16.尋問time
「…じゃあ、リベルタ奴らに聞き出して見たら?」
「ええ。でも聞くだけではダメよ。録音できる魔道具がなければ
言葉だけでは信じて貰えない可能性があるから。」
「それならお易い御用だよ」
カリストは指パッチンをすると、ふわりと上から魔道具が出てきて彼が魔道具を手に取る。
「はい、リベルタ。」
「ありがとう。」
私はカリストから録音ができる魔道具を取り
録音するボタンをポチッと押す。
そして奴らを見下ろしつつ不敵な笑みで問いをぶつける。
「ねぇ…あなた達、言ってたわよね?とあるお方から私を殺してくれって。その人"誰"?」
最後だけ少しドスの効いた声にすると、奴らはガタガタと怯えつつも、1人が口を開いた。
「ア、アリシア…」
「ちょっと、聞こえないわよ。はっきりと喋って頂戴」
「は、はいぃ!!アリシア・セレス子爵令嬢に命じられました!!」
「…」
薄々と…いや、とあるお方から命じられたと聞いた時から察してはいたけれどやはりアリシアね。
一体どうしてヒロインがそこまでするのかしら。
「どうして殺せって言われたの?」
「それは…っアリシア・セレス子爵令嬢が、リベルタが邪魔だからと…、幸せな人生を送るためにはやっぱりリベルタが消えないといけないからと…。」
(何よその理由。)
リベルタの人生を汚して、挙句の果てに自分が幸せになるためにリベルタは消えないといけないとか。馬鹿馬鹿しい。
「もうこれで…全てのことを話しました…っ。」
未だにガクガク震える奴ら。
それを無視して確信的な証拠が手に入った私は録音を切るためにボタンを押した。
「もう大丈夫かい?」
「ええ、確信的な証拠は手に入れたから。」
「それなら良かった。」
「冤罪を晴らすための、弁明はできて証拠もどれも確信的なものばかりだからあの2人を徹底的に陥れることはできるわ。
けど、あとは…」
「あとは?」
私はカリストにアリシアがラットベリーを元にして作られた香水のことを話した。まだ、皇太子とヒロインの周りにいた人達はまだ操られている状態であるかもと。
カリストはしばし考え、はっとして思いつくような素振りをする。
「それなら、僕にいい案があるよ。」
「本当に?じゃあ…」
すると、カリストはふと私の唇に触れる。
少しドキリとしつつもカリストの話を聞く。
「この場所で、話すのはやめた方がいいね。
だって罪人のいる監獄だから。それに、もうこんな時間だ。」
ふと牢獄の窓を見る。
あれこれしていたら、夜が深まっている状態だった。
(そういえば、今日夜会だったわね…。)
こんなにも夜が深まっているのだから既に夜会は終わっている。それをカリストは察したのかもしれない。
「この話は次の日に持ち越しで。」
カリストはそう言うと、私の唇に触れていた手を離す。
「分かったわ。」
「じゃあ、リベルタ戻ろうか。
馬車は僕が手配するから。」
「わざわざありがとう。」
「いいんだよ。別に。」
そう言って、監獄から出ようとした時だった。
「あ、あの…!」
先程尋問を受けていた、1人がカリストに話しかける。
「…何?僕今からリベルタを送ろうとしているんだけど?」
私と喋る時はあんなにも明るいのに、奴らに対してはとても冷たい声色になるカリストを見て少しゾクッとする。
「俺達はどうなるんですか?さっきちゃんとした話をしましたので…刑は軽くなりますか…?」
「「…。」」
私にしたことを覚えていないのかしら。
例え命令されたといえど殺そうとしたことは事実なのに。
カリストは奴らを見下ろす。そして
「何言ってるの?そんなことで刑が軽くなるわけないでしょ?リベルタを殺そうとしたくせに。
"ふざけたことを言わないでくれるかな?"」
かなりの冷めた声でそう言って、真っ赤な瞳でギロりと奴らを睨みつける。
「ひいっ…!すいません…。」
完全にカリストの地雷を踏んでしまったと悟りガタガタとまた震えだす奴ら達。
(カリストってちょっと怖い…。)
「…じゃあ!行こうか!リベルタ。」
「え、ええ。」
さっきとは全く違う態度にコロリと変わり、
カリストに連れられ、監獄から去る。
奴らの処分は一体どうなるとやら。
「じゃあ、明日また会おうリベルタ。」
手配された馬車に乗ろうとした時に、カリストは
私の手に口付けをする。
(カリストって意外とキザなところあるわね…。)
毎度毎度こんなことをされるとこちらの心臓が持たないような気がするわ…。
「ええ。じゃあまた明日。」
照れ隠しをして私は馬車に乗りこむ。
私が馬車に乗りこんだ瞬間、馬車は動き始めた。
読んでくださりありがとうございます。
次は、裁きを下すための準備があります。