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聖女大戦   ~聖女をやめたので地球に転移して無双します~  作者: 日々野 新


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第9話 アリアの怒り

 その頃、リンネは眠れないまま窓辺にもたれ、空に浮かぶ満月を見ていた。


 移住者の住居になっている、この建物以外の明かりはすでに消えているせいか、

 夜空の星々は闇に浮かんで、とてもきれいに見える。


 こっちの月はほんとに欠けてないんだ.......


 そう思った瞬間!


 斜め下にある部屋の窓から眩い光があふれ、星が隠れるほどに広がった。

 あたりは一瞬だけ昼間のように明るくなり、そしてすぐに闇の中に消えていく。


 あっ!あれは、アリア様の部屋.......

 あの光は.......

 リンネの胸には不安がよぎり、パジャマのまま部屋を飛び出していった。



 中東、ザルク自治区――


 空高くで眩い光が輝いた。


 良かったわ、誰にも気づかれてないみたい.......


 転移先に受けの魔法陣がない場合、その地域内にランダムに転移する。

 人ごみの中などに誤って転移し、目撃されたりしないよう、アリアは転移先の高度を空高く設定していた。


 アリアが真下に見えた大きな建物の残骸の上に降り立つと、

 周りには、瓦礫だらけの視界が広がっていた。


 焼け残った建物がところどころにある他は、砕けたコンクリートや剥き出しの鉄筋が大地を覆っている。

 そして、頭上をいくつものミサイルが唸りを上げて飛んでいき、爆発音が響く。


 遠くから砂煙を上げ迫ってくる、イルサレム軍の戦車部隊が向かう方向を避ける様に、

 逃げ遅れた人々が瓦礫に隠れながら走り出し、左右に散っていった。


「……あっ。あの子、まだ生きているわ」

 逃げ遅れた一人の子供をアリアは見つけた。


 足を怪我して、立ち上がろうとしては何度もこける子供に、近づく戦車の隊列。


 考えるより先に、アリアは駆け出していた。


 身体強化魔法を発動させ砂嵐に隠れて、子供の下に駆け寄り、

 子供をその手に抱きしめる。


 そう囁く間にも、戦車の隊列はギシギシと瓦礫を噛み砕き、すぐ背後まで迫ってきている。


「怪我をした子供がいる! 今すぐ止まりなさい!」


 アリアの叫びは轟音にかき消されてどこにも届かない。


 轟音はさらに大きくなり、隊列は近づいてくる。


 顔を隠すように被ったベールから覗く目を見開き、湧き上がる怒りの感情を爆発させ

「止――まれぇっ!!」と絶叫した。


 そして、後方から飛来してくる一発のミサイルを、瞳の中に収めギュッと手を握り地面に叩き付けるように振り下ろす。


 軌道を奪われたミサイルは不自然な角度で失速し、戦車の履帯付近へ突き刺さるように落下した。

 大地は砂塵を巻き上げ、戦車は斜めに傾いてようやく動きを止めた。


 その様子を少し離れた瓦礫の陰から一人の若者が見つめていた。


(今のは……何だったんだ……)


 戦車部隊の侵攻映していた、スマホの動画を再生してみる。


(あまり鮮明には映ってないな……)


 砂塵が薄くなり、そこに二人がもう居ないことを確認すると、若者は安全な方向へ向かって走り出した。


 アリアは子供を抱きしめたまま、砂塵に紛れてはるか遠くにあった建物の陰まで移動していた。


「大丈夫、今怪我を直してあげるからね」


「うっ……うっ……」


 痛くて喋れないのか、子供はうつろな目でアリアを見た。


 その時.......


「何をしてるんだ!!」

 戦闘服姿の一団がアリア達の前に走り寄ってきた。

 手には、ロケットランチャーや機関銃、狙撃銃などを抱えていて、その銃口をアリアに向けている者もいる。


 彼らの付けたマスクや、アラビア語の書かれた緑色のヘッドバンドを見て、ザルク自治区を占領支配している、ズマの戦闘員であることがアリアには容易に分かった。


「何もしていません、怪我した子供の様子を見ていただけです。この子供の保護をあなたたちにお願いしても良いですか。」


「ふざけるな!俺たちはこれから、あの戦車部隊と戦闘しに行くんだ。怪我した子供を引き取れるわけがないだろう!」

 一人だけ戦闘服に身を包んでいる、部隊長らしい男が言った。


「おい女、とにかく顔を見せてみろよ」

 若い兵士が銃の先でアリアの目深にかぶったフードを押し上げる。


「……へぇ。思ったより、いい女じゃねえか!お前だったら保護してやってもいいぜ!」

 若い兵士がそう言うと、アリアの顔を見た他の兵士たちも盛り上がる。


「この女つれて行くか」と本気で話し始めた。


「おい、お前らいい加減にしとけよ!そろそろ行くぞ!」

 後ろの方で静かに様子を見ていた兵士が怒鳴った。


 その兵士は他の兵士と違い、緑色のヘッドバンドつけておらず、

 目深にかぶった黒いフードから、光に透けそうなほど薄いブロンド色の髪が覗いている。


「悪いがその子の保護はできない。ここからずっと向こうに行ったところに、まだ破壊されていない病院があるから、そこに行ってくれ」

 そう言うと彼らは重なった瓦礫に身を隠す様に、戦車の隊列に向かって進んでいった。


 抱きしめた子供は意識を失い、怪我をして骨がむき出した足からは血が止まらずに溢れ出てくる。

(このままじゃいけない。でも病院へ行っても満足な治療はできないはず。)


 その時……耳をつんざくような飛行音をさせ数発のミサイルが飛来して来た。

 そして、アリアたちのすぐ近くで、**ズドォォォン!**という炸裂音を響かせて、すべてを破壊して行く。


 攻撃はそれだけでは終わらず、ミサイルの炸裂音が耳鳴りのようにずっと続いている。


(手遅れになる前に、この場所を離れよう)

 アリアはシーツに記した魔法陣を広げて、魔法の詠唱をはじめた。


 やがて、眩い光が二人を包み込み、静かに光の中へと消えていった。



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