17.いざ、裁きを下す準備を。
「リベルタ、来たよ」
「あっ、カリスト!」
夜会から次の日約束通り、カリストがお悩み屋に来てくれた。それも部下を1人連れて。
お悩み屋で使っていた、ソファにカリストを座らせ
昨日の話を始めた。
「それで、カリストのいい案って一体どんなものなの?」
「それはねこれだよ。」
カリストは部下に「例のやつを」と言い、部下が1つの箱を持ってくる。パカりと開けば、何やら、ぶどうのような果物らしき物が沢山入っていた。
「それは?」
「キャセルグレープだよ。ただのぶどうに見えるかもだけど…」
カリストは箱からキャセルグレープを1つ手に取り、私の方に近づけた。
ぶどうと同じように甘くて酸っぱい匂いがした。
「実は、これには回復効果のあるんだ。腰痛、疲れその他色々、勿論君の言っていたラットベリーの魅惑の効果にも効くものだよ。」
「つまり、それで…」
キャセルグレープの効果の話を聞いてからカリストのいい案というのがこういうものかと私は理解した。
「そうだよ。これを元にした物を作ればその子爵令嬢によって支配されている人達の魅惑の効果が消えるんだ。」
なんて素晴らしい効果のあるものなの。
魅惑の効果を消すことができるとはこの世界の物はすごいものばかりではないかしら。
弁護士のスキルを活かして、証拠収集・勝利への切り札が集まり
ようやくあの2人に裁きを下すことができ
やられた分を倍にして返すことができるのだ。
そのために早急にキャセルグレープを元にした物を作らなければならない。
カリストと話し合った結果、アリシアと似たような
キャセルグレープを元にした香水を作ることとなる。
キャセルグレープは本来回復効果のあるものだから違法にはならないそう。
カリストの部下に、その件を任せ
香水を作ってもらうよう頼みに行って貰っている間に
どこであの2人に裁きを下すかどうかをカリストと話し合った。そして場所が決まった。
どうやら、近々エスター帝国とジェラル帝国と同盟を組んで
15年経つことからそれを記念としたパーティーがあるとか。
そこで裁きを下さないかと結論に至った。
何せ、そのパーティーには大勢の貴族の方が来るし
それにあの皇太子も出るし、パートナーとしてアリシアもやってくる。
裁きを下すのに丁度いい場所だ。
「怖くないかい?リベルタ」
「怖くないとは言えないわね…」
あの女が捏造した証拠や悪行の証拠を持っていて裁きを完璧に下すことができるが信用しない人達が出てきたらどうしよう。何よりあの皇太子は、証拠を出しても揉み消しそうな予感がする。
そう不安げな顔をしているとカリストは肩に手を置いて
「大丈夫。もしものことがあれば、僕が守るから。」
耳元で優しく甘く囁いた。
普段なら、照れてすぐ離れるけれど
今は、その囁きのおかげで不安な気持ちがすうっと消えていった。
不安な気持ちを取り除いてくれて、こんなにも尽くしてくれてカリストには感謝しきれない。
(まさか、私カリストのこと…)
こんなこと考えてはいけないわと首を横に振る。
今はあの2人に裁きを下すことを考えないとね。
(絶対にあの2人に裁きを下して、地獄に突き落としてあげるんだから。)
読んでくださりありがとうございます。