自分の力
「レザード、君は政府の城に乗り込むと言ったね。実は、ここの魔法使いたちも仲間を助けに
城に乗り込むつもりでいる。そのときに一緒に行かないか?君も一人では行きたくないだろ。いい提案だと思うが。」
だが、レザードは
「いや、断る。俺の仲間はいつ殺されるか分からない。」
「そうか、それは残念だ・・・だが、魔法を習得するまでここにいるだろ?それまでに気が変わったら言ってくれ。」
レザードは心許なかった。魔法を扱えるまで教えてもらうのに相手の提案を断るのはとても自分勝手だと分かっていた。だが、彼には今にも殺されるという仲間がいた。しかし、ネロも政府に対する戦力が必要だった。魔法が使えるとはいえ、相手の戦力は未知数。約120人魔法使いがいても約50人が年寄り、女、子供だ、戦わせるわけにはいかない。
「今はレザードの魔法習得に専念しよう。今の君は魔法を吸収してもすぐに無くなってしまう状態だ。まず、氣の力をマスターしてもらう。この力は精神力に似ている、精神力を鍛えれば自然と氣の力も鍛えられると思えばいい。」
「なるほどね。そんでどうやって鍛えるんだ?」
「そうだな・・・まず、飯抜きだ。」
「はぁ?意味わかんねーよ!精神力を鍛えるのと飯抜きがどう関係してるんだよ!」
「無関係なわけが無い。飯抜きによって忍耐力などが得られる。これは立派な精神力だ。それに、腹をすかせることによって丹田に力が入り氣をためることが出来る。分かったか?」
「そりゃ、厳しい訓練だ。」
「わかったなら、早速ここの村の魔法使いと模擬戦闘を繰り返しやってもらう。」
「おいおい、俺魔法使えないのに魔法使いを相手するのか?そんなの無理に決まっている。」
「時間が無いんだろう。いざとなったら龍拳を使うといい、そうとう氣を使うがな。もっとも龍拳の使い方は分からないか。」
「お前性格悪いぞ!時間が無いのは事実だ。よっしゃやってやる!」
「一つ、忠告しておくよ。僕の龍眼のように使いずぎると死にいたる。」
「なるほど、気をつけておこう。」
こうしてレザードの修行が始まった。ネロは知っていたこれは単なる修行ではないことを、ネロは龍眼を使いこなすためにこの修行を経験していた。
すると、誰かが尋ねてきた。
「よう、ネロ。龍使いが来たんだって?」
「あ、バノックさん。この人がそうです。レザードさんっていいます。」
この男はバノックというらしい。見た目は25歳ぐらいで、体つきのいい男だ。
「こいつが龍使いか、あんまり強そうじゃないな。俺と戦ってみるか。」
“ずいぶん言ってくれるじゃないか”と内心レザードは思った。そんなことを言われて戦いたい気持ちでいっぱいだったか、戦ったら負けると分かっていた。しかし、ネロは
「戦ってみるといい。バノックさん、魔法は出来るだけ使わないで下さい。レザード、分かっていると思うが勝つのは無理だ、だから本気で行っても大丈夫だろう。これも訓練になる。ちなみにバノックさんの魔法のタイプは補助だ。魔法が使えない今、素手で戦うのはかなり不利だが負けることには変わらないからいいだろ。」
「これも訓練か。いっちょやるか!」