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御伽噺に導かれ異世界へ  作者: ペンギン一号
閑話
33/75

閑話 少女が 捜索 狐面





Side カティナ ウェルド




モンスターの襲撃が行われた翌日。

異世界のとある屋敷、そこにはひとりの少女が鏡の前で身だしなみを整えている。

少女の体には包帯が巻かれており、痛みに顔を歪めながら着替える少女に痛々しさを感じる。

隣で手伝うメイドも、少しでも痛まないようにと、慎重に手伝っていた。


「カティナ様、体の方は如何でしょうか」


「大丈夫よ、まだ痛むけれど動けないほどではないわ」


痛むけれど今動かないわけにはいかないもの!

カティナは目的のため、痛む体に鞭を打ち動く。


「それで、どうなのかしら?」


「あの件ですか?」


「ええ、メイド長のキッカならもう何かしらの手ががりを掴んでいるわよね?」


カティナはとある事をメイド長のキッカへと頼み込んでいた。


「まぁ、一応手がかりは手に入れることが出来ましたが…」


さすがキッカ、信じていたわ。


「早く教えて頂戴!」


せっかく見つかった手がかりを失うわけにはいかないわ!


「教える前に、一つ聞きたいことがあるのですが、その人物に会ってどうするのですか?」


「勿論、私の命の恩人ですもの、誠心誠意お礼をしなければならないですわ」


死にかけの所をを救ってくれた狐面様。きちんとお礼をしなければウェルド家としての恥ですわ。


そう、カティナがキッカへと頼んでいたこととは、狐面の居場所、つまりは紡についてだった。


「そうですか、ウェルド家としてならば良いでしょう。

ですが、私の手に入れた情報は切っ掛け程度のものですが宜しいですか?」


「当然よ!今はどんな些細な情報でも欲しいの」


顔も名前もわからない、わかるのは頭に猫を載せていたことだけ。それだけじゃ広いこの街ではわかるわけない。だから私には小さな情報でも必要なのよ。


「わかりました、私が手に入れた情報はその狐面の正体を奥様と旦那様が知っているという事です」


何ですって!?身内に情報を持っている者がいたなんて…


「キッカ、ありがとう!私は今すぐにお父様の元に向かわせて貰うわ」


カティナは淑女の礼も忘れて走って出て行く。


「はぁ、気になることに一直線なのは奥様と変わりませんね…

ですが、あの出て行き方はダメですね。帰ってきたら再度淑女教育を施すとしますか」


因果応報か、残念ながらカティナの勉強時間の増加がここに確定した。




「お父様、失礼いたします」


忙しない執務室へとカティナはたどり着く。

やはり戦い後でかなりの雑務があるみたいですわね…

執務室で書類に追われている父親に急にきたカティナは罪悪感を覚える。

ですが、今聞かないとあの方に出会うことが出来ないですもの。


「どうしたんだ?ここに来るなんて珍しい」


「お父様に聞きたいことがありまして」


「ん?俺が知ってる事なら答えるが…」


大丈夫ですわ、情報は獲得済み。お父様が知っている事ですもの。


「私が知りたいのは、戦場に現れた狐面の彼の方についてですわ」


見てわかるほど顔を歪めるグラッド。それは如実にそのことは語りたくないと顔が語っている。


「あの者に何か用があるのか?」


お父様は何を仰っているのかしら、私は彼の方に命を救われているのですわよ。


「当然ながら誠心誠意お礼をするためですわ」


「そうか…だが、私からカティナへと伝えられることはないよ」


なっ!?


「嘘ですわ!彼の方についてお父様は何か知っていらっしゃるのでしょう」


何故、隠そうとするのかしら。


「はぁ…ダメだ。領主として命令する、この件に首を突っ込む事を禁止する」


「何故ですの!私は命の恩人に感謝の意を伝えたいだけですのに…」


理由はわかりませんがお父様はなにかを隠している。そして、それを私が知ることはまずいという事ですわね。


「これ以上言えることはない、狼との戦いの怪我で痛むだろう。今は治療のためにも安静にしておきなさい」


これ以上は無理ですわね。


「わかりましたわ、失礼いたします」


部屋を出て行こうとする。その時…


「失礼します。グラッド様、ツムグ オトギの件で話が…」

最悪のタイミングでカインが室内へと入って来る。

室内は静まり返り、グラッドは額にしわを寄せ、手で頭を抱えており、カティナは満面の笑みでカインを見つめる。

二人の対極な反応にカインは困惑で固まっている。


やっと手がかりを見つけましたわ!

先ほどまでのカティナとは一変した笑顔でグラッドに問いかける。


「お父様、ツムグ オトギとはどなたなのかしら」


「はぁ…カインお前は…」


深いため息とともにグラッドは決意する。このままでは娘が独断で接触する。それだけは避けなければならない。もし、娘が下手を打とうものなら最悪この街は更地に変わる。

そこまで考えるともう選択肢は残されていなかった。


「しょうがない、カティナ、全てを伝える。だがそれを聞いたら、我々と動くと共に、あの者に対する独断での行動を禁止する。それでよければ全てを語ろう」


「宜しいですわ、聞かせてもらいますわ」


出会うためです、甘んじて提案を受け入れますわ。


この時、カティナは甘く見ていた。出会うために聞くだけだ、と。

だが、グラッドから聞かされる話を聞いて理解する、そして聞かなければよかったと後悔する。

内容を重々しい口調で語るグラッドは何時もの風格は無く、内容によりどんどんと室内は重苦しい空気に染まっていく。




二人で悩んでいたウェルドの街を守る戦いに一人が加わった瞬間であった。






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