータスを見てみるといいにゃ」



それもそうだな…

紡は鑑定を自身へと向ける。




【名前】 御伽 紡

【種族】 人間種

【職業】童話契約師

【性別】男

【年齢】16歳

【レベル】1

【体力】32/32

【魔力】32/532

【攻撃】8

【防御】4

【俊敏】11

【運】76

【スキル】 鑑定

【オリジナルスキル】 童話契約 絵本の世界 スキルコピー(契)LV1

【称号】異世界を行き来するもの 捨てられしもの

魔導書契約者

【契約】にゃん吉



おぉ。結構スキルあるみたいだな。

紡はスキルを詳しく確かめる。



童話契約:物語の登場人物を呼び出し契約する。呼び出しには魔力が必要であり、上位になるほど必要な魔力が増えていく。


絵本の世界:生き物以外と契約者を魔導書の中の世界に入れることができる。


スキルコピー(契):契約者からスキルをコピーすることが出来る。コピー数は魔導書のレベルにより変わる。


スキルを見終わり、ステータスを見て思う。



俺弱すぎじゃね…?



そうか、今の俺のステータスは運と魔力以外全て、目の前の可愛らしい子猫にすら負けているのか。



「俺弱いな」


「レベル1だからよわよわにゃ」


「なぜか魔力が減ってるし」


「それはにゃーを召喚した時に魔力をつかったにゃ。」



なるほど、にゃん吉の召喚に魔力を500使ったのか。


「このステータスならにゃん吉に頼りきりになるな」


「しょうがないにゃ。そのためににゃーがいるにゃ」


「ありがと、期待してる」


「んにゃ!」


紡は小さい体で必死に胸を張る子猫がとても心強く感じる。



「よし、次はピーの番な!」


「漸く私の番が来たのであるな。心してみるのである」


未だによくわからない謎ペンギンだ少しでも分かることがあればいいんだが。





【名前】 ミスターP

【種族】 最上級式神

【職業】紳士

【性別】男

【年齢】37歳

【レベル】194

【体力】4012/4012

【魔力】9080/9080

【攻撃】0

【防御】19600

【俊敏】2670

【運】777

【スキル】 鑑定 結界魔法LV50 生活魔法LV50 家事LV49 大工LV50 武器作成LV17

【オリジナルスキル】聖域作製 守護者

【称号】パーフェクト紳士 守りし者 到達者






え?ピー強くね?

このペンギンハイスペックだな。



「これは凄いな」


「凄い強いにゃ!」


「紳士たる者普通である」


紳士ってなんなんだろう。



驚きつつスキルを確認する。


聖域作製:指定した範囲に聖域を張る。聖域内は気候が安定し、守護者が認める者しか入ることができない。


守護者:聖域を守る者。指定した聖域から離れられない代わりに聖域への攻撃行為を完全無効にする。



「ピー、もしかしてここの家って聖域か?」


「ええ。ここ一帯は聖域指定しておりますな」



そうか。



「ずっとここに居たのか」


「ええ」


「なんでここに?」


「ここは守子様が紡の為に残した、大切な拠点。私にとっても大切な場所である」



思い出を振り返りながらピーは誇らしく、優しく微笑む。



そっか。俺とばあちゃんのためにピーはここを守り続けてくれたのか。

ずっとこの家で。たった一人きりで。



「そっか…ありがとな」


「いえいえ。ほんの少し待っていただけですので。お礼を言われるほどではありませんぞ」


「うん…」



分かっている。そんな軽い話ではない。

いつ来るのかもわからない俺のことを待ち続ける。一人きりのこの家で。

それは、俺なんかには想像がつかない程、長く、寂しいものだっただろう。

こちらを見て、優しく微笑むこの高貴なペンギンに心から感謝していた。



―――――――――――――――――




「とりあえず、ステータスの確認も終わったし地球に帰るドアとやらを探すか」


「んにゃ!任せるにゃ!」


「私も手伝いましょう」


俺たちは手分けしてドアを見つけるべく、鑑定を掛けていく。






一時間後…




「やばい、見つからないな…」


「にゃー!!どこにあるにゃー!!」


見つからなかった。

にゃん吉は疲れたのか床で伸びている。


「見つからないにゃー…本当にそのドアってあるのかにゃー…」


「ピーが言うにはあるらしいぞ」


「ぶにゃぁ〜……にゃ?んにゃ!?ご主人こっち来るにゃ!」


「ん?どうした?」


「ここを見るにゃ!ここの床がおかしいにゃ!」


ん?

俺は床を見つめる。

一見普通の木の床だよな。んー、鑑定してみるか。



地下への扉(隠):地下への扉。一見分からないように微弱な隠匿が掛かっている。



「良くやった。多分ここだ!」


「んにゃ。行ってみるにゃ!」



俺とにゃん吉は地下へと降りていく。


地下は結構な広さがあり、少し湿った空気が漂い、先が薄っすらとしか見えないほどに暗い。

暗い空間の中、上から差し込む光が地下への出口を照らしている。


この家の地下に、こんな場所があったのか。まるで隠し部屋のようだな。

恐る恐る降りていくとその先には、木製の扉が建っていた。

地下の空間とは不釣り合いなその扉は、高級感の漂う扉であり、重苦しい雰囲気を醸し出していた。


「行ってみるか」


俺は扉に手をかける。

ノブを捻り扉を軽く押すとゆっくりと開かれていく。

扉が開くに連れ、ゆっくりと先の景色が見えていく。

そこは…見慣れた屋敷の廊下。

戻ってくる事に時間がかかってしまったからな。どうやらすでに日が暮れてしまったみたいだ。

漸く帰ってこれた。俺は無事に家へとたどり着けたことに安堵していた。

そして扉が完全に開く。

開ききった扉の先には…







先程まで見慣れたペンギンが立っている。




「遅いのである」


「なんでいるんだよ…」


このペンギンはどこにでも湧くな。

何故か目の前にピーが居た。


「邪魔にゃー。早くいくにゃ」


後ろから早く行くよう催促される。


「そうである。早く居間に行くのである。」


…ひとまず行くか


居間に着くと、1人と2匹でちゃぶ台を囲みながら俺によるピーへの事情聴取が始まる。


「それで、どうやって先にこっちに来たんだ?」


「同じ扉で来たのである」



この性悪ペンギン、扉の場所知ってやがったな?

それで先にこっちに来てやがったのか。

知ってんなら教えてくれてもいいだろうに。


「それでは面白くないのである」


「っ…!?」


「顔が言っているのである」


あー…無理だ。表情で読み取るなんて勝てる訳がない。流石は、ばあちゃんの式神だな。

紡は事情聴取を打ち切る


落ち着いた居間の中、紡は今日あった出来事を振り返る。

今日は色々とあり過ぎたからな。

朝から少女を助けて死にかけ、そのまま異世界へと飛び、性悪ペンギンと出会い、にゃん吉と契約して、戻ってきた。

纏めたがとんでもないな…

目の前ではちゃぶ台で煎餅を囓りながら寛ぐ2匹。


まぁ、悪くはなかったかな


そんな事を思い返し、2匹を眺めながら寛ぐ。


それにしても、異世界か。

一応拠点はあの家があるし、なんとかなるだろう。

周りの散策なんかもしないといけないだろうな。

彼処は聖域との事なので危険も無いだろう。

ん?そういえば…聖域って


「なぁ、そういえばピーって聖域を出られないんじゃなかったのか?」


「大丈夫なのである。この屋敷も聖域である」


「え!マジか…」


ここも聖域だったのか。

だからピーはここと向こうの家は行き来できるのだろう。


「そっか。ならピーもこっちに住めよ。俺も家に一人だったから寂しかったしな」


「しょうがないのである。紡の為にここに住むのである」


「おう!ありがとな!」


「ご主人!にゃーも居るにゃー!忘れちゃダメにゃー!」


「分かってるってにゃん吉もよろしくな」


「んにゃ、よろしくにゃ」


長らく一人静かな家だった。そんな静寂した家が騒がしく彩られてゆく。俺は、その懐かしい騒がしさがとても嬉しく思えた。




―――――――――――――――――




俺は疲れた体と心を癒すように、風呂に入り早めに寝る事にした。

風呂から上がると、俺のベットにはにゃん吉とピーが既に陣取って眠って居る。


「にゃん吉…いやにゃあ…」


「ははっ、寝言まで言って」


可愛さに笑いながら、2匹に布団をかけて、俺も一緒の布団に入る。


今日は怒涛の1日だったなぁ…

ピーとにゃん吉にも会えたしな。

今までは感じることのなかった2匹の温もりを感じながらゆっくりとした時間を過ごす。


あ。そういえば今日、無断欠席してしまったなぁ。

凍夜と淵夏からメール来てるかもしれない。きちんと謝っておかないとな。


携帯を見てみるとそこには…









【着信メール 67件】



ふぁ!?

なにごと!?

すぐに内容を確認する。


【凍夜 12件】

【淵夏 15件】

【姉御 40件】


たらりと冷や汗が流れる。


内容を確認すると、凍夜と淵夏は、大体が「大丈夫か?」などの普通のメールだった。

何故か凍夜の最後の一通は「頑張れよ」だったが。


問題は姉御だ。始まりは「どうかしたのか」などの普通のメールだが…20を超えたあたりから「お前いい度胸してるな」と続いている。そして最後の一通が強烈だった。

画面上に移る「でろ」の二文字だけ。

カタカタと携帯を持つ手が震える。

姉御からのメール。それは、紡からすると無意識に震える程の恐怖を内包していた。



恐怖に震えながら携帯をそっと切り現実逃避をしながら眠りにつく。

今夜見る夢は悪夢だろう。

目をつぶっても浮かぶ姉御の顔に怯えながらも、紡の意識は薄れていった。





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