2/105
失う重さ
「なあギール」
「ん……なに?」
エディスのベッドの横に座っていた。すると資料を読んでいたはずのエディスがシャツの後ろを引っ張ってきた。
「二十一キログラムって、何か分かるか?」
「体重だろ?」
「そうだけど、そうじゃなくて」
宝石みたいな、蒼氷の瞳が悲しみを映しているようで。つい、手が伸びた。
「人が死ぬその時に、どんな人だったとしても失う重さなんだって」
頭を撫でていた、手が止まった。
「なあギール。俺にはさ、その二十一キログラムあるのかな?」
撫でる手が頭から下がり、頬に。
「あるよ。もし、無いんだとしても、また俺が取り戻してあげる、俺が、あげるよ」
「ホント?」
震える長い、白銀の睫毛。何時も覗きこむ度思う、エディスは睫毛まで銀なのかって。その睫毛が震えていて、宝石みたいな瞳は涙を見ていて。
「うん、ホント」
そのまま僕らは何気なく口付けをした