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初期練習作(短編)

よるのがっこう

 ぼくと健ちゃんが遊んでいたときに、

ひとりの知らない女の子がやってきました。

その子は赤いスカートと白のブラウス、

黒い髪はおかっぱに切りそろえられていました。

顔面に精気は無く、何となくこわかったです。


 その子はぼくたちにこう言いました。

「よるのがっこうに近づいてはダメだよ」

そして去ってゆきました。

ぼくたちは、どうでもよくなってまた遊び始めました。


 次の朝、健ちゃんからお誘いがありました。

あの子がどこのクラスにいるか、探したいということでした。

なんだか彼女が好きになってしまったようでした。

ぼくたちはお昼休みに何クラスか探しましたが、

とうとう見つからず、ぼくは音を上げてしまいました。

健ちゃんはひとりで探すと言って別れました。


 それからのことは分かりません。

ぼくは健ちゃんに会わずにひとりで帰宅したからです。

健ちゃんは、学校に居残ってでも探すと言い張りました。

あの子の手がかりは、よるのがっこうの話しかなかったからです。

まさか、あんなことになるなんて思いもしなかったです。

健ちゃんが、まるであの女の子のように、

学校から消えてしまっただなんて。

そして、みんなが健ちゃんのことを、

まったく思い出せなくなっているなんて。

担任の先生までどうしたの?

どうして健ちゃんの出席をとってくれないのですか。

ぼくは健ちゃんに会いたいです。

だから今日、よるのがっこうに探しに行きます。


 これが彼の遺書であった。

行く前に書いたらしい。

その後、行方不明となったが、

今も彼を思い出せる者はいないのだろう。

ただこの封筒だけが、偶然にも残されていた。

真偽を知る者は、誰一人いない。

あの子を除いては。

1-Bに大変よく似た風貌の女の子がいるのを知っている。

彼女にこれを見せたらどうなるだろうか。


 私は薄く唇で笑ったが、思い直し、

遺書を握りつぶしてゴミ箱に放り込んだ。

どうせ子どもの悪戯だからな。

真面目に受け取るだけムダだろう。

軽めです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いやいや、文章は軽めですけど内容はヘビー級でしたよ。最後の四行は鳥肌が立ちました。読みやすくて良い作品だと思います!
2015/07/15 20:01 退会済み
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