7.元婚約者は叱りを受ける。
「私が言いたいことは分かるな?ルーク」
「…っ」
ルアンの言う通り、ルアンが教室に突撃されてから次の日にルークは国王から呼び出された。
玉座の間で父である国王や母である妃からの冷めた眼差しがルークに突き刺さる。
「幼稚な理由で婚約破棄して
リベルタを晒し者にするなんて…
なんて恥ずかしい子なの」
とため息を吐きながら、一つ一つに棘がある言葉を言う妃に
ルークは反論できずに、ただ黙っている。
妃にもこの言われようだが…
「本当にそうだ。ましては、リベルタという婚約者がいたのにも関わらず、子爵令嬢と親しくしていたとはな…。」
国王もズバッと言っていた。
「で、ですが、リベルタはアリシアに…」
言いたいことが分かっていたのか、ルークが言おうとしていた言葉を国王は言った。
「酷いことを言ったと?」
「はい。」
まだ、リベルタを悪者にしている様子に国王や妃もやれやれと呆れる。
「あのね?ルーク立場を弁えるというのは当たり前のことよ?教育の時教わらなかったのかしら?立場が上の人にはちゃんと立場を弁えないといけないというのを。リベルタはそれを分かった上で言ったんじゃないのかしら?」
ルアンと同じことを言われて唇を噛む力が強くなる。
「リベルタはちゃんとした教育を受けているという証拠だ。お前が親しくしていた子爵令嬢よりもしっかりとしている。」
「…っ」
次々と言われる言葉はどれも棘のあるものだらけで
どれもがルークに突き刺さっていく。
「はあ、もうすぐリベルタと結婚しそうだったというのにそれをあなたが壊すなんてね…」
「こんな馬鹿な子に国を任せられるなど到底できん。」
「それって…どういう」
その言葉に焦り始める、ルーク。
「今回お前のやったことはとてつもなく愚かなことだった。
だからそんな愚かなことをしたお前に皇帝という座を任せることなど到底できないということだ。
王位継承権第一位をルークではなくハンソンに変えようと考えている。」
「そんな…!」
「不満か?」
「…っ」
頷くことができないルーク。
それから最後に国王と妃がたたみかける。
「最後に言わせてもらうけど、リベルタにあんなことをしておいて子爵令嬢と結婚するのは許しませんからね?」
「なっ…」
「そうだ。もし、結婚しようとするなら権力を使ってでも結婚するのを止めるからな?」
そう言い捨てて、国王と妃は、玉座の間をあとにした。
玉座の間を後にしたルークは苛立ちを募らせる。
「くそっ…!なぜ、皆リベルタの味方になるんだ…!」
リベルタがあんなことを言わなければ問題なかったこんなことにはならなかった。
「まあ…せいぜいお幸せにぃ!」
リベルタが最後に言ったあの言葉
神経を逆撫でするかのような言い草にさらに苛立つ。
怒りをぶつけるかのように手荒に自分の部屋を開けて入っていくルーク。
それを見る、ルークの弟であるハンソン。
(全く、リベルタ姉様にあんなことしなければ王位継承権のことについて言われなかったのにな。)
と心の中で呆れるのだった。
プロフィール
ハンソン…17歳
王位継承権第2位
ルークがやったことはとてつもなく愚かなことだと思っている。
リベルタと関係は良好でリベルタ姉様と呼んで慕っていた。