にい
『通信ナンバー001、420066』
『通信ナンバー002、420066』
『通信ナンバー003、420066』
『通信ナンバー004、420066』
『通信ナンバー005、420066』
『通信ナンバー097、420066』
『通信ナンバー097、420066』
『定期連絡停止を確認。ナンバー420066、【野良猫】のロストを確定。以後本気に向かう連絡を途絶します』
その場所を表すならば地獄しかないだろう。数々の死体が積み重なって出来上がったゴミの山。よく見てみれば生身の人間ではなく人間を形取った人形の物だとわかる。人間の形をしているからこそ紛らわしいのであって、それはただの粗大ゴミ置き場に違いはなかった。
粗大ゴミを捨てる者達は昔に何処かに消えたのか、時折物が落ちる金属音以外にどこか物悲しさが残る光景である。
そこには空が見えなかった。空の代わりにあるのは虫のように這いずり回るいくつものパイプで、黒ずんだそれは経年劣化も激しいのか所々破損し、時折思い出したようによくわからない気体を噴出される。
地上に彼ら意思ある者達が住んでいたのは何千年も前だろうか。度重なる核戦争と、禁忌魔法の行使は地上を焼き尽くし、自ら住むべき場所を奪っていった。
皮肉なことに圧倒的な力が無ければ多種族がまとまることはない。昔からその役をしていた魔王に選者、龍であるエンシェントルートの姿はこの頃には何処にもなく、誰も統率することの無い戦争が起きた。
その結果がこれだ。昔は緑が溢れていたであろう地上は赤黒く変色し、最早生物が住むべき場所ではなくなっている。残された種族は逃げるようにしていくつかの地下コロニーに閉じ込められた。
その時、奇跡的にまとまった種族が総力を作り上げたのが世界救済装置。現技術力での最高傑作であり、マザーコンピュータである。
ありがちな名前として【デウス=エクス=マキナ】と名付けられたマザーコンピュータは数万年の悲願であったであろう技術と魔道学を合わせた塔のような物体であり、幾十もの立体魔法陣と自己改革させていく人工知能に、それに伴う各々の子機や、空間。まさに世界を作り変えるだけの能力を持って世界を直そうとした。
しかし彼らが出来る抵抗もそこまでだった。元より世界の寿命とされるものは決まっている。枯れた花は捨てられるように、また利益を生まない世界も処分されようとしていた。
───◇◇
前回の出力が正しく切られてません。各種機能を確認します。
メインシステム起動準備
メイン出力不安定。セイレーン5、修復
試験
試験
試験
試験
完了
出力最大不可。リミット70固定
サブ電源破損を確認。直ちに換装してください
fcs試験
良好
インターフェース
良好
各種擬似神経及び、ケースの破損状況確認
AP60%減少
表面装甲軽破損
中心部装甲正常
隔壁を解除しますか?
隔壁解除。冷却を開始します
各フレーム損害率20% 起動問題なし
特殊マニピュレータ
良好
ブースター展開
出力低下。飛行水準を確保できません
メインブースター破損確認
サイドブースター良好
バックブースター良好
姿勢制御用スラスター良好
武装確認
ブレード展開可
外部武装確認
UNNOWN
体内温度40度
体外温度18度
インターフェースアンロック
全システムオールクリア
メインシステム起動します
「あっ……」
粗大ゴミ置き場の中、たった一台のゴミが奇跡的に再起動を行った。果たしてそれは偶然の奇跡なのだろうか。