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御伽噺に導かれ異世界へ  作者: ペンギン一号
死んだ先が異世界で
20/75

激闘 狼王 戦場で

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時はさらに遡る…




襲撃前、宿屋の二階、部屋の床に広がる魔法陣。俺は魔導書を持ち構える。

異世界でも特異なこの光景。

そう、召喚を行なっていた。


モンスターの襲撃が此方へと来た時のための準備として、またここの宿屋を守りきるための戦力増強が主な目的だった。


3回目の召喚ともなり買ってもわかっているためスムーズに進んでいく。


ぐっ…ふぅ…

前回より結構魔力持ってかれたな。

急に減った魔力による疲労感に耐えながら召喚を行う。

床の魔法陣が漆黒に染まり一層輝き、弾け飛ぶ。


あたりに散る黒い光が収まり、召喚者の姿が露わになっていく。


そこに居たのは二人の少年少女。

初めての人型の召喚であった。

これまた可愛いのが出てきたな。二人ともそっくりだし、双子かな?

二人とも顔の半分が隠れるほどの白い仮面をつけており中性的な見た目がそっくりな二人がつけているため、より一層見分けづらくなっていた。


俺は中腰になり、目線を合わせる。


「悪いな急に呼んで。俺は御伽 紡だ」


いきなりで驚いたのか少年の後ろに少女が隠れ、少年はこちらを睨みつけている。


「僕はヘンゼル。後ろにいるのは妹のグレーテルだ」


そう、今回呼び出したのはお菓子の家で有名なヘンゼルとグレーテルだ。


「今回呼んだのは俺達と仲間になって欲しくてな」


「仲間にゃー」


俺の頭の上でにゃん吉も前足をあげ挨拶している。


「か…可愛い…」


ヘンゼルの後ろから可愛らしい声が聞こえてきた。

これは、間違いない。可愛い物好きだな。

そっと頭からにゃん吉を取り、前へと突き出す。

さっきから此方を見つめているグレーテルと、にゃん吉の目が合う。


「んにゃ?」


ずっと見つめて来るグレーテルに、にゃん吉はどうしたの?と可愛く首をかしげる。

それを見たグレーテルが血走った目をしている。


(あーあ…落ちたな…)


予想通り、グレーテルは何かに取り憑かれたように此方に歩いて来る。


「なっ!グレーテル危ない!」


ヘンゼルは未だに俺が信用できないんだろうな。でも、必死に止めなくても大丈夫だ。


「ほらよっ」


目の前まで来ていたグレーテルににゃん吉を渡す。

まさか、渡して来ると思っていなかったのだろう、此方を見上げ「いいの…?」と可愛らしい声で聞いてくる。


「ああ、こいつはにゃん吉って言うんだ可愛がってやってくれ」


俺はグレーテルの頭を撫でながら告げる。

すると、満開の笑顔で「うんっ!」と返事すると床に座り、にゃん吉へと抱きつきながら可愛がり始めた。

時折、グレーテルの体から「くすぐったいにゃー…」という呟きが聞こえていた。



グレーテルをにゃん吉に任せた俺は、現状に固まっているヘンゼルへと近づく。


「ごめんな、勝手に妹ににゃん吉を近づけて」

「いや、なんか兄ちゃんは悪者の気配が無いから大丈夫」


よかった。グレーテルと俺たちのやり取りを見て少しは信用してくれたみたいだ。


「それでな、俺と仲間になってくれないか?」


「僕はいいけど…」


ヘンゼルは一心不乱ににゃん吉を愛でるグレーテルをちらりと見つめる。


グレーテル荒ぶってるなぁ…


俺たちの目線に気づいたのかグレーテルが顔を真っ赤にしながら「私もお兄ちゃん優しいからいいよ…」と、か細い声で答える。


「ありがとな。それじゃあ名付けなんだがそのままの方がいいか?」


二人は数秒見つめ合い軽く頷く。


「せっかくなんだ、僕と妹両方変えて欲しい」


「そっか、今から考えるからちょっと待っててくれ」


うーむ…そうだな…ヘンゼルとグレーテルの二人だからな。

グレとゼル…いや無いな。名前から取るのは難しいな。

んー…ヘンゼルとグレーテルと言えば…お菓子の家か…シュガーとクッキーとか。なんか合わないなぁ…

お菓子…甘いものか。ココアとチョコこれを少し変えて。


「二人の名前はコアとチコ。兄がコアで妹がチコだ」


キチンと登録できたようで二人の名前は魔導書へと浮かび上がった。

ついでに、二人と登録した事で魔導書のレベルも上がったようだった。


「お兄ちゃん、私のチコってどういう意味なの?」


「二人といえば甘いものと思ってね、俺も好きなチョコレートからとってチコにしたんだ」


「じゃあ僕のコアもお菓子から?」


「ああ、ココアっていう甘い飲み物からな」


二人は嬉しかったのか満面の笑みで俺のことを見つめている。


その二人に「拠点に帰ったら二人にチョコとココア食べさせてあげるよ」なんて約束をしながらまったりとした時間を過ごしていく。


この時は思ってもいなかった。この可愛らしい双子の子供がとんでもない力を持っているとは…






―――――――――――――――――






場所は戻り


現在、城壁東門の上。




ギルドマスターのカレナと紡が佇んでいた。

二人とも、戦場に現れた不思議な狼へと注目している。


「な…なんだあいつは」


カレナの呟きが聞こえてくる。

成る程、ギルドマスターですらあの魔物は知らないということか…

その圧倒的な威圧感を発する謎狼に、無意識に鑑定する。





【名前】 カースフェンリル

【種族】 呪狼王種(じゅろうおうしゅ)

【レベル】128

【体力】3200/5400

【魔力】723/930

【攻撃】1980

【防御】930

【俊敏】860

【運】−500

【スキル】 呪いのオーラLV6 雷魔法LV8 牙術LV8

自己治癒LV2

【種族スキル】破壊の一爪 瞬身 狼王の一撃

【称号】呪われし者 異常進化 狼王






ふふっ…ふふふっ…

無意識に俺は笑っていた。

これは、いい。

足元では「やめるにゃ!正気に戻るにゃ!」とペシペシと足を叩いている猫がいる。


その子猫に向かい言い放つ。


「俺、あいつと戦いたい」


とても邪悪な笑顔で。


下から「うにゃぁあ!」という雄叫びが聞こえてくる。

ごめんよにゃん吉…見つけちまったんだ…

にゃん吉を頭の上へと載せ替え、準備を整える。


一応付けとくか…面倒ごとになりそうだしな。

屋台を買い漁って手に入れた狐面を顔に着ける。


目指すはあの狼!

最後に未だに後ろにいたカレナへと向かい「あの狼との戦いを邪魔するんなら殺す」と一言だけ伝え空へと飛び立つ。


抑えきれない興奮を抱え脇目も振らずに空をかけていく。

空飛ぶ狐面は目立つのだろうか、かなりの人々が此方を見上げていた。


漸く狼の上空に着く。

だが、直ぐに戦いとはいかなかった。


まじか…先客がいる。

すでにカースフェンリルは女の子と対峙していた。

よし、乱入して奪い取ろう。

直ぐに戦いの中へ飛び込んでいく。


よし、完璧だな。

タイミングを合わせ、木刀でカースフェンリルの一撃を受け止める。

後ろにはボロボロの少女が目をつぶっていた。


一応礼儀だし一言入れておくか。


「悪いが、こいつと戦いたい。貰ってもいいか?」


少女は驚きながらも深く頷いている。

さあ、許可は貰った此処からはこいつは俺の獲物だ。

カースフェンリルにも負けない威圧を振りまき紡は対峙していた。



ドサッ…

後ろで少女の倒れる音がする。

ちっ、邪魔だな…


「チコ悪いがこの子をあそこら辺に連れて行ってくれ。その際、誰か話しかけて来たら……と言っておいてくれ」


チコは頷くと持ち上げ、飛びながら持っていった。


「コアは周囲のモンスターの排除を頼む。誰にも俺の戦いの邪魔をさせないようにしてくれ。にゃん吉は俺と一緒について来てくれ」


「わかった!任せといて!!」


「んにゃあ…わかったにゃあ…」


温度差がかなり違う二つの返事が聞こえて来た。

それと同時に、にゃん吉から疑問が上がる。


「ご主人、なんであんな奴に向かっていくにゃ?

下手をすると死ぬかもしれないのにゃよ」


『なんで戦うのか』か。

まぁ、他の奴から見たら、あんな化け物みたいな狼に一人で向かうなんて、俺はおかしいことをしている様に見えるんだろうな。

でもなにゃん吉、俺からしたら、それが生きがいなんだよ。

俺が最近見つけた生きがい。それは強くなるということ。

地球でずっと落ちこぼれだった。そんな俺が、この世界では強くなれるんだよ。

そんなの命賭けで強くなるしかないだろ。


「そうだな…『生きがいの為に命を賭ける』ただそれだけだ」


それ以外に理由はない。強くなる覚悟は、この世界で戦っている時に決めた。

後はそれを貫くだけだ。


「はぁ…それはしょうがないにゃ。だったら約束にゃ、無事生きて帰ってくるにゃよ」


「おう、任せとけ」


そう返す紡は、戦い前だと言うのに、嬉しそうに笑っていた。




「さあて、待たせたな。それじゃあ殺し合いを始めようか」


先程からずっと威圧して来ているカースフェンリルへと木刀を向ける。

周囲に未だ戦闘音の絶えぬ中、紡の戦いは静かな始まりを迎えた。



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