雇われシンデレラ
今回はかなり短いです。
というのも、次回との区切りを付けたかったからなんですが。
続読して下さっている方、本当にありがとうございます。
もっと頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。
6.
「お前、今日は俺に付いてこい」
「…」
仮にも主である方に、は?と返しそうになった。
耐えきった私に拍手したくなる。
「若旦那様、私の話を聞いておられましたか?」
たった今、今日の予定を報告したばかりだ。
また、だ。
まだ数日しか、と言っても私が若旦那の世話をしているのは三度の食事の給仕のみだけど…私が口を挟むと眉間に皺を寄せる。
「…」
どうやら、配下の者が自分の言うことに『Yes』で答えないことが不満らしい。
というか、私が規格外なだけなのだろうけど。
私が頷くまで沈黙を守るから嫌なのだ。
「…理由を聞いてもよろしいでしょうか?」
私は確かに若旦那付きの侍女に任命され、その任を拝命した。
けれど、
『お前は引き続きあの母姉を見張れ』
実際の仕事は大して変わらない。
あの嫌がらせも相変わらずなのだ。
「アンを別件で動かしてるからな、動ける奴がいない」
『…それは、あの玩具扱いも含むものですか』
『勿論』
ニッコリと笑う顔に殺意がわいた。
『あれを耐えられるのはお前くらいだろう』
「今日は王宮に出掛けることになってる…アンと別行動でな」
「お付きのものでしたら私で無くとも…!」
王宮という言葉に動揺してしまったらしい。
思わず声が荒くなった。
「…失礼しました」
すぐさま詫びを入れ、先を促す。
「俺はお前が適任と判断した。…せいぜい俺の手足となるんだな、シンデレラ」
『あの仕打ちを耐え、俺に情報をもたらす…差し詰め、〈雇われシンデレラ〉というところか』
「私はお前に意見を求めているわけではない。ここは従え」
侍女の仕事の一環だ、とまで言われてしまえばどうしようもない。
渋々、馬車に乗り、出立した…嫌な予感を心に抱えて。
私の予想外な所へ行く二人組に引っ張られ追いかける…というか引きずられています。
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