つながり
続読ありがとうございます。
なぜかどちらも腹黒いです…駆け引きとかこういうのを書くつもりではなかったのですが。
とりあえず、頑張って投稿しますのでよろしくお願いします。
4.
「驚かないのね」
アンと呼ばれた少女が沈黙を破った。
「想像はしておりましたので」
驚くと言うよりも彼女が本当に平民の少女なのか、若旦那との関係性に気持ちが傾く。
「あら、気付かれないと自信があったのだけど」
そう言って笑う姿に女中服はちぐはぐに見えた。
「ひとつひとつの仕草が綺麗すぎましたから…決定打は扉の虎、でしたが」
クジェトリム伯爵家の紋章は虎。
扉にはめられた石は銀と琥珀…つまり、若旦那と彼女を現す。
そこから推測するに、
「失礼ですが、お二人は御兄妹でしょうか」
疑問、というより確信。
おそらく彼女は、
「そうよ。兄様とは半分の血しか繋がってないけど」
妾の娘。
権力者にはよくあることだ。
というか、一夫一妻の貴族の家庭はほぼ無に等しい。
伯爵の髪、瞳はともに銀。
奥様の髪は金、瞳は青。
彼女の瞳は髪、瞳ともに茶色。
色素なら繋がりは得られないが、
「顔立ちが伯爵さま譲りでいらっしゃいますわ」
煩わしげに髪を払う姿、貴族の令嬢にしては短い髪。
彼女はその色を嫌いなのだろう。
「…」
「それで、若旦那様は何を仰りたいのでしょうか?」
分かり切っていた。
隠していたであろう情報網を私にバラした。
選択肢は二つ。
「選べ」
目をそらしたら負けだと自分に言い聞かせ、言葉を待つ。
「死ぬか、俺に従うか」
傲慢な人間だ。
しかし、玉座に座る一国の王のようにも見える。
「私は私の進む道がございます」
けれど、私は膝を折らない。
「その上で力になれるのであれば、一介の女中として力になりましょう」
「アン」
閉じた扉から目を逸らさずに忠実な妹に声をかけた。
「彼女、膝を折りませんでしたわね」
言いたいことをすぐに察したようだった。
「だが、断りはしなかった…制限付きだったが」
「えぇ」
「面白いゲームになりそうじゃないか」
「分かりました、準備をしてまいりますので失礼しますわ」