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プロローグ


「やっと見つけたぞ……鳴海!!」


薄暗い路地裏で如何にもガラの悪そうな不良集団が1人の青年を取り囲んでいた。おおよそ20人はいるだろう。



「……っち、またてめーらかよ。一回ぶちのめしてやっただろーが、次はねーぞっていったはずなんだが?」


鳴海っと呼ばれた青年はダルそうに首をコキコキと鳴らすと金色の瞳を不良達に向ける。



「調子に乗るのも今日で終わりだ!! やっちまって下さい、万丈さん!!」



不良がニヤついた表情で叫ぶと不良集団を掻き分けて大柄なスキンヘッドの男が現れた。



「てめーが鳴海か、俺は万丈ってんだ。よろしくな」



「万丈さんはな元プロボクサーなんだよ!!わざわざてめーをぶっ殺す為に俺がよんだのさ!!」



不良は勝ち誇ったような顔で笑っている。



「あっそう。だから何だ? 面倒くせーからさっさとかかってこいよ」


鳴海はポケットから煙草を取り出して火をつける。


「いい度胸だ、お望み通りやってやるよ」



万丈は鳴海に巧みなフットワークで接近すると挨拶代わりに右のジャブを繰り出した。


「シッ!!」



流石元プロボクサーの拳、素人では反応出来ないだろうスピードで鳴海の顔面に向かう。


しかし、万丈の拳は鳴海の左手に易やすと掴まれていた。



「おっせーな、それでも元プロかよ……」



その光景を見ていた後ろの不良達も驚きを隠せないでいた。拳を受け止められた万丈も引きつった笑みを浮かべる事しか出来ない。


万丈は咄嗟に掴まれた拳を引こうとするがどういう訳かビクともしない。それと比例して握られた拳が悲鳴をあげる。



ゴキゴキっ



「うわー!!!! 折れる!!!!」



万丈が叫び越えを上げるが鳴海は一向にその手を放さない。



「元プロボクサーがどんなもんかとか思ったが、ゴミはゴミだな」


鳴海の右腕が霞む。



ボギャ!!



骨が砕ける音と共に万丈の身体が宙を舞った。そのままの勢いで2、30mバウンドしながら万丈は路地裏の壁に大きなクレーターを作って気絶した。


それをみた不良達は偉そうだったリーダーを残して蜘蛛の巣を散らすように逃げていく。



「お、おい!!お前らふざけんじゃねー!!」



「はっ、だせーな。人望もねーとは傑作だな」


鳴海はその様子を見ながらくつくつと笑って残されたリーダー格の男を憐んだ目で見据える。



「さっとさ失せろ、そして2度とその汚ねー面見せんな」


鳴海はそう吐き捨てるとその場を後にしようと背を向ける。



パンっ!!



路地裏に乾いた銃声が響き渡る。




「は?とうとうそんなもんまで持ってくるとは落ちたもんだな糞ヤロー」



リーダー格の不良の手には拳銃が握られ鳴海に銃口を突きつけていた。



「ふざけんじゃねーぞ、お、お前はここで死ぬんだよー!!」


「早く撃てよ、まあそんなに震えてちゃ当たるもんも当たらんがな」



鳴海は鼻で笑うとゆらりと拳銃を向ける不良に近づいていく。



「そ、それ以上こっちくんじゃねー!! マジで撃つぞ」



「だから撃てって言ってんだろ、まあその瞬間がてめーが死ぬ時だがな」


その時だった、鳴海は背後に人の気配を感じた。慌てて振り返ると若い女性が震えてその場にへたり混んでいた。


それをみた不良はニヤッと笑うと銃口を女性に向けて発砲した。



「ちっ、間に合わねー!!」



鳴海は女性を抱え込むように守る。背中に銃弾が当たる感覚。銃声が止んだのと同時に女性から離れるとドカッとその場に座り込む。



「はっはーー!!ざまぁみろ!!」



不良は狂ったように笑いながら歓喜に身を震わせる。



「これでやっと終わり……



ゴキんっ



「は?」



不良の頭は360度回転し人形の糸が切れるようにその場に倒れ伏した。



「クソヤローが、女に銃向けてんじゃねー!!」


拳を振り切った鳴海が大量の血を流しながら鬼の形相で不良の首をへし折っていた。



「あんたも、さっさと行きな……もうじき察が来る。厄介ごとに巻き込まれんぞ」



「で、でも血が……」



「大丈夫だ、人より多少は頑丈なんだ」


鳴海は優しく女性に笑いかける。涙目の女性は鳴海の笑顔に頷くと走って路地裏を抜けていった。



鳴海さ大の字でその場に寝込むと新しい煙草を咥えて火をつけた。



ふーーっ



「つまんねー人生だったな」



血を流し過ぎたのか薄れる意識でそんな事を考える。



「わりーな爺ちゃん、多分先逝くわ……」



そこで鳴海の意識は暗闇に沈んだ。









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