表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/16

追う者、捕らえる者

 9.



 緊張の中、誰も物音をたてはしない。

 敵は前方に5人。

 俺は背に庇われる立ち位置にいた。


 体を傾け、全力で走る。

 後ろから彼女も走ってきたようだ。

 一瞬遅れた追手もやってきているらしいバラついた足音が聞こえる。


 『全力でまっすぐ走れ。後ろは振り向くな』


 指示通りに走り続ける男を見て焦る。

 正装なんて動き辛いにも程がある。

 比べて相手は軽量化された、動き回るための装束。

 バラついた足音が迫る。

 いつまでもつか分からない…そう思った時、衝撃が走った。






 「まさか、そんなに打つとは思わなかったわよ」

 「嘘だろ?お前の時、清々しい顔は今までで一番だったぞ?」

 「ね、先生が休んでるんだからちょっと静かにしようよー」


 聞き覚えのある声に意識が浮きあがる。


 「煩いわね!だいたい近衛が来るのが遅いからああするしかなかったんじゃないの?」

 「ふむ?それはそれは。他人に頼らなければ人一人守れない…そんな脆弱な奴にブランは任せられないな。ブラン、ウチに来い」

 「なっ!!ブランを欲望まみれの王宮に置くなんて許さないわよ!」

 「ちょ、二人とも…あっ」


 声が頭に響く。

 思わずこめかみを押さえると、

 「駄目ですよ、先生!」

 その手を押さえたのは最近、生徒になった少年だった。

 「包帯が取れちゃいますから…」

 少女と見紛う程繊細な顔立ち、穏やかな緑の瞳、それを縁取るは金。

 お伽噺の中から抜け出た容姿を持つ彼はとても儚く見える。

 外見を裏切らず、病弱であるために城で暮らしているという彼は爆弾を落とした。



 「姉さん(・・・)、ほら。ちゃんと謝らなくちゃ駄目だよ…」



 「だって仕方ないじゃないのよ、あの状況だったんだもの」

 そうでしょ、ブラン?そう言いながら拗ねて見せる(彼女)は自分の知っているノアとまるで別人だった。

 「…とりあえず、整理させてくれないか」


 あの衝撃は頭を強かに打ったものらしい。

 原因は追手に追いつかれそうになった所をノアが突き飛ばしたからだとのこと(とてもいい笑顔だったという)。


 「あそこは後宮の跡なのよ…王妃の座争いで暗殺が相次いだから暗殺者の侵入を防ぐために罠がたくさんあるの」


 あえてそこへ奴らを誘き寄せ、罠の一つに嵌めたらしい。




 「そんな大雑把な説明で俺が納得すると思うか?」



 「…しては貰えないでしょうね」

 「お前の話が本当だとして、都合良くアイツらがまとめて罠にかかるとは考えにくい」

 あの時、あの廊下に入ってこらざるを得ないようにした、違うか?


 「無理なんじゃない?…現次期フェリトリア当主?この人が引かないってのは分かってるんだろう?」


 「殿下…それは話せ、ということでしょうか」

 「別に、命令のつもりは無いよ?だって僕、まだ王子(子供)だし」

 ただ、王はフェリトリアの判断に任せると言っていたことは伝えておこうと思っただけさ。


 好き放題に言ってくれる王子に、引き下がりそうにない主(仮)。

 溜息は尽きないが、


 「殿下、人払いを」

 話してみようか…勿論、タダでは返さないが。



 「時期も時期です。次期当主となるだろうブランも13歳」

 小さな子供ではない…私からしたらいつまでも保護対象なのだろうが。


 「長い話なるでしょうが…退室するなら今のうちです」




 「聞かせろ」




 ーーー話は初代王の時代にさかのぼります


           フェリトリアとは貴族ではありませんでしたーーー





うーん…何だか、重たいです。

後からどんどん増えて来る設定。

いつの間にかかなり古いお話が絡んできてます。


とりあえず、ノア(ブランク)の登場です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ