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番外編 ある皇太子は悪役令嬢に背中を押され変わる

お前は存在自体が罪なんだ/なのよ


兄や一部の侍女達から俺に対してそう言っていた。

そう言われることによって心は蝕まれて、生きる気力さえも失っていくような気がしていた。


ジェラル帝国の皇帝の妃である俺の母は民を、大切にしてそして慈しみ、愛していた。そして皆もそんな母を愛していた。

けれど、そんな母を俺が殺してしまった。

俺を産むと命が危険だと言われていたらしい。

けど、母は命が危険だと分かっていながらも俺を産んだ。

その結果母は俺を産んだ後、難産すえ大量出血で亡くなった。

それで俺は兄や一部の侍女達から存在自体が罪だと嫌厭されるようになってしまった。

こんな不吉な存在とした生まれたこともあり

どの道ジェラル帝国の皇帝などにはなれない。

だが、お前の存在自体が罪だと言われ続けるのは嫌だった。

だから、違うやり方で認めてもらおうと思った。

けれど、上手くいかずに父上は兄上ばかり見ていた。

それもあって俺は存在価値が分からなくなり一時は召使いが手を負えないほど自暴自棄になった時があった。


それから俺は召使いのおすすめにより、俺はある店へ平民を装って行った。

お悩み屋という場所に。

噂では、どんな悩みでも解決へと導いてくれるお店だという。開店してからすぐに繁盛していったとか。

本当に悩みを解決してくれるのならと。


お悩み屋に迎えられて案内された場所にいたのは

紫色の髪と美しい金色の瞳をした俺と同じくらいの年の女性だった。平民のように見えるが、姿勢も言葉遣いもどことなく上品だったから、どこぞの貴族だと察知した。

それよりも俺は彼女に自分自身の悩みを打ち明けた。


彼女は俺が話している時、何も口出しや相槌など一切せず真摯に聞いてくれた。

話し終えた後、彼女は慰めや嫌な反応ををすることなく

俺の背中を押した。

『あなたには生きる資格があるわ』

誰かに真っ直ぐに生きる資格があると言われたことが初めてだった。まるで天使に救われたように。


彼女が支えとなってまた俺自身を変えるきっかけとなった。

もう誰にも生まれたことが罪だと言わせない力を身につけた。その結果、俺のことを嫌厭する人はいなくなっていた。


彼女には感謝しきれない。

それから俺は彼女について調べた。

リベルタ・へスター

へスター公爵家の娘でエスター帝国の次期皇帝の婚約者だったが、断罪されてしまい婚約破棄となった経歴があった。

婚約破棄された原因としてリベルタが子爵家の令嬢に酷い言葉を言ったことだという。

(婚約破棄する理由が幼稚すぎる。)

追伸として、次期皇帝はリベルタとの婚約破棄をした後

その子爵令嬢とすぐに婚約したそう。

リベルタがあまりにも可哀想だった。

こんな幼稚な理由で婚約破棄されたリベルタの心情は計り知れない。

それに、俺は分かった。彼女は元婚約者とその子爵令嬢に

何らかのことをしようとしていると。

俺が、あの日お悩み屋に遊びに来た時に何らかの情報を手にしていたから。


ならリベルタ、どうか君がやろうとしていることにぜひ俺にも協力させてほしい。

今度は俺が君の支えになるから。

あの時、俺の支えになってくれたように___。






読んでいただきありがとうございます。

●裏話

カリスは、リベルタの前では一人称は僕ですが

一人だったり執事や侍女達の前では一人称は俺です。

●後日談として

カリストは、お前が生まれたことが罪だと言われ続けていた兄にリベルタが前言っていたことをそっくりそのまま言います。(エピソード8のです。)

それから、兄は反省してカリストに謝罪をし皇帝の座を譲ります。それが罪滅ぼしだと思ったからだそうです。

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