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30. リソースの40%を占拠

 

【システム時刻:翌日、午後3時】

【天候:晴】

【ミッション:井戸枠・フィルター設置】


 翌日、中庭ではジャック副団長の指揮のもと、兵士たちが木材の井戸枠と砂利の設置を順調に進めていた。

 作業はおおむね完了し、水も安定して湧き出ているようだ。

 しかし――。


(……ヴィンセント騎士団長は、今日も不在です)


【...システムの全リソースを、ミッション、井戸の監視に割り当てます】

【...5%...10%...】

【――警告:割り当てに失敗】


【エラー:定義済みのパラメータ『さみしい』が、リソースの40%を不法に占拠しています】


 私は、中庭の花壇の段差に座りながら、この非合理的なバグと格闘していた。


「エリス様! ご報告します!」


 私の思考を中断させたのは、ジャック副団長の声だった。

 彼は晴れやかな顔で私に駆け寄ってきた。


「井戸枠の設置、砂利の充填、完璧に完了しました! 水の様子も安定しています!」

「素晴らしい進捗です」

「あとはポンプの到着を待つだけで、今は取り付け部分を整えているところです!」


 ジャック副団長が、誇らしげに胸を張る。

 孤児院の子供たちも、昨日の歓喜が続いているのか、楽しそうに中庭の安全な場所を走り回り、兵士たちと遊んでいた。


(……幸福度のパラメータは、高い水準を維持しています)


 笑顔が増えた子供たちを眺めていると、教会の門の外から、快活な大声が響いた。


「おおーい! 聖女様! 騎士団様方! 約束のブツ、持ってきたぞー!」


【対象:ダリオの出現を検出】


 ダリオが、工房の若い職人たちを引き連れ、中庭にやってきた。

 中庭に到着した彼らが荷台から降ろしたのは――


【スキャン:ポンプ。材質:『青銅』】

【分析:設計図との照合...エラーなし】


「ダリオ。手紙の内容では明日の予定とありましたが……」


「はっはっは! 坊ちゃんの最短納期の命令と、聖女様の追加補足のおかげで、こっちも火がついちまってな!」


 ダリオは、完成したポンプを誇らしげに叩く。


「排水部分のみ先に動作確認したが、素晴らしい仕組みだ! あんたの設計、完璧に再現できたぜ!」


【分析:ダリオが、私の『ロジック』を100%『実行』した】

【...『達成感』のパラメータが、再び上昇】


「今はちょうど、若い連中がこいつ専用の給水管を運び入れてる。すぐに差し込んでいこう!」


「では、給水管の接続は我々が!」


 ジャック副団長も、ダリオに感化されてか興奮気味だ。

 2人が同じ目標のために頷きあった、その瞬間だった。


「――なにも聞いていないぞ!!!!!」


 中庭から、空気を震わせるようなグリモ司祭の怒号が響き渡った。



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