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13. 今宵、悪役令嬢は皇太子と踊る

ジェラル帝国の皇太子の彼がお悩み屋に来ていた彼と

同一人物だと知った途端驚きが凄い。

さらにもっと驚くべきことが

彼が会場の階段を降りてきた瞬間

私の方に近づいてきた。

(なになになに…!?)

あわあわするし、何より皇太子の彼が私の所に来ているのを見ている沢山の人達の視線がささる。

彼は私の前にピタリと止まり

「美しき令嬢様、僕と踊ってくれませんか?」

と誘いの手を差し伸べてきた。

「えっ…」

そう言われても私は前世から、頭脳派で教養は無縁なものだったから踊ろうと思っても踊れない。

私は誰にもバレないようひっそりと彼に近づき呟く。

「あ、あの…私踊れなくて」

「大丈夫。僕に合わせて踊ってくれればいいよ。」

(うう…断ることはできないか…)

断っても問題になるのならならいっそ腹を括って踊るしかないよう。

「ぜ、ぜひおねがいいたします。」

私は、彼の誘いの手を握る。

そう言うと、彼はぱあっと笑顔になり

音楽が流れた瞬間、彼は私の腰に手を回し踊り始める。

私は彼の踊りを真似ながら、合わせる。

彼もそれを分かっていて、合わせてくれていた。

(優しいお方ね…。)

って思っている場合じゃない。

彼に聞かないと、あなたはお悩み屋に来ていた少年だったのかって。

「あ、あの…」

「なあに?」

「あなたは…お悩み屋に来ていた…」

「ああ、それはダンスが終わってから後ほど話すよ」

(今は、ダンスを楽しもうってか…)

この皇太子なかなか手強い気が…。

そう思いつつも彼の踊りを見て真似ながら合わせることを続ける。

『まあ…リベルタ様と皇太子殿下様とても素敵ね』

『ええ。月と太陽のようですわ…!』

私と彼の踊りを見て褒めてくれる方たち。

少しこそばゆい感じだった。

そして…

「それでは…もう一度聞かせてもらいますね。」

ダンスを終えてから、彼と一緒に植物園に行き話をすることに。

「うん、いいよ。」

「あなたは、お悩み屋に来ていた少年なの?」

「…そうだよ。」

(やっぱりね…)

躊躇いもなく答えた彼に、また私は質問する。

「やっぱり、皇族というのがあるから来なくなったってこと?」

「ん?違うよ。」

「え?」

「君があの日僕に言ってくれたこと覚えてるかい?」

(あの日私が言っていたことよね?)

「ええ。」

「僕、君の言葉を聞いて救われたんだよ。」

「…!」

「長らくお悩み屋に行かなかったのは、色々していたんだ。

もう二度と、生きていること自体が罪だなんて言わせてなるものか、いや言わせないようにするための力を手に入れるためにね。」

(そうだったのね)

だから、長らくお悩み屋に来ていなかったのね。

私が、あの時言った言葉に救われた…。

(なんだか照れてしまうわね。)

「そして、努力して力を身につけたたら気づいたら、生きていること自体が罪と言っている人達がいなくなっていたし、

次期皇帝にも任命されたんだ。」

「え!?」

次期皇帝に任命されるとは…

私の言葉は彼にとって救いだったことを再確認する。

「リベルタ、君には本当に感謝しているありがとう。」

と皇太子である彼が私に深く頭を下げる。

「い、いえ!私はお悩み屋として責務を果たしただけなので…」

私は慌てて彼に頭を上げさせる。

「ふふ。君は本当にいい人だね。」

そう言って、私の髪一ふさ取って口付けをする。

「それに…今の君はとても美しい。」

そうして私の髪に口付けした____。




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