表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/105

家族遊び

 扉を見つめた。家の扉を見つめた。自分の家だ。自分の。初めて、自分の家に帰る。どうしてそれだけでこんなに緊張してしまうんだろう。普通だったら、そんな事ないはずだ。なのにどうしてこんなに、緊張するんだろう。


「た、ただ……いま」

 扉を開けて、たった一言言うだけ。それだけなのに。戦闘に出る前よりもずっと、緊張した。なにしろこの言葉を言うのは初めてなのだ。

「……いないのか?」

 返事は、ない。それに少し苦笑する。仕方ない。彼は自分が勝手に連れてきただけなのだから。

 大きなリビングの横を通り、上の階に行こうとする。すると、微かになにかが聞こえてきた。

「なんだ?」

 声につられるようにして進んで行く。微かに聞こえてくるそれは、歌っているようだった。

「コショウふりふり塩ぱっぱ~砂糖ぱっぱ~醤油ぱっぱ~酒は飲んでも呑まれるな~」

「…………は?」

 あまりの事に少し呆然としつつ、小走りになって声の元――キッチン――まで行くと、そこには一人の青年がいた。

「『シトラス』」

「はい?」

 くるっとその青年がこちらを向く。その身にはフリルのエプロン。

「エディス様、お帰りなさいませ。今、ご飯作ってたんですよ」

 にっこりと微笑まれ、なにも言えなくなる。

「……ただいま」

「え、あの……え!?」

 少し哀しくなって、寂しくなって、凄く嬉しくなった。「家族」に抱き付いてみたけれど。やっぱり、涙の色は染み付いていた。

 ごめんなさい。僕の擬似家族。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ