いち
どうもしつマです。別の長編が最優先なのでこちらは不定期となります。
別の長編
【バギーニャ・フヴォスト】純粋ファンタジーもの。更新中です。暇な方どうぞ。
誤字脱字、矛盾点、理解不能な箇所があればなんとか直しますので柔らかくご報告貰えるとありがたいです。
───暑い
日によって焼けた畳の上で目を覚ました。未だにぼやける目をゆっくりと開いていきかろうじて一人暮らせれるぐらいの部屋の中を見回す。こんな狭いところで二人暮らしだと言うから驚き。
「夜ごはん、作らないと……」
母親はまだ帰って来てないから。母親の分の夜ごはんを作らなければならない。最後に母親と食卓を並べたのはいつだったっけ。あの頃はまだ父親がいたような気もする。
未だに痛む右脚を引きずってぼくは畳の上から廊下とキッチンが一緒になったような場所に向かって壁に手をついて立ち上がる。足元がおぼつかない。髪についたシラミが雪のように落ちて行く。
流し台の上を見てみると母親が作れと言っていた食品の数々が並んでいる。喉の奥で唾が鳴る。しかしぼくが食べてはならない。これらは全て母親の物なのだから、ぼくがもらってはならない。
一通りの手順を終える頃には息が上がっていた。ぼくをおとなしい子だって大人達は言っていたけど、ここで息が切れてしまったら病人と似たようなものみたいだと思う。病院は痛いところだって母親が言っていた。だけど人の故障箇所を治すのだから痛いのも当然だと思う。だけどなんで母親は病院なんて言葉をぼくに言ったのだろう。
───いつもこんな格好なのに
眠っていたみたい。手に鈍痛が走って目が覚めた。帰ってきた母親が通り過ぎて行く。道にぼくが居たから踏んで行っただけみたいだ。強い酒の匂いと、香水の匂いが鼻に付く。
ぼくと目があった。化粧をした鋭い目がぼくを睨みつける。珍しい。いつもはぼくなんてここに居ないように扱うのに、目を合わせるなんて。
「ねえあなた」
驚いた。母親がぼくに話しかけるなんて。素直に嬉しい。また父親がいた頃と同じように母親がぼくに話しかけてくれたから、またあの日々が戻ってきたかのように思った。
思った
それは理想でしかないこと。頭に走った衝撃はなんだろうか。口元に鉄のような味を感じる。鉄の味は知らないけど、昔誰かが血の味は鉄の味だと言っていたような気がしていた。
「よく見ればあのゴミ男に似ているわね。私、あの男とは絶縁したはずなの。それなのに、なんであなたがここにいるのかしら」
「ごめんなさい」
痛い。夜に働いてきた母親の足がぼくを床に押し付けてくる。そこに存在してはいけない。ぼくはここにいてはいけない。だけど、だけど───それだったらどこに行けばいいの。ぼくが聞く前に母親が言った答えは単純なこと。
「何処かで野垂れ死んでしまえばいいのよ。誰が好き好んであなたみたいな子を産むと思う? この世に生まれてきたことを謝罪しながら死ねばいい」
死ねるのならそうしてます
しかし人間というものは醜い生き物で、自殺を行うだけの勇気がぼくには存在していないのです。
このような日々をぼくはこれからもずっと過ごしていくのだと感じていた。この世を過ごす奇跡のような日々が終わるまで。
正直リサーチ不足(?)でして、あまりリアルではないかもしれませんが、お手柔らかに