第8話ー3 七日間講義
翌日。今日は七日間講義二日目。青白い朝日に包まれた校庭にコウとミキはやってきた。
早朝からレスピナス先生からのツバメのマメ電報を受け取り、「二日目の講義は校庭で行います」と連絡があったのだ。
北棟、東棟、南棟、西棟と四つの校舎に囲まれた中にあるこの校庭は、普段は授業で習う魔法の練習や、休み時間は生徒が自由に過ごしている場所なのだという。
今日の講義は校庭で、ということは、今日の講義は魔法を使ったものなのかもしれない。
コウは、魔法を使った講義に胸が高鳴っていた。ミキが使っていたような魔法を教えてもらえるかもしれない。自身の想像を遥かに超えるような、火の魔法のポーやそれ以外の魔法を自身が使う。ミキほど魔法は上手ではない。だけど、新しいことに挑戦できる嬉しさのほうが勝っていた。
少しして始業を知らせるチャイムが鳴り響いた。朝の学校はすぐ静かになり、どこの校舎でも授業が始まったことが校庭に居るコウたちにも伝わってきた。
「お揃いですね」
その声は突然コウたちの背後から聞こえて来た。レスピナス先生だ。
コウは、レスピナス先生が突然現れたように感じ、少しびっくりした。
「今日からは魔法を使った実演習です。担当は私、レスピナスが担います」
レスピナス先生はそう言うと、自身のスーツジャケットの内ポケットから杖を取り出した。そしてレスピナス先生が杖を振ると、コウたちがいる周辺の約数十メートルの範囲に透明のようなそうでないような不思議な膜のような物がドーム状に広がった。ミキ曰く、魔法が失敗して人や校舎に直撃しないようにする”魔法の防護壁”のような物らしい。
「これでいいでしょう」
レスピナス先生は魔法の防護壁なようなものを作り終え、コウたちに向き直り
「さて、お二人とも杖はお持ちですね?」
ミキは銀の持ち手の明るい色の杖を、コウは先日ウーリさんから借りた仮の赤い杖をレスピナス先生に向けて見せた。
レスピナス先生は二人の杖を一目見たあと、また自身の杖を振った。すると、コウたちの数メートル先に白と青と赤に塗られた円形の的が出現した。宙に浮いていて止まっているものもあれば、左右上下、斜めに縦横無尽に動く的は、まるで敵の動きを連想させる。
「レオーニさんは止まっている的に目がけて練習しましょう。アミマドさんは動いている的に」
レスピナス先生にそう言われ、二人はわかりました、と返事した。
ミキは少し離れた場所へ、コウは近くにある的の2メートルほど前に移動した。
まずレスピナス先生は、ミキへ呪文の詠唱方法やどんな魔法なのかと簡単に説明した。そのすぐあと、ドーン!と音が鳴り響いたかと思うと、ミキの目の前を縦横無尽に飛び回っていた的の一枚が黒く焦げており、半分ほど破壊された状態となっていた。
「その調子です。的の中心に当てられるよう練習を続けてください」
レスピナス先生は、ミキにそう伝えた。
次にレスピナス先生は、コウへ魔法の仕組み、杖の仕組みと簡潔に説明してくれた。
この世に存在する魔法は、自身が生まれながらに受けた加護が大きく影響する。その受けた加護はみんな等しく平等だが、魔力として発現させるには、その者の受けた加護ともっとも近い杖が必要となる。加護と魔力を共鳴させ、魔法として発現し、その力を外へ出す。簡単に言うとこうなのだそうだが、人によってその発言させる方法が異なっており、個人によっては大きく発現できる者もいれば、非使者のように発現できない、または、発現させる力が弱い者もいる。これは年齢や性別関係ない。なので、未だ魔法の発現についてはわからないところが多いのだという。
「人によって、年齢があがるにつれその力が弱くなる方もいれば、魔力が弱かった者がある日突然強くなることもあります。とても強い魔法使いがある日突然非使者になった例も確認されておりますが、非使者が使者になったことは今のところありません。魔法って本当に不思議ですね」
レスピナス先生はそう語ると、コウに魔法の使い方を教えてくれた。
まずは、火の魔法「ポー」だ。
コウはレスピナス先生に教わったとおり、構え方やイメージの仕方をやってみせた。一度目は拳より小さなひ弱な火球だったが、二度目は拳大の火球ができあがった。が、その火球はあまり遠くへは飛んで行かず、的の目の前で消し炭へと変わってしまった。
レスピナス先生曰く、調節の仕方があまり上手ではないらしい。そこで、レスピナス先生がコウの目の前で杖を振ると、コウの目の前に簡単に組み上げられた何本かの薪が出現した。
「火の魔法は、攻撃だけではなく、日常使いとして一番使われている魔法でもあります。この目の前の薪に火をつけて強さの加減を覚えていきましょう。たとえ門の塔の中で攻撃として使わなくても、料理などに応用することができます。中では”生きること”が一番大切です。生きるには、食事や体を温めることも大事。なので午前中は、力加減から覚えましょう」
レスピナス先生はそう言って微笑んでくれた。
隣ではミキが大きな魔法を使い、縦横無尽に動く的へ攻撃している。たまに外したりはするが、ほとんどの魔法が当たり、成功している。
コウは少し焦りを感じた。このままではミキの足手まといになってしまうのではないか。もっと攻撃に仕えるような魔法を覚え、役に立てるようになりたいのに。でも、今は目の前のことに集中しなくては。
コウはレスピナス先生に言われたとおり、午前中いっぱいはずっと薪に火をつける練習を続けた。
食堂で昼食を取ったあと、コウとミキはまた校庭の指定された場所へ戻り、レスピナス先生が作り出した魔法の防護壁の中で練習を再開した。
ミキは中級魔法から上級魔法に挑戦し、どちらも見事に成功させた。5年生や6年生にならないと習わない難しい魔法だそうで、レスピナス先生も関心していた。
一方コウは、薪に火をつける練習をやってはいるが、やはり力加減が難しい。いざ、強い力や火を想像すると薪が一瞬で燃え上がり、消し炭になってしまう。ならばと弱い力や小さな火を想像してみると、今度はうまく火が付かない。こんなにも魔法が難しいとは思ってもいなかったし、もしかしてあまり才能がないのでは? と、コウはどんどん焦りと不安が大きくなっていった。
コウの不安を感じ取ってか、レスピナス先生が口を開いた。
「コウさん。今は不安になる気持ちもわかります。ミキさんのを見せられてしまっては焦ってしまいますよね。ですが、ミキさんを含めたこの学校の生徒も、そして教師陣も、皆最初は同じスタートラインに立っていました。最初からできないのは当たり前です。どんな分野でも、初心者は皆赤ん坊なのです。いきなり立って歩ける赤ん坊なんてこの世には存在しません。立っては転んで、泣いて、また立っては転んで……。その繰り返しです。今は己を越えるときです。苦しいかもしれませんが、目の前のことに今は集中しましょう」
レスピナス先生の言葉はとても優しく、コウを初心に返らせてくれた。
コウは言われた通り、目の前の薪に集中した。そして、バーオボでの暮らしを思い出す。初めてアルバイトをしたとき、ティラミスがうまく作れず悪戦苦闘したこと。バイクの免許を取得したときに受けた講習で思い切り転倒したこと。牛のお尻を引っ叩いたとき後ろ足で思い切り蹴られたこと……。
誰にでも失敗はある。失敗は悪いことじゃない。失敗とは、成功への近道なのだ。
コウは頭で優しい炎が燃え盛る焚火を思い起こした。火というのは、ただ力強く燃えるだけではない。その場にいる人にぬくもりを与え、心を安心させる。
コウはそのイメージのまま、呪文を唱えた。
すると、目の前の薪はボワッと音を立てたかと思うと、焚火となっていた。
「や、やった! うまくいった!」
コウは嬉しさと驚きが入り混じった歓声をあげていた。
この講義を受けてから初めて成功した。ミキのような大きな魔法は使えないけど、コウにとっては大きな一歩のように感じられた。
その日は薪を焚火にする練習で一日が終わった。気が付けば辺りはオレンジ色に染まり、校舎の影が長く伸びていた。
魔法なんて、杖を持って呪文を唱えればあっという間に思い通りになるなんて思っていたが、魔法の難しさを思い知った一日となった。
七日間講義3日目は、この日も前日と同じよう、校庭で魔法の練習が行われた。だが、昨日とは少し違った魔法だった。
コウたちの目の前にはいくつかの植木鉢がズラリと並んでいた。茶色い鉢に土が入っている。だが、どの鉢の植物も弱々しく、どれも枯れる寸前のばかりだった。
レスピナス先生は、一つの鉢に向かって杖を振ると、その鉢の植物はまるで時が戻ったかのように元気な青々とした姿に戻った。
コウが驚いてそれを見ていると、ミキがボソリと「回復魔法……」と言った。
「アミマドさん、正解です。さすがですね。そうです。今日は回復、解毒、解痺、解眠……。この三つの魔法をお教えします」
レスピナス先生はそう言うと、二人に杖を持つように指示を出した。
「まずは初歩的な回復魔法から。昨日お教えした攻撃魔法と違い、回復魔法は精霊たちの力を借りることになります。精霊たちは自然のどこかに――私たちには見えませんが――必ず存在しています」
コウは、気配を探ったが精霊がいるのかどうか全くわからなかった。
「さ、お二人とも。目の前の鉢に向かって杖を構えてください」
コウとミキは、自身の目の前の鉢に杖を構えた。鉢に植わった植物は枯れて茶色くなり、誰が何を施しても元の姿に戻ることはなさそうだ。
「そして、呪文はこうです。『大地に住まう精霊たちよ、この者を癒したまえ、ヴァリーヴァリー』。心を落ち着かせ、静かに唱えてください」
コウとミキはそう言われ、深呼吸をしたあと静かに呪文を唱えた。
二人の杖からは、緑色の柔らかい光がフワリと現れ、目の前の鉢へ向かって飛んで行く。緑色の光が枯れた植物を包み込んだかと思うと、植物は生き生きとした姿を取り戻した。
「すごい!」
コウは興奮のあまり、そう声に出していた。
隣のミキの鉢を見ると、ミキの鉢の植物も元気な姿になっていた。二人とも成功だ。
「お二人とも成功ですね」
レスピナス先生はそう言って、軽く拍手をした。
その後二人は解毒、解痺、解眠も習い、進み具合が早いからと、毒、麻痺、睡眠の魔法を教えてもらうこととなった。
ただ、今回教えたことは内緒にしてほしいと、レスピナス先生からお願いされた。
なんでも、毒、麻痺、睡眠の魔法は犯罪に使われることが多いため、学校で教えるのは違法なのだそうだ。だが、門の塔の中ではそうは言ってられない。なので今回だけ特別に。レスピナス先生は微笑みながらそう話してくれた。
レスピナス先生が軽く杖を振ると、三人の目の前に何故かロロー学長が現れた。
「ロロー学長?」
「急に出てきてびっくりしちゃった!」
コウもミキも驚きの余りそう口にした。
「いや~、僕のほうこそびっくりなんだけど? さっきまで動物たちのせ――ゲフン! 学長室で仕事してたのに」
ロロー学長の口から何か変な言葉が聞こえた気がしたが、コウはスルーした。
「私が召喚しました」レスピナス先生は眼鏡を直し、
「丁度良い実験台が必要でしたので」
実験台……? ミキとロロー学長はただ首をかしげるだけだが、コウはレスピナス先生の微笑みが悪魔の微笑みのように見え、鳥肌が立った。
レスピナス先生は杖を構えると、呪文を唱えた。
「クードワ」
レスピナス先生の杖先から鋭い閃光が走ったかと思うと、ロロー学長の顔が真っ青になり、吐き気を催し始めた。
ロロー学長の姿を見て、コウとミキが驚いていると、レスピナス先生は口を開いた。
「今のは毒の魔法です。強い吐き気を催します。決して、門の塔の外では使わないように」
「今はいいんですか?」
コウは恐る恐る聞いた。
「今は魔法の壁の中ですし、誰も見ていません。お二人が口外しなければ決してバレることはないでしょう。違法は違法ですけどね」
レスピナス先生はそう言うと、ロロー学長に向かって杖を振った。ロロー学長の顔色はあっという間に元通りになった。
「ちょっと、何? 僕、何かした?」
ロロー学長は、焦った口調でレスピナス先生に聞く。
「いいえ。何もしていません。この子たちが知る限りは、ですが」
レスピナス先生の口調は、ロロー学長に対する怒りが存分に感じ取れた。顔は微笑んでいるが、声からはその微笑みとは真逆の感情がにじみ出ていた。
コウとミキは、レスピナス先生から毒、麻痺、睡眠の呪文を教わり、順番にロロー学長という実験台にかけていった。その度にロロー学長は悲鳴をあげたり、突然眠ったりした。相手が人なので、コウもミキもかなり躊躇して魔法を使ったが、レスピナス先生はその度に嬉しそうな顔をした。
その夜、コウは心に罪悪感が残り、ロロー学長の断末魔が頭から離れなかったが、不思議とぐっすり眠れてしまった。
七日間講義4日目からは、コウは体術や剣術の講義を受けた。
やはりミキと比べると魔法の使用に不安があった。火の魔法に回復魔法や、違法な魔法……。火の魔法はまだしっかりと的に当てられない。回復魔法はミキのと比べると少し弱い気がする。違法な魔法も言わずもがな。そこで「魔法だけでは不安だ」とレスピナス先生に申し出たところ、いい先生がいるので、と言ってくださったのだ。
体術は、レウテーニャ魔法大学校で魔法スポーツの部活動の顧問をしているチゴウィ・ガルドス先生が教えてくださることになった。
ガルドス先生は、ドガール族の男性で、赤褐色の肌と大きな黒い水牛のような角を生やし、背は2メートル以上、体つきはコウの5倍はある。ほとんどが筋肉でできた体とスポーツ刈りにしたナチュラルな黒髪。まさしくスポーツマンと言った出で立ちだ。
だが、魔法が使えないドガール族の人がどうして魔法学校に?
コウの疑問符は、すぐさま消え去ることとなる。
なんでも、ガルドス先生は学生の頃、非使者の魔法ラクロスの選手として聖地テルパーノ代表に選ばれたらしい。高い身体能力、敵や味方の動きを見て瞬時に判断できる洞察力。魔法ラクロス界では名の知らない者はいないほど人気の選手だったそうだ。
そして、その人気というのは、ガルドス先生自身の人柄もあってのことなんだろうな、とコウは講義を通して思った。
スポーツマンというのは、出来て当たり前と思っているのか、いまいち他人に教えるのは下手だという人がいたりするが、ガルドス先生は違う。体術をやったことがない初心者のコウにもわかりやすく、すぐに上達するようなやり方をあれやこれやと提案してくれ、講義の短い時間でもすぐできるようになったのだ。そして、決してマイナスな言葉はかけず、コウの気分がよくなるように誘導してくれる。このような人に教えてもらえたら、体を動かすことが嫌いな人はいなくなるのでは? と思った。
体術を一通り教えてもらったところで、次に剣術を教えてくれる先生が遅れてやってきた。
コウはその人を見てとても驚くこととなる。
なんと、大衆酒場セイレーンで給仕をしている、イリニヤ・サクサさんだったのだ。
イリニヤさんは、イズルザス帝国の奴隷剣闘士をしていたドガール族の父親とエルフィナ族の母親の間に生まれたのだが、10歳になった頃、彼女自身も奴隷剣闘士としてコロシアムに参加させられ、奴隷解放運動で解放されるまでずっと剣闘士をしていたらしい。奴隷解放運動後は、聖地テルパーノの政府によって保護されそのまま移住。今日まで給仕の仕事をして一人で生きてきたのだそうだ。
”奴隷解放運動”と聞いて、コウは母マルサのことを浮かべたが、イリニヤさんが知っているはずないよな、と母のことは一度引っ込めた。
イリニヤさんは、二本あるグラディエーター剣の一本をコウに渡した。刀身はそれほど長くはないが、分厚い金属でできており、ずしりと重い。イリニヤさんが軽々と持っているので、受け取ったときに落としてしまいそうになるほどだった。
イリニヤさんはまず、剣の持ち方や振り方を教えてくれた。剣を持つだけで精一杯だったが、ガルドス先生から教わった体術を基礎に、イリニヤさんの姿勢をよく見て真似ながら持ってみると、重さを感じない持ち方がわかった。だが、振り上げてみると、重さが体に伝わり、身動きがとりにくい。
自身から申し出たとはいえ、やはり甘い考えだったか……。
コウはネガティブな感情を頭で回転させてしまう。
そして、振り上げた剣がコウの背後に落ち、剣は地面へ突き刺さった。
「大丈夫?」
イリニヤさんはコウに優しく問いかける。
「わかりません……」
コウは暗い表情をしてそう答えた。
「僕には向いてないんでしょうか?」
イリニヤさんは、コウが落とした剣を地面から抜くと、「コウくん。一度休憩しよっか」
イリニヤさんに勧められ、コウは校庭の端にあるベンチへ座った。
遠くからは物凄い地響きや音が聞こえてくる。ミキがレスピナス先生に教わった強大な魔法を練習しているのだろう。
ミキは上級生や大人がやっとの思い出取得する魔法を、若干13歳でやってのけている。ミキが魔法なら、自身は……と何か別の攻撃手段があればと思ったが。やはり無謀だったのだろうか。バーオボに残って、母さんの帰りをただ待っていたほうが……。
「あのさ、コウくん」
イリニヤさんは、レスピナス先生が持たせてくれた飲料水入りのボトルの片方をコウに差し出し、声をかけた。
「お母さんに会いたい?」
その瞳は真っ直ぐコウを捉えていた。
「……はい。でも、僕は……甘かったみたいです。母さんに会いたいって自分の気持ちだけで突っ走って、沢山の人に迷惑かけて」
コウは言葉を詰まらせ、もう一度口を開いた。
「このままだとミキの足手まといになってしまいそうです」
イリニヤさんはボトルの水を一口含み、一呼吸置いたあと、優しい声色で答える。
「じゃあ、足手まといのままでいいんじゃない?」
「へ?」
コウの口から腑抜けた音色が漏れ出た。
「足手まといは足手まといなりに戦いの中で役にたつこともある……って私のパパの受け売りなんだけどね」
イリニヤさんは、自身を笑うように微笑み、
「足手まといなんていない。戦いが得意な人もいれば、後方支援が得意な人、指揮が得意な人……。人それぞれ適材適所だよ、って私は勝手に解釈してるんだけどね。だから、コウくんはコウくんなりの役目を見つければいいと私は思う」
イリニヤさんの言葉を聞き、コウは今まで自分が思い悩んできたことが少し馬鹿らしくなり、そして胸のモヤモヤが晴れた気がした。
コウは貰った飲料水をぐいっと飲み干し、「なんだかわからないけど、元気が出た気がします!」
さ、練習しましょう! とイリニヤさんに言い、校庭へと戻った。
足手まといではなく、適材適所。魔法はミキ、自分は剣術とほんのちょっと魔法と……ミキをサポートできるような役割を門の塔の中で見つければいい。今すぐに役割なんてわからなくていいんだ。
コウは剣術を磨くのに励んだ。イリニヤさんはそれに応えてくれ、あれやこれやと教えてくれた。
気が付けば、夕方となり、そして、体中痛みが走るほどバキバキになっていた。
明日に響くだろうなこれ……。とコウ思いながら、伸びた校舎の影に掛かったベンチに座った。




